ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月20日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出について解説した。
福島第1原発の処理水
加藤官房長官は4月19日の記者会見で、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出決定をめぐって、韓国の学生団体がソウル市内の日本大使館前の路上で16日から続ける抗議デモについて、「韓国政府、現地警察当局に対し、座り込みデモの撤去を要請するとともに、警戒態勢の強化を申し入れ、適切な対応を要請している」と述べた。
飯田)福島第1原発の処理水の海洋放出についてですが。
トリチウムは自然界にもある。原発処理水の海洋放出は中国、韓国も行っていること
高橋)化学の話なので、感情的にやらない方がいいと思いますけれどね。
飯田)もうそれに尽きると。
高橋)トリチウムは自然界にもあるし、薄めたものはどこの国でも出しているものです。中国や韓国もずっと出しています。原発を運用する以上、冷却しなくてはならないので、こういうものは発生します。トリチウムは三重水素ですから、普通の化学的性質は水素と一緒です。普通の水素の代わりにトリチウムの入った「トリチウム水」というものもあります。それを普通に飲んでいますからね。何がいけないのか理解不能です。
飯田)出て来るエネルギーも非常に微量であるということで、紙1枚で遮蔽ができるということです。
高橋)放射性物質であることは間違いないのだけれど、そのなかで最も無害というものです。だから現にどこの国でも出しているし、ごく普通に飲んでいるものです。「薄めればそれでいいではないですか」としか言いようがないです。
飯田)テレビの報道等でも、「今回の決定が精査されずに突如決まった」と言っている学者さんもいらっしゃいましたが。
高橋)それこそ風評被害につながる誤報ですね。1年以上前に報告書が出ているし、各国の大使館にもみんな説明しました。それで問題なく、IAEAなどの国際機関にも行って、国際機関の方からも詳細な評価書が出ているので、まったく問題ありません。そもそもこの原発の話ですから、10年くらい前からの経緯がある話ですよ。
風評被害を誰がつくっているのか
飯田)福島の現場でやっていらっしゃる方は、海産物や農産物のモニタリングなどをものすごく丁寧にやっています。
高橋)そういう人たちが困るのが風評被害なのです。その風評被害を誰がつくっているのだと思いますけれどね。風評被害に関しては、マスコミの報道の仕方しかありません。きちんと報道すれば、私が先ほど言ったように、自然界にある話だし、安全性も確保されているし、報告書もあるし、国際機関でも評価されています。別に大した話ではないと思えるではないですか。それを思えないくらいに報道しているのは、ごく一部の人の意見を大きく取り上げているということではないですか?
飯田)結局それでつけられたイメージのようなもので、刷り込まれてしまうと。
高橋)イメージをつくっているのはマスメディアなのです。
「IAEAの基準に適合した手順に従っているとされるならば、あえて反対しない」と言い方の変わった韓国
飯田)周りの国々のなかでも、アメリカはきちんと評価している一方で、中国や韓国は激烈に批判している。
高橋)中国と韓国だけですよ。韓国などは、ケリー米特使に「そんなことを言っている方がおかしい」とやられてしまったわけです。それで韓国も「IAEAの基準であればいい」と言い出した。
飯田)きょう(20日)の国際面に載っていましたけれど、「IAEAの基準に適合した手順に従っているとされるならば、あえて反対しない」と。
高橋)こんな変な議論をしていたら、アメリカや他の国からは「韓国は何を言っているかわからない」ということで、議論できなくなりますよ。
風評被害は差別やいじめと同じ
飯田)農産物等々、輸入を制限したりと、アジアの各国はよくありますけれども。
高橋)それは完全に風評被害ですよ。そういうものを助長するような感じになるのです。風評被害はある意味で感情の話でしょう。だからこれはいじめか差別なのですよ。「福島のものはダメだ」という言い方は完璧に差別になるわけです。風評被害を風評被害と言わないで、差別やいじめだと認識した方が私はいいと思います。根拠なしで言うのですから、差別なりいじめになるでしょう。
飯田)福島で農業や漁業をやっている方を取材すると、「別に特別待遇して欲しいわけではないんだよ」と。「俺たちは一生懸命つくっているから、これを同列に並べて欲しい」と。味が悪くて手に取ってもらえないのは仕方がないけれど、そうではなくて、いわれのない差別とは非常に憤りだと、差別という言葉を使っていらっしゃいました。
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