ミャンマー「クーデター」~進出企業も多く難しい立場の日本
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月10日放送)に内閣官房参与で数量政策学者の高橋洋一が出演。国軍のクーデターが起きたミャンマーについて解説した。
国軍によるクーデター、ミャンマーで4日連続の抗議デモ
国軍によるクーデターがあったミャンマーでは2月9日、4日連続となる大規模な抗議デモが各地で行われた。首都ネピドーでは警官隊がデモ参加者にゴム弾を発射し、4人が負傷、女性1人が重体と伝えられ緊張が高まっている。
飯田)この重体の女性ですが、警官隊に頭部を狙撃され、脳死状態であるという報道、また死亡したという報道もあり、情報が錯綜しています。
高橋)クーデターはよくないですね。
飯田)今回のクーデターにどう対応するか、各国の姿勢も見られています。
難しい日本の立場~日系企業が多く、中国への対抗もある
高橋)日本の民間企業がたくさん投資している国ですが、ミャンマーは中国の戦略上、重要なところで、実際は中国圏です。このようにクーデターが起こると、制裁することになりますが、日本は立場的にすぐに制裁というわけにはいきません。
飯田)日本は戦後賠償もあったということで、1990年代の軍政のときもパイプは残していますよね。
高橋)ミャンマーについては、中国が圧倒的に影響力を持っているので、中国への対抗もあります。しかし、こういうときに制裁となると、日本のように中国へ対抗措置をしているようなところが取り残されてしまうというか、股割きになってしまう。ミャンマーとつながりがない国であれば制裁がやりやすいのです。日本の場合は間に入ってしまい大変です。
西側諸国が経済制裁すれば中国への依存度が高まる
飯田)9日の報道では、ニュージーランドが交流停止を発表しています。
高橋)西側諸国はやりやすいと思います。日本は進出している民間企業も多いし、中国と競合しているところもあります。そこで経済制裁になると完全にアウトになってしまうので、微妙なところがあります。経済制裁すればするほど、中国への依存度が高まります。難しいです。
飯田)おいそれと中国側に追いやるわけにもいかないですよね。
高橋)西側諸国の、特にアメリカとはある程度協調しなければいけないというのがつらいですね。
表向きは西側諸国と協調しながら、日本独自の関係を保つ
飯田)表向き協調しながら、という戦略ですか?
高橋)表向きは西側諸国と協調しながら、「実際にどこまでするかは別」ということが外交だと思います。
飯田)このクーデターの認定等、日本は一歩遅れた形でやっていますね。ティラワというヤンゴンから近いところの工業地帯には、かなりの日系企業があります。
高橋)それは各国事情があるので、すぐに従うことは難しいですよね。実際にミャンマーに進出しているのは民間の人ですから、あとが大変ですよ。
「民主主義のドミノ」になってはならない
飯田)隣のタイも軍政から民政移管の形になっていますが、実情は軍政が続いている形です。ここはテストケースになりますか?
高橋)なりますね。タイの方は戦略上の観点から言って、どちらかというと中国寄りではありません。ただし、ASEANが今回のことで民主主義否定のドミノのようになったら困りますね。ベトナムまでは行かないでしょうが。タイも比較的そうですが、ベトナムは民主主義国に近く、ミャンマーは中国に寄っている。ASEANのなかのパワーゲームになっています。
飯田)あそこの東西に貫くところを見ていると、ミャンマーとカンボジアが中国の影響が強く、それに挟まれる形でタイとベトナムが西側にある。
高橋)RCEPでの主導権争いなども関係します。ニュージーランドやオーストラリアにはRCEPに入ってもらっていますから、そこもある程度考慮しないとRCEPのなかで負けてしまいますからね。
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