“護憲派”新聞の世論調査でも「賛成」が上回る~憲法改正の必要性が緊急事態宣言下の“矛盾”で醸成か

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月3日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。憲法改正について解説した。

“護憲派”新聞の世論調査でも「賛成」が上回る~憲法改正の必要性が緊急事態宣言下の“矛盾”で醸成か

自民党が憲法改正をテーマにしたポスターを制作し発表する平沢勝栄広報本部長(左)=2020年1月7日午後、東京・永田町の自民党本部 写真提供:産経新聞社

新聞各紙世論調査での賛否 朝日は拮抗、毎日は賛成が大きく上回る

飯田)5月3日は祝日、憲法記念日ということで、各紙で世論調査などが載っていますが、(憲法改正の)賛成が反対を上回る調査がかなり増えて来ています。どういう論点に注目されていますか?

須田)特に驚いたのが、護憲派と言われている朝日、毎日の結果です。例えば朝日新聞では、

『いまの憲法を変える必要があるかを聞くと、「変える必要がある」45%(昨年調査は43%)、「変える必要はない」44%(同46%)だった』

~『朝日新聞デジタル』2021年5月3日配信記事 より

須田)……ということで、拮抗しています。しかし、驚くのは毎日新聞なのです。

『毎日新聞と社会調査研究センターが4月18日に実施した全国世論調査で、憲法改正について「賛成」が48%と「反対」の31%を上回った』

~『毎日新聞』2021年5月3日配信記事 より

須田)……ということです。これまで毎日新聞が苦労して記事を書いていたのは何だったのか、という感じなのですが。しかし憲法改正というと、9条2項の問題について焦点が当たってしまうのだけれども、これについても変えた方がいいという比率は、やや上がって来ているのです。

緊急事態宣言下における私権の制限の矛盾

須田)もう1つは、緊急事態条項という、平時・有事の切り分けで言うと有事の場合に、どういう対応をしたらいいのか。特に私権制限の部分ですね。

飯田)私の権利。

須田)それについて、いまの日本の憲法には決めごとがないのですよ。きちんと設定がないことで、いろいろなところに歪みが出て来ている。どうしてかと言うと、新型コロナウイルスはまさに有事ですよね。日本国内だけではないでしょうけれども。そうすると、きちんと憲法で規定がないものですから、法律の部分があやふやで、わけがわからない状況になっています。

具体的に言えば、法律で営業時間について変更することはできるため、それに基づいて営業時間の短縮要請をする。いまは法に基づいてそれを出していますよね。ところが不思議なことが起こっていて、酒類、アルコールの提供については法律上の規定がないのですよ。それよりも下位の条文によって、酒類の提供を禁止することができるという形になっているのです。ところが、バーやクラブといった、もっぱらお酒の提供をしているところに、酒類の提供を禁止するということになると、営業禁止ではないですか。

飯田)事実上はそうなりますよね。

須田)とんでもない私権の制限になるわけです。

飯田)営業の自由も本当は認められているはずですものね。

須田)営業時間の短縮は法律上でできることですが、法律ですら営業を禁止することはできないのです。これをやると憲法上、私権制限との整合性は取れるのかということになってしまうから、法律の立て付け上、営業を禁止することはできない。それよりも下位の法令で、つまり所管省庁の大臣やお役所が、国会の審議を経ることなく出せる政省令の類で酒類の提供を禁止してしまうと、それはものすごい私権の制限になってしまう。憲法上その規定がないのに、やっていいのかと。こういうわけのわからない矛盾した状況が出て来るのです。

その辺り、こういった形できちんと論点整理ができて、理解が広がっているわけではありません。「いまの状況がおかしい」ときちんと理解されているわけではないけれども、何となく新型コロナに関連する緊急事態宣言下において、いろいろな矛盾を感じているのではないかと。だから、憲法改正の必要性を認識し始めているのではないかと思います。

飯田)空気によってエスカレートしているような。

須田)そうですね。

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