「法による統治を守らない国」という烙印が押された中国の行きつく先 ~香港「蘋果日報」の幹部5人が逮捕

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。香港紙「蘋果(ひんか)日報」への弾圧が強まるなか、香港で多数の市民が同紙を買い求める支援の動きが広がっているというニュースについて解説した。

習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委員会主席は3月6日、中国人民政治協商会議(政協)第13期全国委員会第4回会議に出席している医薬品・医療衛生界、教育界の委員を訪ねて意見や提案を聞いた。〔新華社=中国通信〕=2021年3月7日 写真提供:時事通信

香港「蘋果日報」の幹部5人が逮捕~市民の間で支援の動き

中国当局に批判的な論調で知られる香港紙「蘋果(ひんか)日報」の幹部5人が、香港国家安全維持法に違反したとして逮捕されたことを受け、香港市民の間では新聞を買って支援する動きが続いている。6月18日に発行された新聞は、前日の6倍以上にあたる50万部にのぼった。

飯田)2019年に起こったデモ活動に関しても、学生に対して「支持」という立場を明確にしていた唯一の新聞だったわけですが。

「蘋果日報」幹部5人の逮捕は見せしめ的なもの

須田)「蘋果(ひんか)日報」の幹部5人の逮捕は、今後のことも考えて、ある意味で見せしめ的な逮捕であり、摘発であり、資産押収でもあるわけです。これをすべてやっていると物理的にも大変なことになりますから、こうして見せしめ的に反政府、反香港政庁、あるいは中国共産党に反対するような動きをすると、「こういうことになるぞ」と見せしめでやったというのが正しい理解なのではないかと思います。

「法による統治を守らない国」という烙印が押された中国~外国企業の香港からの撤退が進む

須田)ただ、こういうことをやると、かねてからそのリスクについて心配されていたのですが、欧米から見ると「中国は法による統治を守らない国」という烙印を押されてしまうのです。押されかねないではなく、「押されてしまった」のですが。

飯田)法による統治を守らないと。

須田)それは今回のメディアの件だけにとどまる話ではなくて、香港は外国企業がたくさんいて、正しいかどうかは別として、西側先進国、欧米流の“ルール・オブ・ロー”の精神に則って運用されている、規制されているという状況から、その辺りが混沌として来てしまった。もっとはっきり言うと、中国共産党の恣意的な動きによって、如何様にもルールが変わるという状況になった。これによって、進出している外国企業の撤退が加速して行くのではないかと思います。

西側諸国に譲歩すると共産党の支配体制の基盤が揺らいでしまう中国

飯田)香港もそうですし、ウイグル、チベットなど、人権問題に関しては、この間のG7サミットでもその部分が声明に載っています。それに対して香港も中国もそうですが、より強硬になって行っている感じがありますよね。

須田)そこを緩和して、西側先進国含めて納得するような形に戻すのか、それとも乖離化して行くのかと言うと、共産党という支配体制を守るためには、譲歩してしまうと国内の基盤が揺らいでしまうリスクがありますから、強硬化して行くしかないのです。

経済成長して行くためにはどこかで方向転換をしなくてはならない

須田)しかし、経済的な締め付けや技術開発面でのデカップリング、要するに中国の切り離しが今後加速して行くでしょうから、どこかで方向転換をしないといけないのではないかと思います。加えて、中国では国内問題として少子化、高齢化社会を迎えていて、人口ボーナスを失うという状況を迎えています。経済的に厳しく、経済成長して行けない。経済成長できないとなると、国民の不満が爆発することになりますから、それをどう考えるか。強硬路線を取って行けば、行き着く先は一緒なのではないかと思いますけれども。

飯田)経済が回らないことで国民の不満が高まって来る。それをある意味で逸らすためにも、外に対して強硬になるという、一連のサイクルがそこに向かって行ってしまっている感じがありますね。

須田)そして、対外的な強硬路線を進めて行くと、また経済的に大きなダメージを受けてしまうということになりますからね。

日本に地政学的なリスクが高まるのは北京オリンピック後か~そこに向けて日本がするべきことは何か

飯田)そこで、地政学的なリスクも大きくなって来る。台湾海峡の話も出ますが、そうなると日本も完全に当事国ということになります。

須田)そのリスクがいちばん高まるのは、北京オリンピック、あるいは中国共産党大会が終わったあとだと言われています。しかも、習近平国家主席の体制が3期目を迎えて行くなかで、とも言われています。では、その時間軸が見えて来るなかで、日本はそこに向かってどのような態勢を整えて行くのか、「やらなくてはいけないことは何なのか」ということを考えるべきだと思います。

飯田)そうすると、いままでのように、「中国には約13億の人口がいて、ここの需要を取り込めば大成長できる」というところからは変わって来ますね。

須田)その辺りの頭の切り替えが、日本の経済界では進んでいないのです。だから、引き返すに引き返せないという状況になりますが、国際社会を考えると、アメリカ、ヨーロッパがどう動いているのかということを見て、冷静な判断をするべきだと思います。

ユニクロの米国における輸入差し止め~企業としてのスタンスが問われる

飯田)ユニクロの商品が、アメリカの税関で一時止められたという話もありました。「新疆の綿を使っているのではないか」ということが問題になったと報道されていますが、今後はいろいろな業種に及んで来る可能性も高いですか?

須田)ユニクロが失敗したのは、最初に問題が指摘されたときに、きちんと説明をしなかったことです。トップ自らが「政治問題には口を挟まない」ということで、説明をしなかったのが大きな問題です。あとから「使っていませんよ」といろいろなデータを出して来ても、なかなか理解してもらえないのではないかと思います。企業としてのスタンスが問われているわけですから。

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