黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にお笑い芸人・DJのふかわりょうが出演。人が歯を磨くときのスタイルについて、黒木瞳がふかわりょうに聞いた。
黒木)今週のゲストはお笑い芸人、DJなど多方面で活躍していらっしゃるふかわりょうさんです。『世の中と足並みがそろわない』という本を読ませていただいて、気になるところに付箋を貼っていたのですが、貼りすぎて付箋がなくなってしまいました。台本もそうなのですが、私は汚すのが好きなのです。
ふかわ)そういう方、いらっしゃいますよね。
黒木)勉強したという気になれるのです。ですので、本も線を引いたり、折ったりしますが、今回はもうたくさん過ぎて。
ふかわ)他にも教えていただけたら、いくらでもお答えします。
黒木)夫が歯を磨くときにいつも目を閉じるのです。どうして目を閉じるのだろうと思って聞いてみたら、「普通、目を閉じるでしょう」と言うのです。ある女優の人に聞くと、その人は鏡を見ると言うのです。歯を磨く自分を。「人によって違うんだ、面白いな」と思うのです。
ふかわ)面白いですね。これは黒木さん、エッセイが一編つくれますよ。
黒木)もしかして私もふかわさんと同じで、世の中と足並みを揃えていないのかも知れない。
ふかわ)その目線はすごくいいと思います。歯を磨くときに徘徊する方もいらっしゃいますよね。磨きながら動く方。私は鏡の前でじっとしていますね。
黒木)自分を見ます?
ふかわ)いえ、何かを見ているわけではなくて、鏡の前にただ立ちます。そこが定位置でそこを離れてはいけないみたいな。しかし目は開けています。
黒木)自分を見ているわけではないのですね?
ふかわ)注視しているわけではなくて、ぼやっと目線が前にあるだけです。
黒木)何を考えていますか?
ふかわ)無に近いです。黒木さんはいかがですか?
黒木)私は砂時計を見ています。
ふかわ)砂時計。
黒木)砂時計は悲しいものなのですよね。みんな余命という寿命を生きているわけではないですか。砂時計が落ちて行くというのは、その余生が過ぎて行くということですよね。悲しいのだけれども、砂時計を通して時間が流れていることを見るのが好きです。
ふかわ)最高ですね。
黒木)どうしてですか?
ふかわ)黒木さんの美の原点はそこにあるのかなと思ったぐらい、砂時計との親和性がとても高いですね。
黒木)砂時計を見ながら歯を磨くのですよ。砂が落ちて行くと悲しいのですよ。もう歯を磨けないわけです。命が終わったような気持ちにさせられるのです。
ふかわ)なるほど。
ふかわりょう/お笑い芸人・DJ
■1974年8月19日生まれ。神奈川県横浜市出身。
■慶応義塾大学在学中の1994年にお笑い芸人としてデビュー。長髪に白いヘアターバンを装着し「小心者克服講座」のネタでブレイク。
■現在は「5時に夢中!」のMCや「ひるおび!」のコメンテーターなどを務める。
■またROCKETMAN、ryo fukawa名義で音楽活動も継続。全国各地のクラブでDJをする傍ら、楽曲提供やアルバムをリリースするなど、多彩な活動を展開。
■2020年11月に最新エッセイ集『世の中と足並みがそろわない』(新潮社)を発売。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳