情報発信しない中国の「無責任さ」~ロケットの残骸がインド洋に落下

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月10日放送)に日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が出演。残骸がインド洋に落下した中国の大型ロケット「長征5号B」について解説した。

情報発信しない中国の「無責任さ」~ロケットの残骸がインド洋に落下

中国は29日、海南省の文昌宇宙発射場から運搬ロケット「長征5号B遥2」を使い、宇宙ステーションのコアモジュール「天和」を打ち上げた。(文昌=新華社記者/琚振華)= 2021(令和3)年4月29日、新華社/共同通信イメージズ

中国のロケットの残骸がインド洋に落下~情報発信しない中国の無責任さ

5月9日、地表に残骸が落下する恐れがあると米政府が指摘していた中国の大型ロケット「長征5号B」が、同日午前10時24分(日本時間同11時24分)に大気圏に再突入したと中国国営新華社通信が伝えた。中国有人宇宙プロジェクト弁公室の情報として、落下地点はインド洋で、大部分の部品は大気圏への再突入の過程で燃え尽きたと説明している。

飯田)中国のロケット宇宙開発についてですが、日本時間では5月9日昼ごろ、インド洋にロケットの残骸が落ちて来た。話題にはなっていましたが、最終的に直前にならないとどこに落ちて来るかわかりませんし、ヒヤヒヤしましたよね。

秋田)まず中国は無責任だと思います。本来であれば、ペンタゴンがあれほど逐一情報発信する前に、中国自身が発信するべきで、直前になって、しかも「落ちる可能性は極めて低い」という表現でした。「では落ちる可能性はあるのか」と心配した方も多いはずですよね。

飯田)そうですよね。中国発の情報というのがほとんどありませんでした。

秋田)アメリカの航空宇宙局(NASA)の長官が「無責任だ」と批判しています。なぜ無責任なのかと言うと、そのような発表がないのと同時に、今回の中国のロケットは燃料タンクが1個しかない安上がりなロケットだそうです。普通は2段式などで下から切り離しますから、斜めに飛んで行く過程で切り離して、それをコントロールして海に落とす。ところが1個しかないので大きい上に、衛星軌道にロケットが突入する直前まで付いているわけです。そこから切り離すので、ただでさえ制御が難しいものが、さらに難しくなる。それを承知の上でおそらく飛ばしているということが危ないところだと思います。

軍拡競争が宇宙にも広がっている

飯田)無責任な上に、国連の宇宙に関する条約などでは、基本的に当事国に責任があるということになっているのに、中国の場合はそのようなところを無視して、「あとは知らないよ」となっている。

秋田)なぜこれほど宇宙に力を入れているのかと言うと、科学技術の開発ということも1つあるとは思いますが、やはり軍事なのです。アメリカ軍も中国軍もいま宇宙に向いています。通信やGPSもすべて人工衛星を使ってやり取りしますので、戦争になったら、空母で戦うのではなく、衛星を麻痺させたり、電波を遮断するようなことを中国は考えている。そのような軍拡競争が宇宙にも広がっているということが背景にあるのだと思います。

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