中国で東シナ海漁解禁~日本は中国の行動を俯瞰的に見るべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。東シナ海における中国独自の漁解禁に関する報道から、日中関係の今後について解説した。
東シナ海、中国独自の漁解禁
中国政府が尖閣諸島沖の東シナ海に設定していた禁漁期間が8月16日に終わり、漁が解禁され、中国福健省最大の漁港・祥芝港では停泊していた漁船およそ550隻が出漁を祝う爆竹を鳴らしながら、一斉に港を出た。一部は尖閣沖に向かうとの証言もある。
飯田)尖閣の周りは当然、日本の領海であり領空、領土であると考えると、勝手に禁漁とは何を言っているのかという話ですが。
ポイントは中国漁民の経済行為とそれに対しての中国政府の対応
須田)ポイントは2つあります。1つは見落とされがちですが、中国の漁民は政治的な思惑で漁に出かけているのではなく、経済行為としてやっているということです。そこまで燃料代を使って行ったときに、果たして利益を得ることができるのかというところを、冷静に見極めてやっているのです。もう1つは、とは言え、仮にそこで経済的なメリットを享受できるから行こうと思ったときに、中国政府がどういう反応を示し、どういう対応を取るのかというところが2つ目のポイントだと思います。
日本政府と中国サイドとのパイプは途絶えていない
須田)そういうことを前提に考えてみると、一部報道では早い段階で、禁漁期間明けに中国の漁船が大量に尖閣の領域に入って行くという報道がありましたが、その直後に政府関係者と会って話をしたら、あれは誤報だとはっきり言っていました。それなりに根拠があってそういう発言をしているのでしょうから、政府、特に官邸と中国サイドのパイプが途絶えているわけではないということです。情報のやり取りや、意思伝達が行われているということだと思います。そのときと今日における情勢が変わったら、また別ですけれどね。
中国との関係は俯瞰的に見るべき
須田)加えてもう1点、韓国と違い、中国の場合は俯瞰的に見るべきだと思います。この問題だけで捉えてもあまり意味がなくて、米中対立やイラン情勢をめぐる複雑な動きや、そのなかでの日本の役割など、さまざまな事象と絡めてこの問題を捉えなくてはいけません。中国は、ここで日本との対立を激化させて行くことが、他の局面にどのような影響をもたらすのかということを、間違いなく考えていると思うべきです。
飯田)正面の話で言うと、米中が対立しているなかで、日本をアメリカから引き離したいというような解説もありますけれども、それだけでなく、イランの話なども絡んで来るわけですね。
須田)そういうところを見ないといけません。ここだけで対立を煽るような動きを見せてしまうのは、全体の外交のなかでプラスなのか、マイナスなのかを考えてみるべきだと思います。
飯田)インドや南シナ海に対しても、前に出て来ているところがあるから、東シナ海も危ないのではないかと思いますが、中国はそこを短絡的にやって来ることはなさそうだと。
安全保障上の体制は整備するべき
須田)だからと言って、必ずないというわけではありません。あらゆるリスクに備え、日本として、どういう安全保障上の対応策を取って行くのかというところも、議論して体制を整備しなくては、ウィークポイントだと攻め込まれることになりますから。
飯田)当面は海上保安庁に頑張ってもらうことになりますけれども、それだけではなく。
須田)日本のミサイル防衛システムについても、きちんとやるべきことをやるなかで、外交が活きて来るのだと思います。
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