米政府がミャンマー国軍関係者の資産凍結~日本はどう出るべきか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月12日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。アメリカのバイデン大統領が、ミャンマーに対して制裁措置を発動したニュースについて解説した。
アメリカ政府がミャンマー国軍関係者の資産を凍結
アメリカのバイデン大統領は2月10日、ミャンマーでの軍事クーデターを受けた制裁措置を発動し、ミャンマー国軍の関係者やその家族らの資産を凍結する大統領令に署名した。クーデター後、アメリカ政府として初の制裁となる。
飯田)中国の話とリンクしますね。
ミャンマーに対する日本のやり方を評価し始めているアメリカ
宮家)アメリカでは今でも「ビルマ」と言っていますが、彼らの「ミャンマー」に対する政策は、もともとはスー・チーさんがいて、民主化勢力がいて、軍部は悪いという単純な発想だったのです。15年くらい前です。しかし、当時から日本はそういうアプローチを必ずしも取らなかった。確かに軍政はよくありません。しかし、きちんと軍が説得されて、考え方を変える形で政策を変えて行かないと駄目だ。制裁だけでは無理なのだということを、日本はずっと考えていたと思いますし、そのために、軍との対話のパイプを維持して来た。そういうなかでようやく10年、15年かけて努力を続け、ようやくアメリカもそれがわかって来て、ミャンマーで民主化の動きが出て来た。しかし、今回はそれがまたひっくり返ったわけです。
飯田)今回のクーデターで。
宮家)でも、15年前とは状況が違います。まず、アメリカはトランプさんの時代に国際的信用を大きく落としてしまった。中国は15年前よりはるかに強力になっている。そのなかで、日本のやり方が、ようやく一定の評価を得始めているのではないかと思います。ブリンケンさんが茂木さんと再び電話会談をしたという情報がありますが、米側の発表文を読んでも、アメリカは昔のように強引ではない。同盟国と協力をしながらやって行こうとしているのではないでしょうか。
飯田)なるほど。
宮家)また、バイデンさんのいろいろな声明を読むと、ミャンマーについては予想以上に慎重ですよね。「ミャンマー国民と軍は違うのだ」という前提です。制裁の対象はあくまでも軍人やその関係者であって、貿易面の輸出規制も、軍人たちに対する輸出を止めるということで、昔よりは慎重で合理的な対応をしていると思います。もちろんムチばかりではダメだとわかっているのでしょう。日本も飴だけではなく、関係国と連携を取りながら、いちばんいい方法を考えるべきだと思います。
国軍を説得するには時間がかかる
飯田)日本の企業はティラワの工業団地などに進出していて、ビシネス関係の息の根を止めなかった今回の政策にホッとしているところも大きいですよね。
宮家)それは、アメリカもわかっているのです。これでビジネスにまで影響して、外国企業が撤退してしまえば、それは中国が喜ぶだけですから、そういうことはしたくない。軍の方も、経済政策や貿易政策は変えたくないと言っているようですから、でも、当然と言えば当然ですよね。しかし、この程度で軍が説得されるかと言えば、そうではない。長い時間がかかりそうですね。
飯田)長い間水面下で説得し続けて行くということになりますね。
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