日本に原子力発電が必要なこれだけの理由~エネルギー基本計画

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月8日放送)に政策アナリストの石川和男が出演。2021年夏に改定されるエネルギー基本計画について解説した。

2020年9月26日、東京電力福島第一原子力発電所を視察する菅総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/26fukushima.html)

政府がエネルギー基本計画について、原発の新たな増設を盛り込まない方向で検討

この夏に改定される「エネルギー基本計画」について、政府は有識者会議などで議論を進めているが、「国民の理解を得られない」として、原発の新たな増設を計画に盛り込まない方向で検討していることがわかった。一方、老朽化した原発を建て替えたいとする電力会社もあり、計画に盛り込むか検討を続けている。運転期間を40年とした場合、2050年に残る原発は3基と試算されている。

飯田)エネルギー基本計画についてですが。

石川)「エネルギー基本計画」と言うと、難しそうな言葉なのですが、これは「3~4年に1回、政府で決める」という法律になっています。そういう法律があるのですね。エネルギーには原子力、化石燃料、天然ガス、石油や石炭などいろいろありますよね。

飯田)いろいろあります。

石川)その他にも最近よく注目を浴びている太陽光など、いろいろなエネルギー源があるのですが、そういうものについて、いまであれば「2030年に原子力をどのくらい使うか」、「太陽光はどのくらいまでを目標にするか」というようなことを決めるのがエネルギー基本計画です。

政府としては国民の理解が得られないため、原子力発電所の新増設はしない方針

石川)いま検討しているのは、2018年に決めたものを改定するということです。そのなかで、先日も報道がありましたが、政府としては「原子力発電所の新増設はしない」ということで話を進めています。国民の理解が得られないからだということです。3月11日の福島第1原子力発電所の事故のトラウマが、まだ日本全体を覆っているのです。そういうなかで「原子力をやろうか」という姿を見せるのは、「時期尚早だ」ということを言っているわけです。

日本に原子力発電が必要な理由

石川)ただ私が思うのは、なぜ原子力のようなややこしいことをやるのかと言うと、必要だからやっているのです。日本はヨーロッパ諸国に比べて、面積は意外と大きな国なのですが、化石燃料がない。石炭はたくさんあったのですが、掘りつくしてしまった。

飯田)尽きてしまった。

石川)ガス・石油はほとんどない。全然足りない。輸入しないといけないのですが、船で持って来るわけです。例えば、中東から多く持って来るのだけれど、中東は政情が不安定だから、何かあると途端に入らなくなって、値段も上がってしまう。その代わりに、原子力が安定しているから入れましょうということでやって来たのだけれど、3.11でああいうことになった。

化石燃料を輸入し続ける日本

石川)あの事故から10年経っても、まだ政治的にも精神的にも克服できていない。しかし、早く原子力を再開させないと、化石燃料を輸入し続けなければならない。最近、日本は世界でも有数の太陽光王国なのです。でも日本は世界2位~3位の経済大国なので、とても太陽光や再生可能エネルギーだけでは足りない。

飯田)需要が多過ぎるから。

石川)ついでに言うと、脱炭素で「化石燃料はもうやめましょう」というときに、再生可能エネルギーはCO2を出しませんからね。こちらもやって行けばいいのです。しかし、いくらやっても足りないものは足りない。原子力は都合がよくて、CO2が出ない。しかも安定しているので、もう一度入れて行こうかという議論を推進しようという意見もあるけれども、反対も多い。いまはこのせめぎ合いのところです。「まだ日本全体が冷静になれていない」ということは、残念なところですよね。

小型化に進化している原子力発電~小型炉は5万キロワット

石川)いまの日本にある原子力発電所もそうですが、世界でも有数なのは大型のものです。専門的に言うと、100万キロワット級というものです。小型炉は5万キロワットくらいで、小さいのです。こういう新しい技術も出ていますし、安全性も高い。

飯田)安全性も高い。

石川)水に浮かべるものは、ロシアが進んでいます。あの国は寒く、周りが全部氷ですから。それなら、移動しやすいように川や海に置けばいいではないかという発想で、もうロシアでは商業化されています。

新たな原子力の技術を日本も取り入れるべき

石川)世界では新しい技術がたくさん出て来て、原子力は増えているのです。もちろん再生可能エネルギーも増えていますが、エネルギー需要が増えているのだから、原子力も増えている。そういう新しい技術を日本も入れるべきなのです。

飯田)新しい技術を。

石川)いまは原発を陸地でやっていますけれども、反対運動も多く、誘致するのが難しいのです。それであれば、日本の近海に浮かべてやるという方法もあります。陸地にあるときよりも安心感があるだろうというようなことを、本当はこの計画に入れないといけないのですよ。しかし、そういうものは国民の理解を得られないと、政治側が思ってしまっているので、その文言を入れられないのです。

「再生可能エネルギー推進」勢力と「原子力推進」勢力が対立する日本

飯田)エネルギー計画だけではなくて、政府全体の成長戦略も検討されていますが、そのなかでも原子力について、「引き続き最大限活用して行く」という文言が削除されたような報道もありましたが。

石川)正式に決定するのは7月なので、最終的にどうなるのかは、決着を見なければわかりません。政府のなかでも、原子力というのは、あまり書きたくない。その代わり、再生可能エネルギーを積極的にやろうと。これはいいと思うのですが。

飯田)再生可能エネルギーを積極的に。

石川)政府のなかでも、エネルギーの問題をめぐる話を聞いていると、「再生可能エネルギーをやろう」という勢力と、「原子力を推進しよう」という勢力は、対立して喧嘩ばかりしている。こんなことで対立している国は日本だけですよ。

「化石燃料・原子力・再生可能エネルギー」のベストミックスでエネルギーをつくるべき

石川)日本のように化石燃料はない、太陽光も足りない、風力でも日本の人口を賄えないとなると、原子力もやる、石炭もやる、ガスもやる、太陽光も、風力もバイオマスも水力も、みんなやって、「どれか1つがダメになっても他がある」というようにしておかないといけないのです。それなのに、1個だけボコンと落ちてしまっているので、安全保障上まずいです。確かに原子力は安く安定的につくれるのですが、それ以外に安全保障という部分がある。太平洋戦争は、石油を止められたところから始まったという部分もあったわけで、エネルギーは重要なのです。

飯田)確かにそうですね。

石川)化石燃料、原子力、再生可能エネルギーの三つ巴、この三角形を、うまく正三角形に近付けるような形で、「上手にベストミックスでやって行く」ということには、まだなっていないのです。

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