ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月10日放送)に内閣官房参与で数量政策学者の高橋洋一が出演。政府が2月9日の閣議で、新型コロナ対策予備費から1兆1372億円を支出することを決めたというニュースについて解説した。
新型コロナ対策~政府が予備費からおよそ1兆円の支出を決定
政府は2月9日の閣議で、新型コロナ対策予備費から1兆1372億円を支出することを決めた。緊急事態宣言が延長されたことを踏まえた措置で、営業時間の短縮要請に応じた飲食店に支払う協力金などの財源として使われる。
飯田)予備費が第3次補正で3兆8100億円ほど積まれていて、そこからの支出になるようです。
高橋)去年(2020年)の5月に10兆円を計上したのですが、それが出ていませんでした。3次補正では、予備費は全部使い切れないということで減額しています。それでも残りが2兆6000億円ほどありますが、あと2ヵ月で使い切ればいいのだと思います。去年の12月の新型コロナ対策のなかに「予備費は適切に使うこと」と書いてありますが、異例なことです。予備費をそれまで適切に使っていなかったから書いたのでしょう。
飯田)適切に使えなかったのは、いろいろな目詰まりがあったとか。
もっと前に医師会などが予備費を要求するべきだった~いまのような状況にはなっていない
高橋)目詰まりだと言っていますが、要求する側の医師会などがもっと要求すればいいのにと思いましたけれど、去年の夏ごろだったのでみんな気が緩んだのでしょう。
飯田)一旦感染が収束したように見えました。
高橋)所管は財務省なので、厚生労働省から予算の要求を出すと通るのですが、予算調書がないとやりようがなく、できません。要求がないと出せないので、具体的に業界団体などからの要望がないと書けません。
飯田)本来そこのところで出しておけば。
高橋)出しておけば、いまのような状況にはなっていないでしょう。コロナ感染について、日本は民主主義の国でトップクラスのいい成績で、こんな状況で医療崩壊が起きるはずがないというレベルです。
飯田)感染者、死亡者の数を見るとデータが2桁くらい違います。
罰則のある「非常事態宣言」を出せない日本は休業補償などのお金で規制を誘導
高橋)違いますね。民主主義国では、この手の感染症は難しいです。民主主義国と非民主主義国の感染率を比べると、非民主主義国の方が圧倒的に低いです。民主主義国はピンキリで、いいところと悪いところがあります。日本はそのなかではいい方です。医療崩壊が起きることはあり得ないレベルの低さなのですけれどね。
飯田)民主主義国かそうでないかという議論は年末にもされていましたが、意思決定の早さが違うのではないかという指摘がありました。
高橋)非民主主義国は強引な規制ができるからです。民主主義国でも非常事態宣言を憲法上、規定しているのがほとんどの国なので、それに則ってやればできます。そのような非常事態宣言を用意しているか、スピーディーにいい意思決定をするかにかかっています。日本の場合、憲法上、非常事態宣言を規定していないから苦しいのですが、そこを支えたのがお金です。お金でインセンティブをつけるという形です。いまの日本の財政支出は世界でも断トツで多いので、何とかなっているのです。
飯田)お金によって休業の補償などをしていますよね。
高橋)いろいろなことをやって規制誘導をしているというパターンです。普通の国だったら個人の移動を禁止して、従わなければ罰金をかけるというのが普通です。そういうパターンにはできないからお金を用意して、予備費を積んだのです。予備費を積んだときには大き過ぎると批判を受けていましたが。
緊急事態宣言による時短要請の効果は出ている
飯田)感染者数そのものよりは、医療現場の話も含めて総合的な判断だと思いますが、この緊急事態宣言でどうなって行くか、感染の推移というところでは、山はまた来るのですか?
高橋)いまは減っているので、地域によっては、緊急事態宣言を前倒しで解除するという可能性はあると思います。そのあともう1回波が来ると思いますが、いまの段階でいつかというような予測はできません。波が来たらピークと高さくらいはある程度わかりますけれど。
飯田)緊急事態宣言による時短要請はどのくらい作用したのでしょうか?
高橋)緊急事態宣言の効果はあったと思います。そのままにしておけば、いまでも上昇している可能性はあるでしょう。やった方がよかったと思います。緊急事態宣言を出せば時短要請をするのでコストがかかりますが、それはうまく対処できたと思います。
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