宮古島で自衛隊が医療支援開始~離島や僻地が抱える“国家的な問題”
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。宮古島で自衛隊による医療支援活動が開始したニュースについて解説した。
宮古島で自衛隊の看護官が医療支援活動を開始
新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)している沖縄県宮古島市では、災害派遣要請を受け現地入りした陸上自衛隊の看護官が1月31日から、クラスターが発生している高齢者施設で感染者への医療支援活動を始めた。人口約5万5千人の沖縄県宮古島市では、31日までの6日間で130人の新型コロナ感染者が新たに確認され、医療体制が逼迫している。
飯田)看護官自身もPCR検査で陰性を確認してから入っていて、薬の提供、入浴・食事の介助、健康管理などを担うということです。
須田)意外と理解されていない方が多いのですが、災害派遣は自衛隊の本来業務です。自衛隊の業務というと、国土防衛に目が移ってしまいますが、このような災害派遣についても、法律上きちんと明記されていることなのです。
飯田)そうですね。
以前からある離島や僻地が抱える深夜・休日の医療体制の脆弱さ~国家的な問題
須田)宮古島を含め、「なぜ医療体制が逼迫しているのか」というところを見て行かないと、問題の抜本的な解決につながりません。宮古島などでは、夜間・休日診療の体制が希薄です。夜間や休日に病人が出てしまうと、対応できないという状況がずっと続いて来たのです。そんななかで感染症が拡大してしまうと、こういう問題が起こるのです。医療体制の充実を常日頃からやっておかなければならないということです。有事が起こったら自衛隊を呼べばいいではなくて、もともと住民は健康不安を抱えているのです。これを個別の自治体や沖縄県に丸投げしたのでは、解決しません。国としてどう向き合うのか、どうやってそこをスムーズに回して行くのか、これを機会にしっかりとやるべきです。これは宮古島だけではなく、北海道や山間僻地の深夜・休日の医療体制の脆弱さは常日頃から抱えている問題です。そこに対してどう医療提供体制を持って行くのかというところは、国家的な課題だと思います。
平時から医師、看護師の派遣ができる仕組みをつくるべき
飯田)いままではコストを削減するなり、サイズを小さくしようという圧力が働いていたように思いますが、それが今回で脆弱なところが出てしまったということになりますね。
須田)そうですね。それと、こういうときの解決策が医師会に頭を下げるということになってしまうのです。
飯田)要請しかできないという。法律上もそうなっているということですか?
須田)夜間・休日診療体制の充実を図ろうとすると、医師を派遣してもらう、看護師を派遣してもらわなくてはならない。看護師の方は比較的前向きなのですが、医師の方は、それに対しての何らかの見返りが必要になって来ます。そこに対して、予算をどうつけて行くのか。これは自治体ベースでは難しい。
飯田)平時からそういう仕組みをつくっておいて、有事になればもう少し強制力を持ってやれるという仕組みに変える。確かにそういうところが、今回弱さとして出た感じですね。
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