-新行市佳のパラスポヒーロー列伝-
ニッポン放送アナウンサー・新行市佳が、注目選手や大会の取材などを通して、パラスポーツの魅力をあなたと一緒に発見していきます
7月11日、ブラインドサッカー男子日本代表の強化合宿が奥戸総合スポーツセンター陸上競技場で行われ、練習の模様がメディアに公開されました。練習後のオンライン囲み取材の模様をお届けします。
5月30日~6月5日に開催された「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」で準優勝した日本代表は、ワールドグランプリで気づいたことを確認しながら強化に励んでいます。ワールドグランプリ予選では、キーパーから前線の選手にロングボールを出す日本の戦略が功を奏しました。
一方、決勝のアルゼンチン戦では、その日本の戦術を分析されて対応されてしまう場面もありました。東京パラリンピックでは、予選プールAでブラジル、中国、フランスと対戦する日本。
「おそらくレベルの高い国との対戦になると、ワールドグランプリでアルゼンチンがやったことを真似して来るだろうと思います。真似ができるレベルの中国とブラジルがいますので、狙われるだろうと想定してプランを立てています」(高田敏志監督)
ボールをつなぐバリエーションを増やすということで、キーパーから近くの選手にパスを出し、手数をかけて前線へボールを運ぶ練習にも力を入れました。
予選で対戦する3ヵ国のチームの印象について、高田監督に質問しました。
【ブラジル】
「ブラジル、中国と当たらないでパラリンピックを終わりたくなかったので、予選で当たれてよかったなと。我々がやって来たことがどう通用するのか、もちろん守備的なところになると思いますが、胸を借りるつもりで恐れずに行きたいと思います。(以前対戦した際に)日本のバリエーションにパパっと対応して来て、即興性もあります。技術、戦術、フィジカル+即興性、アイデアも含めて世界最高のチームなので、楽しみです」
【中国】
「選手の個人技……ドリブルが素晴らしく身体も強いですし、走れる。彼らの得意な攻撃のやり方をどう抑えて点を取るかというところですね。中国の上手さと、日本の泥臭く守るところのマッチアップを見てもらえると面白いのではないかと思います」
【フランス】
「体格に優れていて……背が高く、足も長くて当たりも強いですよね。ワールドグランプリでの予選3試合で、日本のパスの成功率やルーズボールの回収率がいちばん悪かったのがフランス戦なのですね。体格差にハマらないように早くボールを動かして、ボールに触れなければ相手のフィジカルの強さは発揮できないので、そこを工夫する必要があるかなと思います。フレデリック選手という素晴らしいフォワードがいるので、そこをいかにマークするかです」
また高田監督は、フランスについてはワールドグランプリでの対戦や情報収集ができており、戦い方がある程度見えている一方で、ブラジルはここ数年ゲームをしていないために肌感覚が未知であり、守備から入って行く試合展開が現実的だとしました。そして、予選でカギになる試合として中国戦を挙げました。
「ポイントは中国戦だと思っています。中国戦で勝たないと上に行けないので。日本のブラインドサッカーの歴史を振り返ると、肝心なときに中国が僕らの前にずっと立ちはだかっている。本当のアジアの王者、リスペクトすべき相手なので、その国に予選グループで勝ったら準決勝へ行ける……これほど面白い組み合わせはないと思うし、ものすごくいま、僕らはモチベーションが高い状態です。中国に勝ったらどれだけの人が喜ぶことか。日本のブラインドサッカーの歴史に関わって来た人、みんな喜んでくれると思います」
ここ数年の日本と中国の対戦を振り返ってみると、2017年のアジア選手権グループリーグで中国に0-3で敗れ、グループリーグ敗退。2018年の世界選手権出場を逃しました。また、2019年のアジア選手権では準決勝で中国と対戦し、PKで敗退、3位決定戦へと進みました。
「2016年6月にリオで行われた国際親善試合で、中国に初めて勝ったときのこと思い出して、中国に勝って行きたい」とした高田敏志監督。中国の壁を突破し、日本代表はメダル獲得を目指します。
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