米中の衝突の場となるAPEC~もう「おいしいところ取り」はできない日本

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。7月16日にオンラインで開催されたAPECの非公式首脳会議について解説した。

バイデン次期米大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席=2020年12月2日 写真提供:共同通信社

APEC、オンラインで非公式首脳会議を開催

21ヵ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)は、7月16日夜、オンラインによる非公式首脳会議を開催した。共同声明では、新型コロナウイルスのパンデミックに対抗するため、ワクチンの供給、製造拡大に取り組むと発表した。

飯田)今回の非公式会議は、今年(2021年)の議長国であるニュージーランドが「経済回復を加速させるために必要」と提案し、急遽開催が決まったということです。

今後は米中の衝突の場所となるAPEC

須田)APECは経済協力会議なのです。いちばん経済成長性の高い「アジア太平洋地域でどのように経済を成長させて行くか」というところが原点としてあるわけです。これは米中関係がよかったときにスタートしているものですが、そこから一変しましたよね。完全にデカップリングという方向にいまは動いています。そういう意味では、今後、APECで足並みを揃えてものごとを決めたり、同じ方向を目指すというより、「両陣営の衝突の場所」になって行くでしょうね。

APECは西側が勢力を強める場所

飯田)今回も「新型コロナウイルスのワクチン供給、生産拡大、推進」というところが共同声明に入りましたが、議論を見ると、中国は「一帯一路」を主張し、アメリカは「自由で開かれたインド太平洋」を主張しています。この辺りも須田さんのご指摘通り、ぶつかっていますよね。

須田)ただ、中国はいま劣勢に立たされていて、いよいよ一帯一路構想も負の側面、かねてから問題が指摘されていた「借金漬けにして」というところなど、いろいろと綻びが出て来ているなかで、APECはアメリカを中心とする西側が攻勢を強めて行く場と位置付けられると思います。

発展途上国にとって「一帯一路」は魅力的

須田)しかし、アメリカがそこで主導権を握ることができるのかと言うと、そこもまた苦しいところです。発展途上国からすると「一帯一路」構想は、インフラを整備してくれて、お金も出してくれるので、とても魅力的なものに見えることには違いないのです。

飯田)中国からの資金が。

須田)それに対して、西側はマーケットメカニズムで動きます。ただ単純に支援や援助ということにはなりません。その辺りがどうせめぎ合って行くかというところだと思います。

統一されたルールが必要

飯田)しかも政治体制や人権の状況も勘案しながら、お金をどう出すかというところを決めて行く西側に対して、中国はそこには何も言わないわけですものね。

須田)問題なのは、「ルールの統一」ができていないということです。中国は西側が決めたルールに対して、それを守らない、チャレンジャーとしてルールを破壊するというところに眼目がおかれているから、よくも「貿易と投資の自由化を推進する」などと言ったものだと。そのためには統一されたルールが必要ですが、ルールを守らないなかで、一帯一路の末路というか、弱肉強食のような「やったもの勝ち」、強いものが勝つということになりますから。

飯田)ノウハウを盗んではいけないなど、さまざまなルールをWTOもつくっているのですが、「守ります」と言って入って来て結局、守らないことが多い。

須田)そうなのです。だから、APECのなかで、サプライチェーンの再構築をどうやって進めて行くのかというところでは、日本も入っていますが、完全にアメリカ中心で、中国外しで動いています。

アメリカ中心で進むサプライチェーンの再構築~いままでのように「おいしいところ取り」はできない日本

飯田)全体の流れがそうなっているなかで、日本企業もそうですが、どう意思決定して行くのかと。いままでのように間に立って、「おいしいところ取り」ということがもうできない。

須田)アメリカがそれを許さないですから。

飯田)アパレル業界などがその状況にありますが、それだけではないですか?

須田)特に、IoTに関連する業種はアパレル業界の比ではありません。そこに対してのデカップリングが進んで行きますからね。

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