ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日放送)に元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。ワクチン接種体制の現状について解説した。
ワクチン接種体制の現状~最新状況
6月21日~25日は「1都3県ワクチン接種体制の現状」と題し、日々、刻々と変わるワクチンの接種体制や自治体の取り組みについて、「現時点での状況」を特集する。今回は首都圏以外の現状について。
職域接種によって進んだ接種回数
飯田)今週は1都3県のワクチン接種体制の現状として、東京、神奈川、千葉、埼玉とお送りしてまいりました。今回は、それ以外の都道府県での先進的な取り組みをご紹介して行こうと思います。
6月9日以降の接種は1日100万回以上
飯田)まず国内の高齢者の接種状況です。政府の集計によると、少なくとも1回は接種したという65歳以上の高齢者の方が、半数を超えたということです。高齢者への接種は4月12日から始まって2ヵ月あまりとなりますが、6月に入ってから1日80万回~90万回ペースで接種が進む日もあり、さらに年齢問わず全対象者への1日あたりの接種回数は6月9日以降、100万回を超えて来ています。当初、「100万回など夢のまた夢で、そんなことはできないだろう」という批判もありましたけれども、この国はやればできるのですね。
松井)そうですね。職域接種が効いたのではないですかね。
飯田)産業医の方々に協力してもらうというのは、なかなかいいアイデアでした。
松井)これにこだわられたのは菅さんらしいので、私は菅首相については基本的に厳しいのですけれど、本件は菅さんの執念がある程度実を結んだのではないでしょうか。まだ途中ですけれどね。
飯田)やはりリーダーが、総理が、これはやるのだとなるというのは強いのですか。
松井)総務省が自治体に、地方交付税についても言及しながら圧力をかけるなど、少しやり方としてはどうかという議論もありましたが、それだけの必死さがあったし、職域あるいはそれにとどまらず取引先など、そういうところに広がって行くと、やはり日本というのは、なかなか大したものですよ。
飯田)そうですね。
松井)今回、まず自衛隊が大手町で範を示しました。当初は自衛隊のご家族の動員までしました。私も慶應大学で職域接種しましたが、卒業生のネットワークもフル動員してやったということは有効でした。新しい「公共」を考えるときに、もちろん医師、看護師、医療従事者というのはコアにあるけれど、医師だけが医療行為を担うのではなくて、それ以外の人たちがそれをどう支えて行くかということが大切になると思います。
地域や職域でボランティアなどの人材を上手く使う
松井)私は打ってもらいましたが、今後、もし手伝って欲しいということがあったら、打って罹患を逃れた人間は、ボランティアとして地域や職域でお互いを支える側に回り、誘導する、または不安な人の話し相手になるなど、何らかの形で恩返しをしなければいけないと思います。そういうことが大事だし、日本社会の強みなのではないでしょうか。
飯田)自発的にそう思う人はかなりいるでしょうね。
松井)そう思います。それを上手に使えている首長さんや、職域などで上手にオーガナイズできる人と、そういう人材がいないところもあります。地域の医師会の特徴にもよるし、一概には言えませんが。
高齢者へ接種日を決めて連絡する「プッシュ型」で接種率が最も高い佐賀県
飯田)接種の割合が最も進んでいるのが佐賀県です。なぜ上手く行っているのかというと、これは鳥栖市の例ですが、町内にある4医療機関側から、通院する高齢者に個別に連絡して接種日を決めるという、「プッシュ型」で行っています。「ここでやりますから来てください」と言うと、特に高齢の方は来てくれるという事例があるとのことです。佐賀県は高齢者への接種が進んだので、独自の大規模接種を6月19日から土曜・日曜に進めているということです。
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