ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月11日放送)に国民民主党代表、衆議院議員の玉木雄一郎が出演。新型コロナウイルス感染症対策分科会が12月11日の会合で「Go To トラベル」の一時停止を提言するというニュースを受け、政府による新型コロナウイルス対策の現状について解説した。
ステージ3を感染状況によって3段階に、新型コロナの分科会が提言へ
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が12月11日の会合で議論する提言案が明らかになった。感染状況が4段階のうち2番目に深刻な「ステージ3」相当と分科会が見ている地域の感染状況の推移を、「減少、高止まり、拡大継続」の3段階に分類し、段階に応じて自粛要請などのレベルを変えるよう政府や都道府県知事に求める方針だ。なお、ステージ3のうち、高止まりと拡大継続の地域では、観光支援策「Go To トラベル」の一時停止を検討するよう改めて盛り込むと見られている。
飯田)ステージを4つに分けていたのを、もう少し細かく分けるというようなことなのかも知れませんが、新型コロナ対策、どうお考えですか?
玉木)相当深刻です。私はステージ3に入って、ある程度方針を変えるべきだと思うのですが、面子があって、なかなかGo To トラベルを停止しづらい。面子を保つために「ステージ3をさらに3つに分けて、そのなかの悪い方の2つのときになったらやりますよ」などと工夫せざるを得なくなっているのだと思います。政府は、もう少し分科会やアドバイザリーボードという専門家の人たちの意見をしっかり聞くべきだと思います。
飯田)そうですね。
政府はブレーキとアクセルを両方踏み、無駄な時間と労力だけを費やしている
玉木)Go To トラベルも平時ならいい政策だと思います。しかし、大事なのは短期に終わらせて、また早く再開できる状況に持って行き、各種政策を行うことができる環境を整える。これが結果として、中長期的に見ても経済の再生にいちばん早くつながると思います。いちばんいけないのは、ブレーキとアクセルを両方踏むということ。燃費ばかりかかってしまい、無駄な時間と労力だけを費やしている、というのが、いまの政権のあり方ではないでしょうか。ここは過去にいろいろなことがあったけれども、皆さんには移動制限をお願いする。お店についても、「万全な補償をするから、ここは1回閉じてくれ」ということを言って、短期で、ピンポイントで終わらせるということが、結果経済をいちばん傷つけない方法だと思います。
飯田)そうすると、欧米的なロックダウンを地域限定でやるというのも視野に入って来るということですか?
玉木)ロックダウンというのはかなりきついのですが、日本の特措法というのは、北風政策も太陽政策もメニューとして弱い。太陽政策で言うと、「国の責任で万全の補償をします」というものがないので、お金も僅かしか出ないのです。そうすると、飲食店は背に腹は変えられず、そんな端金では止めるわけにいかないので店を開くのです。そうすると感染拡大の可能性が上がって行く。
飯田)補償額の問題ですね。
飲食店には万全の休業補償をして、従わない場合には罰則をかける
玉木)まずは万全の休業補償を国の責任でやるということ。ここにお金をケチらない。もう1つは、それでも従わない人には、命令を出して罰則をかける。やるところは厳しくやらないと、守っている人が損してしまいます。一方は自粛を守っているのに、一方は開けていても、罰則も何もないのですよ。ここはきちんと北風対策をとる。対策を両方ともきちんと揃えた上で、短期に終わらせるための、感染拡大防止の実効性を法的にも担保して行くべきです。我々国民民主党としても法律を出したのですが、政府は議論せず「勝負の3週間」と言いながら、国会だけは冬休みに入ってしまった。
飯田)12月5日で閉じたと。
玉木)昨日(10日)ボーナスが出て、公務員ボーナスは0.05ヵ月分しか減らないのです。国会議員もそうなのですが、ボーナスも出ないという人も多いなかで、みんな一生懸命働いているのに、ボーナスは満額出て、「勝負の3週間」と言いながらさっさと冬休みに入っている国会のあり方は、とても国民の皆さんから納得されるような状況にはありません。我々は延長を求めたのですが、菅内閣が閉じてしまったということは、大問題だと思います。
すでに医療崩壊は起きている
飯田)医療崩壊が起きるのではないかということが言われています。メールもいただいていて、千葉県市川市の“ゆめはる”さんという方から。「旭川のように手術が延長されたり、自衛隊の支援を受け入れている状況はすでに医療崩壊なのではないかと思うのですが、玉木さんの見解では、どのような状態が医療崩壊と考えられますか?」という質問です。
玉木)言葉を選ばなくてはいけませんが、おっしゃる通りで、自衛隊から派遣してもらわなくてはいけないということであれば、通常の医療は成り立っていないということです。それはある意味、医療崩壊状態だと言わざるを得ないですよね。
飯田)自衛隊への派遣要請ですものね。
玉木)私も最近、都内の病院に1泊入院することがありましたが、コロナ患者を受け入れている病院は他の患者さんが減るので、経営がとても悪化しているのですよ。その病院は通常より10億円以上悪化していると言っていました。一生懸命、頑張れば頑張るほど収入が落ちてボーナスが下がるということになれば、普通ならば心が折れますよね。メールやツイッターなどで現場の人が発信を始めていますが、お金の問題ではなくて、同じ病院のなかでもコロナの対応をしている人と対応をしていない人で人間関係が悪くなったり、現場はすごく頑張っているのに、経営者や管理者がそれを配慮してくれないというようなことがあるようです。現場の人が心身ともに相当深刻で悲惨な状況になっていることに、我々はもっと目を向けなくてはいけないと思います。
コロナ専門病院をつくる、または「発熱外来」をつくる
飯田)医師会などが提言もされていますが、コロナ専門の大きな病院をつくって、そこに重症患者などを受け入れる。地域医療はいままで通り、一般の病院はコロナ以外の医療に集中するという切り分けができないかと。しかし、日本は8割が民間経営の病院なので、そこに命令を出して政府が一括してやるということが難しいという指摘もありますが、この辺りはいかがでしょうか?
玉木)専門の病院をつくるということも、1つの考え方だと思うし、それぞれの病院のなかに「発熱外来」をプレハブでつくるなりして、動線を分けるという方法もあるかも知れません。これからはインフルエンザの時期でもありますが、発熱した人が来たら、まずコロナを疑わざるを得ないではないですか。
飯田)そうですね。
玉木)発熱した人とそうでない人を個々の病院や診療所のなかでもきちんと分けて行く。その施設整備のためのお金をきちんと出すということも含めて必要ですね。しかし、大阪の十三(じゅうそう)の病院などは専門でやっているのですが、そこでも大変になっています。
飯田)そうですよね。医療従事者たちが退職するということも出て来ているようです。政府としては、お金を積むこと以外にないのかも知れませんが。
玉木)加藤官房長官に、「きちんとお金をつけてください」と言ったのです。「十分つけているのだが、都道府県で査定しているのではないか」ということを言っていて、それはよくわかりませんが、少なくとも、末端まで行き届いていないことがあるのも確かなので、我々も気をつけなくてはいけない。お金をつけて終わりではなくて、実際に行くべきところに行っているかをチェックする必要があります。
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