イギリスがTPPに参加する2つの理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。イギリスが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に正式に参加申請するというニュースについて解説した。
イギリスがTPP参加を申請
イギリス政府は2月1日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に正式に参加を申請する。EU離脱から1年の節目に申請する象徴的な意味合いもあり、TPP発足メンバー以外からの参加申請は初めてである。
飯田)実現すると、日本に次いで2番目の経済大国としての参加と。まさかイギリスが最初に来るとは。
スコットランドの不満を抑え、中国へは牽制
須田)イギリスのEU離脱とともに、日本との間で自由貿易協定(FTA)を締結するという流れがありました。そこからTPP参加という流れになったのでしょう。もう1点は、イギリスの国内外の事情でしょうね。イギリスのEU離脱を受けてスコットランド側からの不満が出ていて、またしても「イギリスからの離脱」ということも言われています。そういう不満を抑えるためにも、「将来的には、このような成長的な選択肢がある」ということを示す必要がある。そういう国内事情もあれば、国外事情としては、やはり中国に対する牽制、「香港からの移民を受け入れる」というところとワンセットになっているのだと思います。
飯田)返還前の「英国海外市民(BNO)旅券」保有者を受け入れるという発表がありました。
須田)安全保障上、軍事の面でも、「アジア地域へのプレゼンスの強化」というところもイギリスは出しています。
中国がTPPに参加した場合の中国の「ルール破り」への抑止力としてもイギリスの参加は大きい
飯田)新しい空母を日本近海へ回すという話もありますね。そして、中国もTPPに参加しようとしています。
須田)すべてワンピースだと考えていいと思います。TPPは、もともとある種の中国包囲網という意味合いを色濃く持っていました。とは言え、これは安全保障上というよりもルール同盟というものです。条約などを含めて、国内法と国際法でどういう位置関係になっているのか。中国の場合、圧倒的に国内法優先です。国際法は、無視をするというスタンスです。自らの手で新しい法的枠組みをつくる、戦後の「既存の枠組みを全部ぶっ壊す」というところがあります。それに対する1つの抑止というなかで、このTPPでは「紛争解決手段」が明確化されています。
飯田)そうですね。
須田)問題は中国が本当に従うのかということです。中国はTPPの紛争解決手段というよりも、国内法優先ということで引っ張って行くでしょう。それは日中間、2国間で、中国を入れてしまったら、「守ります」と言っても入った途端にそれを壊すというように動きますからね。それを日本だけで抑止することは難しい。いくら入るときに「守る」と言っても、入ってから壊すのが中国の常套手段です。ここでは、イギリス、アメリカを入れておいて、そのなかでの連携が必要になると思います。
飯田)そういう意味では、今回のこの動きというのは日本としてはウェルカムな部分が大きい。
須田)大歓迎するべきでしょうね。
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