政府は1年間、何をやって来たのか~4都府県で緊急事態宣言発令
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月26日放送)に元内閣官房参与で前駐スイス大使、現TMI総合法律事務所顧問の本田悦朗が出演。4月25日に発令された3度目の緊急事態宣言について解説した。
新型コロナの感染拡大、4都府県で緊急事態宣言を発令
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月25日に3度目の緊急事態宣言が発令された。対象地域は東京都、大阪府、兵庫県、京都府の4都府県。期間は5月11日までの17日間となる。
ゴールデンウィークに集中した今回の緊急事態宣言
飯田)過去2回の宣言では、解除まで1ヵ月半~2ヵ月半を要したわけですが、今回は17日間、「短期集中だ」と菅総理もおっしゃっていました。さまざまなところへの影響も指摘されています。
本田)今回の緊急事態宣言はゴールデンウィークに焦点を絞って、人流の規制をしようということが眼目だと思います。しかし、それにしては少し短すぎるかなという気がします。緊急事態宣言を出して人々が自粛しても、その効果が実際に出て来るのは2週間後なのです。そうすると、効果を十分に見極められないまま解除しなくてはならないということになるので、これまでと同じように延長される可能性が高いと思います。
飯田)当座、まずはこれで出してみたという感じですか?
本田)ゴールデンウィーク集中だというスタンスを見せたかったのでしょうね。「短期的に頑張ってくれ」と。
3度目で慣れっこになってしまっている国民
飯田)今回は特措法が成立したあとの発令ということで、百貨店などへの休業要請など、いろいろ新しい政策も出して来ていますが、これはいかがですか?
本田)休業を要請し、場合によっては命令をして、命令に従わない場合は過料をいただくということまで入りましたので、相当担保できるようにはなりましたが、実際のところ、すぐに過料をというわけにはいきません。まずは要請、自主的ベースでやってくださいと。日本人は真面目ですから、そう言われると業者の方は従っていただけると思うのですが、一般の方はもう3回目で、ある程度「慣れっこ」になっている可能性があります。そこは少し心配ですね。
「検査と隔離」が不十分~1年以上経って「政府は何をしていたのか」
本田)こういう措置が有効に働くためには、政府自身が思い切ったことをやる必要があります。お願いばかりで、国民は「またお願いベースか」と思ってしまいます。まずは政府が率先して大胆なコロナ対策をやるべきです。そのためには、大体ウイルスが潜んでいそうな場所で集中的に、戦略的に、徹底的にPCR検査をやってみる。そうすると無症状者も見つかりますので、どうやって対策を取るべきかがわかるのです。そして陽性になった人は徹底的に隔離すると。
飯田)大胆に行う。
本田)疫病への対応というものは決まっていて、「検査と隔離」しかないのです。そこに予防としてワクチンが欲しい。ワクチンはこれからの問題ですが、検査と隔離、これが日本では不十分です。PCR検査が絶対的に足りません。東京でも6000件くらいしかやっていないのです。多いときで1万件。これは問題外で少なすぎます。そして、隔離しようにもベッドがないのですよね。治療しようにもベッドがないと。
飯田)以前から言われていることです。
本田)問題が起こって1年以上経っているわけですから、「その間に何をしていたのか」と多くの国民が思っているわけです。そういうときに国民に対して「あれをするな、これをするな」と言っても、「政府がやってくれ」という気持ちを持ちますよね。やはりここは重要な問題だと思います。
小刻みなハンマー&ダンスではなく、抜本的な構造改革が必要~PCR検査、ベッド数の拡大、迅速なワクチン接種、変異株のためのスクリーニング、ゲノム解析を徹底的にやる
本田)まずは政府が大胆な政策をとる。国民に行動変容を求めると、経済とコロナの関係を行ったり来たりするのです。小刻みなハンマー&ダンスではなく、抜本的にドンと叩いて、経済に影響を与えないような構造改革をしなくてはいけない。そして構造改革のためには、抜本的なPCR検査、ベッド数の拡大、迅速なワクチン接種、それから変異株が最近多くなっているのでスクリーニング、及びゲノム解析を徹底的にやる。そういうことをやらないと同じことの繰り返しです。心配です。
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