ミャンマーで軍事クーデター~気になるもう1つの「武装勢力の存在」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月2日放送)にジャーナリストの有本香が出演。国軍が軍事クーデターで政権を掌握したミャンマー情勢について解説した。
ミャンマーで軍事クーデター~軍の最高司令官が権力を掌握
ミャンマー国軍は2月1日、与党・国民民主連盟のアウン・サン・スー・チー国家顧問やウィン・ミン大統領ら複数の政権幹部を拘束する、クーデターを実行した。軍は全土に1年間の非常事態宣言を発令し、ミン・アウン・フライン最高司令官が国家権限を掌握した。2011年に民政移管されたミャンマーで、10年足らずで軍政が復活することになり、国連や各国からは批判が相次いでいる。
飯田)2020年11月に行われた総選挙も合わせて報じられていますが。
詳しい状況が不明~いまは「見ている」状態の国際社会
有本)これはまだ状況がわかりません。私も現地の方、それから日本にいらっしゃるミャンマーの関係者と昨日(2月1日)からいろいろなやり取りをしているのですけれども、現地は通信が思ったようにつながりません。
飯田)ネットも遮断されているようですね。
有本)そうですね。一部入れることには入れるのですけれども、それこそ非常事態になっているものですから、状況がはっきりわかりません。いろいろな情報が飛び交っていますが、その虚実も判断が難しいです。軍が全権掌握をするということに出て、スー・チーさんと大統領が拘束されたということは、間違いないようです。難しいのは、俗に言う国際社会は批判を始めています。西側諸国ですね。ただ、それほどすごい非難はしていないのですよ。
飯田)ホワイトハウスの報道官は「動く」と言ったようですが、国務省は「事態を注視する」というところに留めています。
有本)ですのでみんな「ウォッチしておこう」という感じです。一部のCNNや国際的なネットワークを持っているメディアは「軍はとんでもない」と言っていますが、イギリスのメディアなどは、「スー・チーさんにも問題はあったのだ」と言っています。ロヒンギャ問題などですね。ロヒンギャ問題については、欧米メディアの見方は正しくないと私は思っています。単純には言えませんが、かなり複雑です。
ミャンマーとは戦前からの独自の関係を持つ日本
有本)これから注視しなければならないことと、日本のスタンスはどうなのかという話ですが、民政移管される前の軍事政権下にあって、ミャンマーが国際社会から厳しく制裁されていたときも、日本は独自の関係を保っていました。軍事政権の要人たちも、時折日本を訪れていました。欧米各国からすれば、「なぜ日本はそんなに軍事政権に甘いのか」ということを言われていたのだけれども、日本は日本のスタンスで来ていたわけです。安倍政権の時代にもスー・チーさんが日本に来ましたが、もちろんスー・チーさん側とも関係はいいし、深い交流をしています。しかし、ミャンマーとの関係においては、欧米諸国と日本は全然スタンスが違う。これは戦前からの関わり合いがあります。これはスー・チーさんだけではなく、民政移管してからのミャンマーの国防大臣が日本に来たときも、当時の日本の防衛大臣に対して、「我々の国がいま独立国としてあるのは、戦前に旧日本軍によっていろいろと助けてもらったおかげだ。このことをミャンマーは忘れてはいない」ということを言っています。そういう長い関係があるので、日本は必ずしもこのミャンマーの軍政側とも、「対立する」という単純な関係ではないのです。
国軍と対立するもう1つの武装勢力の存在
有本)それともう1つ気になる情報としては、現地ミャンマーで少数民族の武装勢力がずっと国軍側と内戦をやっていたのですが、その内戦を停戦合意のテーブルに着かせた日本人の井本勝幸さんという方がいます。私は彼と交流があるのですが、井本さんたちが交渉のテーブルに着かせた多くの武装勢力以外に、未だに抵抗を続けている勢力があるのです。この勢力の裏には、確実に中国がいるのです。そのうちの1つの勢力が、どうやら、今回の事態に対して、国軍側と対立しているわけではないですか。でも、この人たちがどうも声明のようなものを発表して、欧米寄りなことを言っているようです。この辺りも周りの情勢を含めて見なければいけないというところです。ミャンマーは日本にとっても非常に有望な、重要な国ですからね。
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