ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月17日放送)に作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。2月22日に松江市で「竹島の日」の式典が開催されることを受け、竹島・尖閣問題、憲法9条の問題について解説した。
「竹島の日」の式典に内閣府政務官を派遣へ
小此木八郎領土問題担当大臣は2月16日、島根県などが2月22日に松江市で開催する「竹島の日」の式典に和田義明内閣府政務官を派遣すると発表した。政務官の出席は9年連続となる。
飯田)2月22日、明治時代に竹島が島根県の所管になった日ということで、2005年に「竹島の日」と条例で制定しております。9年連続で政務官派遣ということです。
青山)私は領土問題担当大臣が行くべきだと思います。「竹島の日」も島根県だけに大きな負担をおかけするのではなく、国の日にすることも含めて考えるべきです。1951年に、突然韓国が海のなかに線を引っ張って、「この線から西側にある竹島は韓国のものだ」と主張しました。そのとき日本はまだ独立回復していませんでした。独立回復してから、島根県隠岐郡で漁をなさっている漁家の方が韓国軍に殺されました。
竹島も尖閣も「日本の領土として確保する」ということを韓国・中国に見せなければならない~海警法の施行とともに変えなければいけない大事な局面
青山)そのことが現在の尖閣諸島でも起きかねないのです。それが海警法の問題です。海警法を英訳したものを読むと、「ここを中国が管轄すると決めたら、中国はそこで何でもできる」ということです。武器の使用、船の拿捕もできるのです。国際法にまったく違反している無茶苦茶な法律です。それが既に施行されているので、竹島でかつて起きたことが尖閣で起きるということを考えなければいけません。抑止力のためにも右翼がかった話をしているのではなく、島根県隠岐郡の竹島という日本の領土は、佐渡島や淡路島と変わりません。ですので、大臣を派遣して、島根県の条例だけでなく、日本の法律も私たちは努力してつくらなければいけません。韓国を通じて中国にも、尖閣も竹島も同様に「日本の領土として確保して行きます」ということを、見せなければいけません。政務官を派遣するということですが、海警法の施行とともに変えなければいけない、大事な局面だと考えています。
中国は「強く出ても大丈夫」だと思っている~竹島と尖閣の問題はつながっていること
飯田)尖閣の話に戻るところもありますが、人命が危機にさらされるかも知れないというところです。これに反対する余地はないと思いますが。
青山)竹島でも漁家の方々だけでなく、海上保安官も銃撃されています。そのことは日本では忘れられています。漁家の方が殺されたことが語られることはありません。ですが中国は覚えています。竹島を獲られてしまったときは、日本はまだ占領下で独立を回復していませんでした。でも、銃撃が起きたときは、もう独立国になっていたのに、日本は対応しませんでした。だから中国から見れば、独立前と同じに見えるわけです。だから、「強く出て行っても大丈夫だ」となり、そこで抑止力は失われているので、日中双方にとって、不幸なことが起きます。特に日本側は漁家と海上保安官の命がいま危機にさらされているのです。
飯田)既に。
青山)尖閣沖では、機関砲を積んだ武装船が漁船を追いかけまわしているわけですから。そこの守りを海上保安庁がやっているため、保安官の命も危機に瀕していることになります。竹島と尖閣の問題というのは、北方領土も含めてですが、つながっていることなのです。その説明をきちんと政府はしなければいけません。私たち国会議員も、自分の議員活動を通じて有権者に話さなければいけません。
「憲法改正を主題にする」と言ったのは、第1次安倍内閣が最初~戦争に突っ込んで行った明治憲法の大きな矛盾
飯田)1945年から感覚が止まっているとありました。その感覚のなかで1953年に人が亡くなるという事案がありましたが、そこでもこの国は変わらなかったのですね。
青山)変わりませんでした。その証拠に1953年のおそろしい銃撃事件があり、その2年後に自由民主党が憲法を変えると言ってつくられました。1955年ですよ。世界の政党史でも長生きしている政党なのですが、憲法を変えると明言してつくった政党が、そのあと、いくつ内閣をつくったでしょうか。その内閣で「憲法改正を主題にする」と言ったのは、第1次安倍内閣が最初です。私は中曽根総理のときに総理番を1年やりました。中曽根政権は5年続きました。中曽根総理に「戦後政治の総決算とおっしゃっているのに、なぜ憲法改正をやらないのですか」と言ったら、「わが内閣ではテーブルに乗せないのだ」と言われました。中曽根総理は普段1対1のときははっきりおっしゃる方なのに、この件についてはできないということでした。それが安倍内閣になってよくわかったのが、憲法96条に、国会が憲法改正を発議して、他のことは全部立法府、国会だけで決めるのですが、この件だけは国民に諮らなければならないのです。この1点だけです。そのときに国民投票でどうなるかということを、政府の世論調査で調べると、「負ける」という結果しか出ません。国民投票で負けたら何度もやるという手法もあるのですが、安倍さんの考えでは、「日本では1回しかできない」ということでした。わからないでもないのは、何と、明治憲法も一字一句変わっていないのです。
飯田)そうですね。
青山)明治憲法は、大きな矛盾を孕んでいます。議院内閣制であるのか、そうではないのかよくわからない。内閣と議会と天皇陛下の関係が整理されていませんでした。天皇陛下が主権者になっているのに、天皇陛下が軍を直接指揮できず、統帥権しかありませんでした。未整理なままでしたので、昭和天皇は日米開戦に明らかに反対なさっていました。主権者が反対なさっているのに、戦争に突っ込んで行ったのです。それは一字一句変えられないから開戦に至ったわけです。
ドイツで基本法が改正されたことを考えるべき
青山)日本人は決めたことはきちんとやるのです。今回の自粛でも、感染者の数が瞬く間に減りました。決められたことはみんなやるのです。でも「決まってしまったことを変える」というのは本当に苦手です。決めたことをやれる人は、決まったことは変えにくいのです。もともと、決めたことに関心がなかったら、決まっていても変えられるわけです。同じ敗戦国のドイツで基本法がどれほど改正されたかということも考えるべきです。
根本にある「憲法9条の問題」
青山)そうすると、根本は9条の問題なのです。これこそ超党派で考えるべき問題です。私こそは護憲派だと言っています。なぜならば憲法96条に憲法の変え方が書いてあります。これは人間がつくった法典だから、やがて世が変わり、人が変わったら変えなければいけません。「そのときは96条で変えてください」ということが盛り込んであるのです。変えないということは、実は憲法を尊重していないことになります。「竹島の日」を大きな契機として、そういう全体のことを関連付けて、根本を皆さんと一緒に見たいです。
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