ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。7月18日に投開票された兵庫県知事選挙について解説した。
旧自治省が固持して来た兵庫県知事~県民からの回答が今回の知事選の結果
20年ぶりに新人同士の争いとなった兵庫県知事選挙は、7月18日に投開票され、無所属で自民党と日本維新の会が推薦した斎藤元彦さんが初当選した。引退する井戸敏三知事の後継として支援を受けた前副知事の金沢和夫さんは敗れた。
飯田)斎藤さんは前大阪府財政課長ということです。
須田)20万票以上の差が付きました。多くのマスコミは、「これまで兵庫県政は知事から副知事への交代が前提になっていて、それが途絶えた」という指摘をするのですが、そうではないのです。兵庫県の知事は、代々、旧自治省が固守して来たところなのです。前知事の井戸さんもそうですし、金沢副知事も含めて旧自治省、いまの総務省が送り込んだ人物だったのです。
飯田)総務省が。
須田)それに対して、結果として「県民がノーという回答を突きつけた」ところが大きいのです。実は井戸さんは絶対権力者というところもあって、井戸さんの顔色を伺うように県の職員や県議会の議員も仕事をしていたという面が強いのです。それに対して金沢副知事は常識的な人で、この方がほとんど県政を回していたのです。私も何度か取材したことがありますが、人間的にはいい人です。ただ、硬直化しているというか、20年もやっているとそうなるのかなと思うのですが、小回りが効かないような県政だったのです。すぐ的確に動くことができない。すべて井戸前知事の了承を取らなくてはならないところがあったわけですから、なかなか前に進んで行かない。
飯田)コロナ禍だと、そういうところも問われますものね。
兵庫県にも影響力を持つようになった維新の会
須田)その一方で、それとなく隣の兵庫県にも影響力を持っていた維新の会が、とうとう兵庫県にも大きな影響力を持つようになったということは、注目ポイントだと思います。
飯田)大阪維新の会が母体となりますが、近畿というより「大阪府内だけなのだ」ということが指摘され、その周りは選挙でも、あまり強くないということが言われていましたけれど、今回勝ったのは大きいですか?
須田)そうですね。これまで大阪府大阪市と兵庫県はギクシャクした関係にありましたから。
飯田)1回目の緊急事態宣言のときも、大阪との交流をどうするかでいろいろな議論がありました。
須田)近畿の県知事会のなかでは、ずっと井戸さんがトップを務めていましたからね。広域の。
飯田)広域連合の。
須田)その辺りもあって、近畿2府4県でギクシャクしていたのが、一気通貫して行くのではないでしょうか。
飯田)そうすると、広域行政もやりやすくなって行くということもあると。
須田)その辺りも維新が主導して行くのではないかと。そういうことが見えて来た感じがします。
知事と議会の緊張感のある関係~20年ぶりにあるべき姿に戻る兵庫県政
須田)そしてもう1点、旧自治省の知事、県議会がもたれ合うようにして好き勝手に県政を動かして来たという側面がありましたが、これからは緊張感が出て来るのではないでしょうか。金沢さんのことを、自民党の県議会議員が応援したということで、今後は逆の関係になりますからね。
飯田)よく地方自治は「二元代表制」だと言います。そうすると、知事と議会はある種の緊張関係を孕んでいるところがあり、その原点に立ち返ると。それで政策が切磋琢磨されればいいということですか?
須田)そうですね。兵庫県政にしてみれば、20年ぶりにあるべき姿に戻るのかなという感じがします。前回の知事選挙のときに、そのことを訴えたのが亡くなられた勝谷誠彦さんです。
飯田)そうですよね。
須田)あのときに、兵庫県政の問題点を提起しました。結果的には敗れたけれども、あのときに蒔いた種が、今回刈り取られることになったのだと思いますね。
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