日米での報道の違い~米バイデン大統領の初記者会見
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月26日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。就任後初めて開いた米バイデン大統領の記者会見について解説した。
アメリカのバイデン大統領が初の記者会見
アメリカのバイデン大統領は現地3月25日、就任後初となる記者会見を開いた。1月20日の就任から100日となる4月末までに、新型コロナウイルスのワクチン接種回数の目標を、当初の倍となる2億回に増やすと発表している。
飯田)就任後初の会見ということです。
バイデン大統領の主な関心は内政~日米での報道の違い
宮家)「やっとやったか」という感じです。年齢の問題なのか、コロナの問題なのかわかりませんが、過去15代の大統領のなかで、最も遅い時期に、初めて記者会見を行ったということです。日本での報道内容はもちろん間違いではないのだけれども、日本では中国の問題や北朝鮮についてばかり取り上げられていますが、アメリカの新聞を読むと、これがまったく違うのですよ。彼らの関心はやはり内政なので、議事妨害制度をやめるべきかどうかという議論や、移民を国境でどう扱うか、それをプレスにどう見せるか。または、ワクチンを2億回分確保することなど、そういう方に関心が高いのです。
飯田)内政ですね。
宮家)しかし、日本では、アジアに関係するものが一面トップになるのです。それはそれでいいのですけれども、この種の話を書く時に私は全体を見て、「外交が占める割合がどうなっているかをよく調べてから書かなくてはいけない」といつも思っています。今回を見ていても、バイデンさんが言っていることは、国務長官のブリンケンさんや大統領補佐官のサリバンさんが言っていることと同じです。先日この2人がアジアを回りました。そしてこの間はアラスカで中国と外交トップ会談をしました。
飯田)ありましたね。
宮家)それでもう、大体方向性が見えてしまっているから、バイデンさんが改めて言うことはあまりないし、それはそれでもう一貫性があるということなのだと思います。しかし、もう少し早くやってもよかったと思いますが、どういうことなのでしょうね。
飯田)会見そのものを。
宮家)ええ。
新しい動きを始めたトランプ氏を迎え撃たなければならない
飯田)外交に関しては、「下からの積み上げで行く」という大体の方向性は見えて来ました。
宮家)基本的な方向性は見えて来ていると思います。特に日本との関係で言えば、「中国とどう対峙するか」という大きな方向は、日米2プラス2での共同文書に表されています。その前のクアッド首脳会談でも議論しましたが、その流れが一貫して動いていると思います。
飯田)そうですね。
宮家)トランプさんが新しい自分のSNSをつくって再始動しようとしています。アメリカ政治にもう1回殴り込みをかけようとしているわけで、これをバイデンさんは迎え撃たなくてはいけない。しかし、トランプさんに勝つためには、外交をどんなに頑張っても、それだけでは票にはならないのです。票になるのは、アメリカ救済策や移民の問題、ワクチンの問題などです。だから、そちらにエネルギーを割くのは当然です。ただ、記者会見を見ている限り、バイデンさんはあまり外交のことを言いませんが、記者団の方からはいろいろ質問があって、それに答える形で発言があり、それが記事になっていたのだと私は理解しました。
2024年の大統領選についての言及も
飯田)対トランプを意識したのか、2024年の次の大統領選についての言及も。
宮家)出るのですってね。もちろんトランプさんも出るでしょうから。
飯田)逆にそういう姿勢を見せておかないと、いきなりレームダックになってしまうということもありますか?
宮家)そうなってしまう可能性はあります。ハリス副大統領との関係も微妙ですから、「それは私がやります」と言わざるを得ないでしょう。
飯田)ポーズとしては。
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