新型コロナ経済対策~100兆円ほどの基金をつくって対処するべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月27日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。新型コロナ対策に向けて閣議決定する第2次補正予算案について解説した。
新型コロナ経済対策~第2次補正予算案を閣議決定
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年度の第2次補正予算案について、政府は27日に閣議決定する方針である。雇用調整助成金の上限額引き上げや事業者の家賃支援策など、事業規模は100兆円を超える見通しである。
飯田)事業規模100兆円ということで、真水の部分は前回の1次補正よりも多いと言われていますが、本当ですか?
高橋)真水は定義がないのでいくらでも話せますが、一般的に言うと真水は補助金です。この補助金よりは出資が多いと思います。企業の方に出資するという形でやるのですが、経済的には出資は貸し付けに似ています。出資を増やすときに国債で増やすので、国債の数字だけ見ていると、真水が増えたように見えるのですが、補助金はそれほどに増えていません。中身を見ると、企業への出資が多くて、企業を支援するということは出ています。
飯田)その出資というのは、官民でファンドをつくって中小企業に資本注入を行う、あるいは劣後ローンの拡大ということになりますか?
個人への補助金より企業への出資額が増えている~経済回復のために企業の倒産を防ぐ
高橋)そうです。個人が給付金を受けられるというパターンではなく、企業の財務基盤を高めて企業の倒産を防ぐという政策です。そこは今回も12兆円レベルで出資しているので、かなりやっていると思います。その数字が表れていて、出資額を増やすときに国債を出すので、そういう意味で国債発行額が30兆円くらいになっているのです。でも伝統的な意味での渡切の補助金ではありません。伝統的な意味で言うと、それは真水ではありません。
飯田)今回は景気を浮揚させるというよりも、倒産を防ぐ方が中心だからこうなるということですか?
高橋)とりあえず企業を支えなければというレベルでやっています。経済が悪くなるというのはGDPの数字で出ます。この間、一時速報が出て3.4マイナスでしたが、これは1~2月の話で3月分は入っていません。3月分が入ったものは来月(6月)出ますし、さらに4~6月期は悲惨な数字が出ます。この数字が出てから3次補正になるのではないでしょうか。
100兆円くらいの基金をつくって予防的に対処する~3次補正をせずに基金から出す
飯田)そうすると8月に4~6期の数字が出て、そのあとだと秋の臨時国会。
高橋)臨時国会でやると、本格的に真水で補助金をやらないと経済が大変になってしまうということがわかると思います。でも経済政策としては、今回の補正で国債30兆円が出ていますが、お金の使途を決めないで、先に100兆円くらいの基金をつくるという手はあります。「もう少し景気が悪くなってからでないと出さない」という財務省の意図で、こういう形になっているのだと思います。
飯田)本来は、予防的な手当てをしておいた方が傷は浅くて済みますよね。
高橋)そうです。それであれば、3次補正せずに基金のなかから出せばいいのです。
飯田)しかも機能的に国会を待たずに出せるわけですよね。
高橋)国会の方は事後承諾というような形でしょうね。戦後の経済で例がないくらいに落ち込む可能性のある、戦前の大恐慌並みの話なので、基金をつくって予防的に対処した方がいいと思います。
飯田)戦前の大恐慌では、「大学は出たけれど」という雇用にもとてつもないダメージがあって、各国、対外的なブロック策、恐慌策につながったという歴史がありました。いまはそういう瀬戸際にいるということですよね。
高橋)それが読めれば、基金をつくってという発想になると思いますけれど。悪い数字が目の前に出なければ対応できないという人も多いみたいですね。
飯田)どうせ予算を編成するには、国会を通さなければならないという仕組みなので、国会を延ばせばいいと思うのですが、どうですか?
高橋)これは、7月に都知事選があるという政治日程がネックになっているのではないのでしょうか。オリンピックをやらないので延ばしても大丈夫ですが、都知事選はありますからね。
予備費2000億円では足りない~5兆円なければ地方の政策ができない
飯田)国会をこれで閉じるとなると予備費は2000億円くらい積むということで、閉じるから予備費で積んでおくというのは念頭にあるのですか?
高橋)2000億円では足りないですよね。今回、地方創生の話は、交付金が2兆円増額になりましたから、それはいいのですが、普通に考えると5兆円くらい積んでおかないと危ないというレベルです。地方での政策ができません。
飯田)財源の問題にぶつかると。
高橋)東京都しかまともな対策はできません。これも増やした方がいいです。あとは10万円をもう1度やるべきですが、まだ10万円が行きわたっていませんので、予算化できないということかも知れませんね。
2次補正によるお金は秋口には切れ、3次補正のための臨時国会を開く必要も
飯田)第1次補正は、当座5月の苦境をもたせるためのものだと受けました。そうすると、2次補正があったとしても、秋口にはそのお金は切れてしまいますよね。空白期間が生まれる可能性はありませんか?
高橋)4~6月期のGDPが確実に悪いというのは、4~5月はほとんど経済活動をしていませんからね。こういう話は後にどんどん効いて来ます。足りなくなるので国会を閉じても、すぐに臨時国会を開かなければいけない状況になる可能性も高いと思います。臨時国会はオリンピックがないのでいつでも開けます。夏に開けばいいのです。
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