ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月12日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。2020年度の消費支出が2019年度から4.9%減少したというニュースについて解説した。
2020年度の消費支出4.9%減
総務省が5月11日に発表した2020年度の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1ヵ月あたりの平均で見て27万6167円となり、物価変動の影響を除いた実質で、前年度から4.9%減となった。落ち込み幅は比較可能な2001年度以降で、消費増税後の2014年度(5.1%減)に次いで2番目に大きくなった。
飯田)消費が冷え込んでいるということは、いろいろなところで言われていますが、こうして数字でも出て来ました。
3月は6.2%プラスだが、前年がコロナの影響で悪かったので景気が回復したわけではない
高橋)過去の話ですけれど、毎月の動きを見ると、緊急事態宣言をすると下がるのです。3月は6.2%となっていますが。
飯田)3月は6.2%プラスとなっている。
高橋)4月は少しいいかも知れない。5月はまた調子が悪いでしょうね。
飯田)この宣言の影響もあり。
高橋)前年比だけで見ると、前の年も悪いので、気を付けないといけません。コロナの影響で前年が普通の年ではありませんから。
飯田)2020年3月を考えたら、相当落ち込んでいましたからね。3月、4月、5月と。
高橋)伸び率だけを見ると、前の年が普通だという前提であれば、これでもいいのですが、前の年が違うときには違う読み方をするべきです。1年間の数字だけを見ているとよくわからないのです。2~3年を続けて見ると、ある程度わかります。
飯田)そうですよね。11日に発表された数字で3月の数字が出たので、年度と3月単月で出ていて、3月単月の方を取って「6.2%プラスでした」とするメディアもありました。
高橋)そう言うといいように見えますが、3月だけではなく、その前も悪いわけです。2020年2月くらいからずっと悪いのです。それと比較して「あまり動いていない」というのは悲しいですね。2020年の1年間は、その前の年と比べるとかなり低い。コロナになってから、旅行や飲食なども含めて消費需要が飛んでしまっています。消費が飛んでいるからGDPが落ちてしまって大変なのです。
それでも世界のなかでは失業率の低い日本~そのために増やした「雇用調整助成金」
高橋)それでも世界で見ると、日本は落ちていない方です。結果的にそれが雇用の安定というか、失業率が高くなっていないことにもつながっています。
飯田)足元で2.9%くらいですか。
高橋)それは上がっていますよ。でも他の国に比べるといい方です。「他の国と比較してどこが悪いのか」ということを考えながら、雇用を守ることを目標にして来ました。やり方として、そういうときに維持しやすい「雇用調整助成金」などを増やしたのです。「現金給付をなぜしないのか」という話もありますが、現金給付は、どちらかというと失業が出てしまったあとに対応する手段なのです。それであれば、「失業が出ないように頑張った方がいい」という割り切り方もあるのです。
飯田)収入が途絶えたあとの手立てではなく、収入が途絶えさせない方をやったと。
雇用調整助成金制度がない国は失業率が急激に増える
高橋)いろいろな国を見ながら、いろいろなやり方をするのですが、例えば雇用調整助成金の制度がない国もあります。そうすると失業率が「ポン」と増えるのです。増えるから仕方なく現金給付になってしまう。アメリカはそうですね。
飯田)そもそも雇用保険などの制度が。
高橋)ほとんどないので、失業率が跳ね上がるのです。それがいいのかどうかということを議論するためにも、国際比較をしながらやっているのです。
飲食店などへの休業補償は手厚くやるべき
飯田)今回雇用は維持されて、ある程度社会は安定しているかも知れません。一方で、飲食などが大変な状況になっています。
高橋)日本では憲法を改正しないからできないのですが、私権制限をしながらやると、個々の業種はいまほど厳しくならないのです。これもバランスなのです。日本は私権制限ができないから、どうしてもある業種に偏ってしまう。私は「そういうときには休業補償を十分に出して欲しい」と言っています。申し訳ないですけれど、全額ではないにしても、そこは「手厚くやりましょう」ということでやっています。
都知事の「このままですと、協力金の支給は事実上不可能」は政治的な発言
飯田)都知事から「このままですと、協力金の支給は事実上不可能。国が責任を持って、地方負担がこれまでの同割合(8割)ということの早急な見直しを」というような発言がありましたが。
高橋)そんなことはないですよ。都知事さんは自分のところだけの話なので。自分のところの財源もまだありますけれどね。
飯田)財政調整基金はまだあると。
高橋)資産と負債の超過金額を見ると、10兆円という数字ですからね。極端に言うと、10兆円の負債を出しても財政状況は悪くならないですよね。
飯田)資産の裏打ちがあるだけに。
高橋)「これ以上出せない」というのは政治的な発言ではないですかね。
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