ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月22日放送)に政治学者・大和大学准教授の岩田温が出演。3月21日をもって解除された首都圏1都3県の緊急事態宣言について解説した。
1都3県の緊急事態宣言が解除
首都圏1都3県の緊急事態宣言は3月21日をもって解除され、およそ2ヵ月半にわたった宣言はすべて解除されたことになる。政府は引き続き、国民に感染対策の徹底を求めるとともに、無症状者のモニタリング検査の大規模な実施などで、感染の再拡大防止に全力をあげるとしている。
飯田)これについて、21日、2年ぶりに開かれた自民党の党大会で演説する菅総理大臣の声をお聴きいただきます。
菅総理)これからが大変な重要な時期となります。国民の命と暮らしを守るため、政府・与党の力を結集し、引き続き皆さんのご協力をいただきながら、この新型コロナとの難局を何としても乗り越えて参りたいと思います。
小池都知事のパフォーマンスに使われないように「2週間延長した」かに見える緊急事態宣言
飯田)延長、延長でようやく解除ということになりました。どうご覧になりますか?
岩田)延長したこと自体に科学的な根拠があったのかというよりも、「小池百合子都知事とのパフォーマンス合戦」に見えてしまいます。逆に言えば、「小池百合子さんのパフォーマンスに使われないように2週間延長した」ということで、「科学的な根拠が明確ではないな」ということをいちばん感じました。
飯田)延長もそうだし、そういう理由で延長してしまうと、解除のときもあまり説明できないということになりますよね。
コロナを自分のパフォーマンスに利用する小池都知事のやり方は悪質なポピュリズムに見える
岩田)そう思いますね。今回のコロナのなかで、いちばん問題だと思うのは、コロナという日本が一丸となって取り組んで行くべき問題に対して、これを「自分のパフォーマンスや政治のために利用する」という政治家、具体的に言えば小池百合子さんのやり方は、私からすると悪質なポピュリズムに見えます。
規模の大きさを考慮せずに行われた時短した飲食店への協力金
飯田)一方で、それがどう世論に響くかというところで言うと、「さらに延長」ということに賛成の人も、世論調査を見ると5割~6割と出ています。
岩田)でも、いつになったら解除されるのかということを、明確な基準でやらない限り、ずっと意見を聞き続けたら、それは「ゼロになるまで怖い」という人はいるわけです。私は緊急事態宣言の出し方、解除の仕方が恣意的ではないかという気がします。
飯田)その部分で非常に影響を受けたのが飲食業等々です。経済的には厳しかった。18日~19日くらいに、時短に従わないお店に対しては命令まで出しました。
岩田)あれは驚きました。
飯田)この緊急事態宣言解除のタイミングで出すのかと。
岩田)あのやり方は「見せしめ」という感じがしました。私が緊急事態宣言のなかで、もう1つ問題だなと思っているのが、規模の問題がほとんど考慮されずに補助をしたことです。通常、1日6万円も売り上げがないようなお店では、逆に儲かってしまったという話もあります。働かないのに儲かってしまうということは、これが悪い癖みたいになってしまい、「またやってくれ」ということになりかねません。健全な資本主義国家として、まずいのではないかと思いました。
飯田)そして時短した飲食店はいいけれども、周りで品物を入れているようなお店には恩恵はなかったわけですからね。
岩田)そうですね。あとはバイトの人を含めた雇用の問題ですね。そういう方々に対する補償なども大きいと思います。何より大事なのは、もちろんコロナで人が亡くならない状態をつくることですが、同じくらい大事にしなければならないのは、経済の問題もきちんとやって行かなくてはならないということです。これから難しい舵取りですけれども、頑張って欲しいと思います。
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