高橋洋一「Eテレ売却論の真相」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月9日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。NTTドコモの携帯料金の値下げに続いて格安スマホ会社も新たなプランを発表したニュースから「Eテレ売却論」の真相について解説した。
携帯料金値下げ
武田総務大臣は12月8日、NTTドコモに続いて格安スマホ会社も新たなプランを発表したことについて、「公正な競争を通じて利用者に安くなった実感が伝わることが重要だ」と話した。携帯料金値下げについて競争が活発になることに期待感を示している。
飯田)ドコモが新しい料金プランを発表して、格安スマホが追随しました。
高橋)最初に菅内閣が「携帯料金の値下げをする」としたときに、「みんなできるのか」と言っていました。菅さんはできる話を言っただけだと思います。3社のうち1社だけやらせれば、追随するでしょう。
飯田)キャリアであるソフトバンクとauがどう出るかですね。
高橋)追随しなかったら大変でしょう。
飯田)お客さんが逃げますよね。
高橋)こういうのはいちばん大きいところに収束します。
携帯電話のための電波の帯域が限界に
飯田)携帯のキャリアの競争の一方で、電波を持っているのは、基本は4社プラス楽天モバイルです。その他は仮想通信網という形で、他社の電波を借りてやります。この帯域が限界に来ていると言われています。
高橋)電波はいろいろな種類があります。実は光も電波と隣接しているのです。ある電磁波で一定の周波数と波長があって、速度はすべて光と同じです。そういうものがあって周波数によってそれぞれ違うということです。周波数をどの通信に割り当てるかが決まっていますが、たくさん持っているのが地上波の放送局です。地上波を観る人が少なくなって来ていますが、スマホやタブレットを観ている人が使っているのは携帯の周波数帯です。世界的には、地上波の周波数帯から携帯の周波数帯へ移行しています。私は20年くらい前から「そういうのは普通」だと言っていますが、なかなか日本では、それがスムーズに移行しません。Eテレのことを言ったら、ものすごく反響が出て大変でした。気楽に言ったつもりだったのですが。
文科省の「GIGAスクール構想」とNHK・Eテレの存在理由
飯田)「現代ビジネス」に寄稿したEテレ売却論ですね。あれは気楽に言ったつもりだったのですか。
高橋)気楽ですよ、ずっと前から言っていました。少し違って来たのは、Eテレの存在理由に「難視聴地域にも教育を」という話があります。
飯田)もともとの設置理由はそこなのですね。
高橋)それは私もわかっていましたが、最近、文科省が「GIGAスクール構想」を発表しました。これは、いままでEテレでやっていた教育をインターネットでやろうというものです。
飯田)各々にタブレットを配布するとか。
高橋)タブレットを配布するのですが、重要なのはWi-Fiなどの設備をつくることです。
飯田)Wi-Fiを学校のなかで飛ばすのですね。
高橋)電波が来ないとダメでしょう。そうするとEテレの存在理由がなくなります。
飯田)昔は、教室で教育テレビの番組を道徳の時間に観るなどということがありました。
高橋)これからはそれがWi-Fiになってしまいます。文科省もEテレの存在理由がなくなることを知らないで、GIGAスクールのことを言っているのだと思います。
飯田)文科省はテレビ局の管轄ではないから。
高橋)いいことを言っているのですが、それをNHKさんはすり合わせをしていないと思うのですけれど、相変わらずEテレの存在理由で、GIGAスクールを無視しているので、私は面白いと思って話したのです。
EテレをGIGAスクールでそのままネット放送すれば空いた地上波の部分を携帯会社に譲れる
飯田)ということは、いまやっている教育テレビの内容をそのままネットに移植、あるいは両方で出せばいいという話ですね。
高橋)その通りです。NHKに1号店、2号店があって2号店をネット販売するということです。商品はそのままで、地上波ではなく、ネットで流すだけだから「実店舗販売からネット販売にする」ということです。
飯田)「あの番組もこの番組もなくなってしまう」というのが議論になりましたが。
高橋)いまの時代の流れでGIGAスクールを文科省がやるのだから、「それをネットで流した方がいいのではないですか」と言っているだけです。そうすると、実店舗が少し空くでしょう。それを携帯会社に譲れば一石二鳥ではないですか。そういう経営判断の話をしているだけです。
飯田)真意はそこだったけれども、いろいろ尾鰭が付いて、ひとり歩きしてしまったということですね。
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