休業緩和~東京都と首都圏3県との“期間の差”はなぜか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月27日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。東京都がロードマップの一部を改定し、休業要請を緩和したニュースについて解説した。
休業要請の緩和、東京都がロードマップの一部改定を発表
小池都知事)昨日(26日)の夜、国から通知が配布されておりますイベントの規模、スポーツジムなどの取り扱いなどに関しての詳細が示されたわけでありますが、これに伴ってロードマップの改定を行ったところであります。
緊急事態宣言が解除された東京都は26日、休業要請に関するロードマップの一部改定版を発表した。25日に政府が公表した基本的対処方針を踏まえ、これまで対応を検討して来た具体的な業種や施設の対応を決めた。
飯田)休業要請を4つのステップで緩和するというロードマップ。26日からステップ1に移行していて、図書館などは自粛解除となります。一部を改定するということですが。
高橋)これは国の方が全体を決めて、そのあとに各自治体がやります。東京都は慎重な対応です。3月の3連休のときに、東京都は対応しませんでした。それもあって、今回は慎重にやるということですが、慎重にやっても東京都は財源があるので大丈夫でしょう。他の千葉や埼玉、神奈川はこんなに悠長にやっていられないでしょうね。
飯田)実際に神奈川県はすべて解除するということで、東京都との間でかなり温度差があります。
1都3県で東京都だけ休業要請緩和が先~都知事選を見てのことか
高橋)慎重だという言い方もできますが、実は都知事選が7月5日投開票だから、その直前までやるのではという見方もあります。
飯田)危機のトップというものを演出して、選挙に向けてというところも頭に入れつつの意思決定ということですか?
高橋)「東京都知事の小池百合子でございます」で始まりますから。もちろん都道府県の知事さんが主役なのでいいのですが、たまたま7月5日投開票の都知事選がセットしていますので、そこまで引きずりたいのかなという、穿った見方もされますよね。
飯田)ただ東京は、これだけ人口も抱えて経済規模も大きいとなると、経済への影響も一方では考えなければならないところでもあります。
世界的に見ても、日本の感染者数は少ない~褒めるべき結果
高橋)今回、慎重にやっていることは悪いことではないと思います。財源に余力がある限り、慎重に対応する方がいいかも知れません。日本の基準を見ても、感染者数が10万人当たり0.5人という基準でしょう。世界の解除条件を見ると、10万人当たり50人~100人です。2桁違います。これだけでも、日本はとても厳しい基準です。10万当たり50人、100人であれば、日本はずっと緊急事態宣言をしなくていいレベルにもなります。
飯田)4月の頭でも緊急事態宣言をしなくてもよかったくらいの。
高橋)世界基準で見ればね。結果的に死亡者数も低いのでよかったと思います。
飯田)それだけ行動に制限もかけた。そして医療機関も踏ん張ったと。
高橋)これを「日本モデル」と言いますが、何が日本モデルかわかりませんけれど、結果がよかったので褒められるべきです。政治なんて結果責任ですから。
混乱しているときは細かい数字は出ない~新規に感染者数や死亡率があれば判断できる
飯田)このロードマップの部分も、新規の感染者数の目標などは数字で出ていますが、入院数や重症患者数が項目としては挙げられているけれど、実際の数値目標、目安がないのはどう判断したらいいのかとも思います。
高橋)このようにドタバタしている進行中では、細かく正確にはできません。だいたいのところでしか抑えようがありません。これは世界でも、統計が追いつかないところはあります。でも新規の感染者数や死亡者はわかります。逆に言うと、そこでしか見ることができないのです。
飯田)すべてのデータが逐一入って来るわけではない。
高橋)混乱しているので、統計も間違えます。東京都は何度も間違えていたので、私はデータを追っていて困りました。でも、混乱しているときはこんなものです。ある程度新規の感染者数を見ていればわかります。
飯田)大まかに見て死者数も諸外国に比べれば少ないと。
高橋)そうですね。あとは超過死亡というものがあって、本当はもっと多いのではないかという推計もあります。日本はほとんどそれがありません。統計が不十分で死者が少ないということは日本ではありません。だから日本のパフォーマンスはけっこういいですよ。
9月入学~現実的には実務が追いつかず不可能
飯田)緊急事態宣言が解除となると、学校も再開されて行きます。9月入学について、臨時休業長期化の際の選択肢の1つということで、早急に結論を出すということではなくなっていますが、どう思われますか?
高橋)考え方はわかりますが、実務が追いつかなくて、やりようがないと思いますよ。
飯田)いきなり9月入学と言っても。
高橋)検討することが多いです。ただでさえ多くてドタバタしているので、こんなときに余計なことをしたら、もっと大きな間違いが起こるかも知れません。
飯田)このまま推移して行ってくれれば、次の4月で入学という形ですね。
高橋)仕方ないと思います。ただでさえも実務能力のない教育現場で、新しいことを考えるというのは無理でしょう。
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