ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月26日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。政府がコロナ禍の長期化に対応するため、困窮世帯向けに新たな支援金制度の創設の検討に入ったというニュースについて解説した。
政府、コロナ長期化で新支援金~困窮世帯に最大30万円
政府はコロナ禍の長期化に対応するため、生活に困窮する世帯向けに新たな支援金制度を創設する検討に入った。生活保護に近い水準の世帯で、預貯金が100万円以下などの要件を満たす場合、3ヵ月間で最大30万円を給付するよう調整する。
飯田)この給付金は世帯単位での給付ということで、単身ですと月6万、2人なら月8万、3人以上なら月10万とする方向だということです。
高橋)これは政治家向けの発言ですが、お金がまだ余っているから、使わないと次が出て来ないのですよ。だから使った方がいいのです。未執行が多いと次の体制が打ちにくいのです。財務省から「まだ残っているでしょう」と言われるので、どんどん使った方がよろしい。
飯田)当初予算の部分では5兆円の予備費という。
高橋)あれはほとんど使っていないのではないでしょうか。いまGDPが落ちているから、使っても問題ないのです。そのまま放っておくと半年後くらいに失業が増えてしまいますから、いまはその予防のためにこういう政策をするべきなのです。
飯田)直近のGDPで、1~3月期のものが出て来ましたけれども、消費が落ちていますよね。
高橋)消費が落ちているということは、貯蓄が増えているので、その分エネルギーが溜まっていると理解した方がいいかも知れない。いい政策をしたらすぐに伸びますよ。
国民の消費が上がって来たアメリカ
飯田)諸外国の例でも、コロナがまん延しているところで消費が落ち込んでいましたけれど、いまアメリカなどは相当盛り上がって来ています。
高橋)みんな抑圧されていたのでしょう。抑圧されているから気持ちも荒んでいるのだけれども、そういうものを爆発させる政策をこれから考えたらよろしいのです。
飯田)財政で最初にキックオフするような後押しをしてあげるということですか?
高橋)私は「Go To トラベルバージョン2」とか、グレードアップしたものを考えますけれどね。
いまのペースで行けば、7月末には高齢者の6割以上が接種~重症者数は減少へ
飯田)そこはワクチンの普及との見合いと。
高橋)それはそうですよ。大規模接種が始まった初日(5月24日)で、全国で60万人弱くらいです。もう少しペースアップしますよ。いまのペースで行ったら、1日当たりの接種が60~80万くらいまで行く可能性があります。2ヵ月間で高齢者の6割以上が接種できるではないですか。
飯田)7月末という、いまの目標としている数に近くなる。
高橋)6割くらい行けば、重症化率は大きく下がります。そうすると医療の話は問題にならなくなります。7月ぐらいにはそうなるのではないでしょうか。あくまでも予測ですけれどね。
飯田)ワクチンは完全に感染を予防するというものではないけれども、重症化予防という意味では、かなり効果があるということです。
高橋)特に65歳以上の高齢者が重症化するのです。その世代に打っておけば、重症患者は少なくなります。あとは病床の話などいろいろとありますが、医療従事者が先にワクチンを打っているでしょう。医療崩壊させないためにやっているのだけれど、なぜ医療関係者は自分たちが先にワクチンを打っているのに、あまり受け入れないのか、私は不思議ですけれどね。
飯田)ワクチンを打っておけば、感染しても軽症で済むし、そうすると医療崩壊までは行かずに済むから。
高橋)そのはずなのに受け入れないでしょう。そこが変ですけれどね。「何のために先に打ったのですか」と思います。だから自衛隊が出て来なくてはならなくなる。
法改正には時間がかかるので超法規的措置で
飯田)よく有事モードと平時モードという話がありますが、やはり命令一下で動いてくれるというところで今回、自衛隊の大規模接種センターをつくったというような話もあります。厚生労働省も含めて、既存の官庁はなかなか動き難いところがあるのですか?
高橋)制度がうまく行かないというところもあります。例えばワクチンの話だと、実際に法改正には1年くらいかかるし、その他審議会などで1~2年かかってしまいます。そういうことがあるのは事実です。やりにくいのはそうだけれど、それ以外のところで先にワクチンを医療従事者に打ったということは、「コロナのために体制を整えてください」という意味もあるのですが、どうもうまく行っていませんね。
飯田)法改正の部分は、いま医師法の17条でしょうか、「医療はお医者さんがやる」ということになっていて。
高橋)お医者さんがやって、注射は看護師がお医者さんの指導のもとでやると、そういう制度ですね。
飯田)そうすると、お医者さんの数が絶対的に必要になって来るのだけれど、諸外国のようにドラッグストアで打つということはできない。
高橋)薬剤師については、アメリカなどでは打てますが、日本ではすぐにはできません。これをやるには時間がかかります。だから仕方なく、超法規的措置を取っているということです。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。