ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月30日放送)にジャーナリストの有本香が出演。大阪府の吉村知事が政府に「蔓延防止等重点措置」の適用を求めたニュースについて解説した。
大阪府の吉村知事が「蔓延防止措置」を要請へ
大阪府の吉村知事は3月29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、特別措置法に基づく「蔓延防止等重点措置」の適用を国に求める考えを記者団に示した。近く開く対策本部会議で正式に決定し、週内に要請する。
飯田)「市中感染の入り口に入っている。第4波に入ったと分析している」と、吉村知事は危機感を表明しております。
有本)この蔓延防止等重点措置は、「いままでと何が違うのでしょう?」という感じではないですか?
飯田)これには強制措置は何もないということです。
陽性者が増えるたびに右往左往するのはどうなのか
有本)何もないですよね。東京都、または国の法律、特措法も含めてなのですが、いろいろな問題がすでに投げかけられていると思います。当然、緊急事態宣言が解除されれば、ある程度は陽性者が増えるということは予想されていたことです。陽性者が増えるたびに右往左往する、それが果たしていいのかどうか。
「なぜ病床が増やせないのか」という根本的議論をするべき
有本)いちばんの問題は、東京も大阪もそうだと思いますが、病床が足りるかという問題です。東京都に関しては、そもそも病床の報告が国の基準と違う形で報告されていて、過度に「医療崩壊が起きるのではないか」という世論をつくってしまったということがあります。この辺りの行政の責任はきちんと明らかにする必要があるだろうと思います。それから、大阪もそうなのですけれど、知事と国の間で「どうしてここまで病床が増やせないのか」という根本的な議論になぜ行かないのだろうと。
グローバルダイニングが東京都を提訴~抑え込むことができず、ツケだけが事業者に行く
有本)今回の緊急事態宣言をめぐって、グローバルダイニングが損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。この訴訟は非常に意味のある訴訟で、ぜひ注視したいと思うのだけれど、グローバルダイニングの社長がおっしゃっていたように、法的根拠が曖昧なまま、「営業を自粛しろ」という要請をしましたが、グローバルダイニングは最初から「それに従わない」と言っていたわけです。それが最後の4日くらいになったときに、見せしめのようにして、営業停止命令を出した。「こんなことは憲法違反ではないか」と言っているのですけれど、それは筋が通っていると思います。
飯田)筋が通っている。
有本)コロナは、バタバタ人が死ぬほどの病気ではないし、日本人は衛生観念もしっかりしていて、自粛も守るので、これくらいに収まっています。しかし、もっと毒性の強い病気がもし入って来たときに、「国はどういう対応を取れるのか」ということです。早急に法律改正をして抑え込むものは抑え込む、というようなことができなかった1年だったわけです。やるべきことが国としてできていないにも関わらず、ツケだけが民間事業者に行くという状況。そのなかで、またさらに蔓延防止等重点措置などと言われても、何がどうなのですかと。
「制限をかけるときにはかける」というメリハリが必要
飯田)特措法改正というのは、本国会の初めの方に話題になったときに、本来は有事と平時を切り分けて、強制力も含めて有事はきちっと抑えると。
有本)しかも、去年(2020年)の経験があるわけですからね。
飯田)結局、またそこに戻ってしまった感じがありますよね。
有本)そこをどうも、知事たちも国に対して強く要請していると思えないのです。だから、知事もあまりやりたくないのかなと。
飯田)そうやって強制力を伴うと悪者視されるから嫌だと。
有本)そうかも知れません。政治的な自分たちのポジションに影響してしまう、ということがあるのでしょうね。本当に政治としてやるべきことは何なのかと。制限をかけるときには「ガツッ」とかけて、抑え込むときには抑え込むということをやらなければ、こういうことになりますよ。
「何となくの自粛ムード」では経済は疲弊する
飯田)そこの切り分けもきちんと数字で示すと。
有本)根拠をね。新しい病気ですから、根拠が間違っていることもあると思います。間違ったときには、速やかに「実はここは見込みが違っていました」とはっきりさせればいいことなのだけれど、どうもそういうことがないまま、何となくの自粛ムードになって行ったら、これはもう、経済は本当に疲弊しますよ。
飯田)相変わらず空気で抑え込むというね。
有本)そうなのです。
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