参議院憲法審査会~「3年以上開けなかった」背景にあるもの
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月27日放送)にジャーナリストの有本香が出演。参議院憲法審査会について解説した。
参議院憲法審査会
参議院憲法審査会は4月26日に幹事懇談会を開き、今後の審議日程について与野党で協議した。その結果、28日に今国会で初めてとなる参議院憲法審査会を開き、各会派による自由討議を行うことで与野党が合意した。実質的な審議の開催は2018年2月以来で、3年2ヵ月ぶりとなる。
有本)3年2ヵ月ぶりとは、「何をしていたのだろう」と思います。5月6日に衆議院側は、国民投票法改正案の採決を目指しているのです。これはさっさとやるべきでしょう。いまのままでは、国民投票できない人が出てしまいます。
野党の抵抗によって3年以上も参議院の憲法審査会が開かれず
飯田)公職選挙法で変えたものの、中身がこの国民投票法には反映されていない。現状に合わせるだけという。
有本)それだけで、まず改正をするという話なのですが、「CM規制も入れろ、これも入れろ」と言って、野党側はハードルを上げようとしているわけです。しかし、国民投票をするための環境を整備しないというのは、国民の権利行使を阻害しているようなものです。非常にけしからんのですよ。野党がそのように抵抗しているではないですか。ですので、3年以上も参議院の憲法審査会が開かれなかった。衆議院も実際は全然進んでいません。
飯田)一定の結論を得るというのが本国会での与野党合意のはずなのに。
議席の少ない野党に過剰な配慮をして、憲法審査会が機能しなかった数年間
有本)そうですよね。それがここへ来てこういうことです。それ以前にそもそも自民党も、2021年にはどちらにしても選挙があるのですが、それ以前はたくさん議席を持っていたわけではないですか。勿論、憲法審査会という性格上、全会派がきちんとテーブルについて話を進めて行くというのが筋です。しかし、何年もこのように先に進まないとなれば、多数を持っているということの意味をよく考えていただいて、いまの日本の情勢や状況を鑑みたならば、「強引だ」というような批判は受けるかも知れませんが、先へ進めるべきだったと思います。自民党の議員だけでも過半数を持っているので、開催をして、そのなかで実質審議をするということは可能だったのです。それを「野党も一緒にやらないと」と言って、やらなかった。それは一見、民主的に見えるのですが、では私たちが「多数を自民党に与えた意味は何だったのか」ということになるのです。
飯田)そこも民意だろうと。
有本)そうなのです。それが反映されていなくて、議席の少ない野党に過剰な配慮をしてしまい、まったく憲法審査会が機能しなかった数年間ということになると思います。
コロナ対策が各国並みに打てないのは憲法が障害になっている部分がある~「緊急事態条項」を入れるかどうか、私権の制限の問題
飯田)周りの安全保障環境なども含めて、憲法9条もどうするべきなのか、という議論もずいぶん前からありました。また、リベラル側からも改憲論という社会の構図を変えて行くところも含めて、いろいろな意見が出て来ましたが、「もう憲法は変えない、指一本も触れさせない」と。そこのイデオロギー的な対立のみが水平化してしまって、何もできていないという。
有本)嫌がらせだけを延々と見せられているというようにしか受け止められないですよね。そうこうしているうちに安全保障の環境は悪化するだけではなく、コロナでもいろいろな対策が各国並みに打てないというのは、憲法が障害になっている部分があると認めていますよね。私は本当はできるのではないかと思っていますが。かねてから言われていた「緊急事態条項」を入れるのかどうか、それから私権の制限です。この辺りをどうするのかというのは、まさに憲法から議論して行かなければいけないところです。前に進められないという点では、これだけ議席を持っている自民党、与党の責任も大きいと思います。
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