コロナ禍における受診控えがもたらす眼病へのリスク
公開: 更新:
東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が6月21日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍における受診控えがもたらすリスクについて解説した。
飯田浩司アナウンサー)東京都医師会理事で、浅草にあります「ささき眼科」院長の佐々木聡さんをお迎えしまして、眼科における新型コロナウイルス感染拡大の影響、コロナ禍で心配される目の病気について伺います。佐々木先生、おはようございます。
佐々木)どうぞよろしくお願いいたします。
新型コロナの影響で多く見られる受診控え
飯田)新型コロナの感染が言われ出してから、もう1年半くらい経ちますが、眼科でも受診控えなどの影響はありましたか?
佐々木)はい。昨年(2020年)4月の緊急事態宣言に始まって、第2波、第3波、いまこの第4波。眼科以外の科もそうですけれど、大きく影響を受けたのは小児科、耳鼻科、そして眼科、歯科があると思います。
飯田)受診が減ってしまう理由はどのようなところにありますか?
佐々木)眼科の受診控えの大きな理由は、眼科の深刻な病気には自覚症状が出ないということがあると思います。
飯田)以前にご出演いただいたときも、緑内障などのお話もされていらっしゃいましたが、気付いたときには、かなり進んでいる方が多いとおっしゃっていましたね。
佐々木)定期検査に行かないといけないことは頭ではわかっていても、辛くもないのでついつい受診を控えてしまうということが起きているようです。
受診控えによって生じるリスク
飯田)感染の状況も地方と都会で違いますが、その辺りも何か影響がありましたか?
佐々木)地方よりは東京、東京でも周辺部より都心部の方が影響が大きいと言われています。
飯田)受診を控えることによって生じるリスクには、どういうものがありますか?
佐々木)まずは病気の重症化です。それから疾病の早期発見、早期治療の遅れにつながると思います。
定期検査を1年以上しないことのリスク
飯田)定期検査をしている人が、1回飛ばすと、スパンとして半年~1年くらい空いてしまうということになりますか?
佐々木)そうです。なかには1年間、「(コロナの感染が)怖いので行きませんでした」という方もいらっしゃいます。
飯田)1年間というのは、眼科のお医者さんから見ると、長いですか、短いですか?
佐々木)長いです。ただ、緑内障は20~30年かけて進む病気なので、1年間くらいだと大きな影響はありませんが、そこで完全に中断してしまうということは怖いですね。
オンライン診療に不向きな眼科の病気
新行市佳アナウンサー)コロナに対応するために、初診をオンライン診療にするというのが限定的に認められていると思うのですが、眼科でのオンライン診療というのはいかがですか?
佐々木)眼科はオンライン診療にはとても不向きな科です。ご存知のように、眼科に行くと視力を測ったり、屈折を測ったり、眼圧を測ったり、顕微鏡でみたり、眼底検査をしたり、写真を撮ったりと、いろいろな検査をします。それらの情報を組み立てて診断している科なのですけれども、オンライン診療では、ほとんどそれができない。ものもらいなどの外見だけでわかるような病気であれば、それでいいのかも知れませんけれど、眼底の病気や眼圧が関係する病気などは、オンラインでの診療は難しいと思います。
飯田)内科のオンライン診療を伺ったときにも、患者さんに言葉で説明してもらわなければならないから、オンラインでこちらから質問を投げかけると時間がかかるとおっしゃっていました。眼科の場合は、先生からのご指摘がありましたけれども、自覚症状がないと説明のしようがないわけですよね。
東日本大震災の際に活躍した「ビジョンバン」
飯田)災害などが起こったとき、お医者さんに行こうと思っても行けないということがあった場合、過去にはどのような手立てがあったのでしょうか?
佐々木)東日本大震災のときに、眼科医会で「ビジョンバン」という車を用意したのです。大型のワゴン車のなかに、先ほど言ったいろいろな検査の機械を積んで、被災地をめぐって眼科の診療を行いました。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます