消費者態度指数が改善~まだ弱い実体経済を支える政策が必要
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月5日放送)にソシエテ・ジェネラル証券 経済分析担当の会田卓司が出演。内閣府が発表した2月の消費動向調査の結果について解説した。
2月の消費者態度指数が3ヵ月ぶりに改善
内閣府が3月4日に発表した2月の消費動向調査によると、今後半年間の暮らしの見通しを示す消費者態度指数は、前月と比べて4.2ポイント高い33.8となり、3ヵ月ぶりに改善した。上昇幅は比較可能な2013年4月以降、2番目の大きさとなる。新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にあることが影響したと見られている。
実体経済を支える経済政策が大事
飯田)他にも指数が出て来ていますけれども、全体的にどうご覧になりますか?
会田)消費者心理は上向いているのだと思います。これには2点あります。1点目は、2月末に向かって感染拡大が落ち着いて来て、一部で緊急事態宣言も解除された。ここが支えになっているのだと思います。2つ目は、当然ながら株価です。株価が上昇したことが心理をよくして、それがさらに株価の上昇につながった。こういう好循環が一部あったのだと思います。ただ、心理面は上向いても、実体経済はまだ弱い。飲食、宿泊、サービス、ここはビジネスが厳しい状況がまだ続いています。ということは、心理が上向いても実体経済が上向かないと、これ以上の心理の改善にはつながりませんので、実体経済をしっかり支える経済政策が大事だと思います。
ダメージを受けたところをきめ細かくサポートする政策が必要
飯田)心理面は移ろいやすいということもありますが、政策面での打ち出しをどこまでできるのか。ようやく2021年度の本予算が衆院を通過しましたけれど、「これで足りるのか」という話にもなりますよね。
会田)足りないと思います。このまま行くと緊急事態宣言も延長されるでしょうから、もっとしっかりとした対応、特に家計に苦しんでいる人たちを支える経済対策を早急に策定する必要があると思います。
飯田)実体経済の部分で、ピンポイントで大きな打撃を受けている業種があります。そこが大きな雇用も支えている業種であれば、放っておくとかなり影響を受けますか?
会田)受けると思います。新型コロナウイルス問題が発生してから1年以上経つわけですから、「どの部分にどれだけのダメージが経済としてあるのか」ということが、十分わかる状況になっていると思います。そういうところにきめ細かくサポートする政策が望まれると思います。
企業が借金を返して行ける余裕があるくらいの回復ペースがないと、経済は失速してしまう
飯田)1月、2月の指数がいろいろ出て来ました。失業率や有効求人倍率も出て来て、一応数字としては少し上向きました。消費者態度指数も改善されていますが、雇用の面はどうご覧になっていますか?
会田)しっかりとした経営が成り立つことで雇用も維持されます。現在は心理的な支えや経済対策などによって、何とかビジネスが維持され、雇用も維持されています。今後は新型コロナウイルスが収束に向かうなかで経済が回復して雇用も回復という、よい循環につなげて行かないとなりません。ビジネスも借金を増やして維持されているというところもありますので、今後の期待や予想が上向いて行かないと、雇用が維持できないという状況になってしまうと思います。
飯田)確かに、「無利子・無担保で」という政府の支援策として、かなりの部分を融資でまかなっていますけれども、これは結局積み上がってしまいますよね。
会田)そうですね。返済がのしかかって来ますから、通常のビジネスを正常化するとともに、借金を企業が返して行ける余裕があるくらいの回復ペースがないと、経済は失速してしまう可能性がありますので、そこはしっかり支えるべきだと思います。
飯田)そうすると、コロナ前のペースで経済を回復するには、少し勢いが足りな過ぎると。
会田)足りないと思います。
飯田)政策面でもう少し後押しをやらなくてはいけないということでしょうか?
会田)はい。
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