緊急事態宣言~首都圏「1都3県」という括りは大き過ぎないか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月20日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。今後の新型コロナウイルス対策について解説した。

緊急事態宣言下の渋谷の様子=2020年5月17日午後、東京都渋谷区 写真提供:産経新聞社

緊急事態宣言、政府が関西3府県の一括解除を検討へ

政府は新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が継続されている8都道府県について、京都、大阪、兵庫の関西3府県を一括解除する検討に入った。政府は21日に解除か継続かを判断する予定である。

飯田)8つの都道府県に出ておりますが、北海道と首都圏は解除に至らないのではと言われています。

【新型コロナウイルス】営業を再開した店舗も目立つ千日前商店街=2020年5月17日午前、大阪市中央区 写真提供:産経新聞社

大きすぎる首都圏としての括り

佐々木)東京、埼玉、神奈川、千葉という一括は、冷静に考えると、括りとして大き過ぎませんか? 千葉でも、首都圏に近い船橋や市川は一括でいいと思いますが、南房総や館山はあまり関係ないですよね。東京でも奥多摩などは、いったいいつまで緊急事態宣言を続けるのかという話があります。都道府県単位で決めたところには無理があると思います。今後もこの事態は長く続くわけです。いわゆる「ハンマーアンドダンス戦略」と言われている、いったん緩めて、感染者が増えて来たら、また緊急事態宣言をして繰り返すということになると思います。その度に関係ないところまで引きずり込まれて、お店を休まなければならないとなると、経済への影響が大きすぎるので、もう少し有機的にやってもいいのではないかと思います。

【新型コロナウイルス】新型コロナウイルスの影響でマスク姿で信号待ちする人々=2020年4月1日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

鉄道沿線で判断する細かい対応が必要

佐々木)コロナとは関係ないのですが、水害のときに言われることとして、水は自治体単位で流れるわけではありません。例えば、利根川流域の上流で水害が発生すると、下流が危険になるので、防災は河川ごとに考えます。これは慶応大学の先生の岸由二さんが「流域思考」、流域で考えましょうと言って有名になりました。それと同じで、コロナも自治体単位で発生するのではなく、河川と同じように、人の流れによって発生するわけです。世田谷で感染者が出て、近隣の自治体も封鎖しなければならないとなったときに、世田谷の人が都心に移動することはありますが、真北の杉並や練馬にはあまり行きません。東京は東京駅を中心に放射状に街が広がっています。都心とその郊外の行き来はありますが、縦の行き来はほとんどありません。鉄道の路線に沿って人が動くのだから、世田谷で感染者が出たら、東急沿線で広がる可能性がある。そうすると、鉄道沿線で感染を抑えて行くという戦略が重要になります。都道府県がリーダーシップをとって、その知事がやることは必要なのだけれども、一方でもう少し有機的に、細かいエリアごとに見て行くことも必要なのではないでしょうか。「実際にそんなことが可能なのか」と思う人もいると思いますが、携帯電話の電波の発信状況を見ると、人の流れはほとんど捕捉できます。個人情報を抜き取るなどという話ではなくて、人の流れはリアルタイムに把握できるので、ここを使えば、移動する人の流れに沿って感染対策をすることも可能だと思います。

飯田)人の移動を追ってということになると、経済の結びつきとイコールになりますよね。その結びつきが弱いところは、経済を解除しても問題ないということになりますか?

佐々木)そうですね。世田谷で感染者が出たから、杉並や練馬のお店が休まなくてはならないということではないと思います。

飯田)もしかすると、小田急線沿線ということで、狛江の店の方が休む必要があるのかも知れませんね。都道府県知事に緊急事態宣言をどう運用するかの権限がありますが、実行は市区町村の基礎自治体単位で、現状を把握しつつ、都や県の知事に対して意見具申をすることが必要なのかも知れません。

緊急事態宣言発令後の東京駅の出勤の様子=2020年4月8日午前、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

ニュージーランドの「バブル」という考え方を導入することも~今後はさらに小さいエリアでの対策も

佐々木)そのくらい細かい単位が、もはや必要になって来ています。世田谷は人口が100万人と大きいですから、小田急沿線や東横線沿線、田園都市線沿線など、それぞれの沿線ごとに判断するという、さらにきめ細かい街単位の対応が可能なのではないでしょうか。ニュージーランドの「バブル」という考え方で、警戒レベルを4段階くらいに分けて、いちばん厳しいときは家族のなかだけで暮らしましょう。その次は親せきも含めてもよい。さらに緩んだら、近所の街のなかならいいと、徐々に活動できるエリアを広げたり狭めたりするのが、「バブル」という考え方です。それと同じように日本でも、大きな都道府県単位ではなく、自分の住んでいる駅前など、小さなエリアで考えるということも導入していいと思います。

【新型コロナウイルス】閑散とした繁華街=2020年4月1日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

感染予防と経済のバランスをどう取るかが重要

飯田)そうやって経済も回して行かないと、そちらの方で困る人、最悪の場合は亡くなる人が多くなるのではないかとも言われています。

佐々木)もちろん医療の専門家たちが苦労して来たから、いまの状況があるので、後からそれはいらなかったという、後付けの考え方はよくないのですが、一方で、あまりに感染予防に傾斜しすぎて、経済がないがしろになるのも問題です。海外の記事を読んでいたら、「これはポリティカル・コレクトネスではなくてサニタリー・コレクトネスだ」と、衛生中心になりすぎていて経済が無視されすぎていると指摘していました。東京でも感染者が1桁台まで落ちて来ていますから、どうやって経済を起こすのか、そのバランスが重要になることは間違いありません。

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飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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