ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月30日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。クウェートで行われたWHOのテドロス事務局長と米ブリンケン国務長官の会談について解説した。
アメリカのブリンケン国務長官とWHOのテドロス事務局長が会談
アメリカのブリンケン国務長官は7月28日、クウェートで世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長と会談し、WHOが中国で改めて行う意向の新型コロナウイルスの起源への調査に支持を示した。中国は2回目の調査に反発している。
飯田)WHOがというか、テドロスさんがというか、これはアメリカ寄りになって行くのですか?
任期が迫るテドロス事務局長
宮家)テドロスさんについては、いろいろなことが言われました。新型コロナの感染が始まったころは「中国寄りなのではないか」と言われていました。私は今回この2人が何を話したか知りません。しかし私がブリンケンさんならば、「お前、最近態度が悪いのではないか? 中国の再調査はやった方がいいよ。お前は本当にこのままフラフラするのかい? そろそろ5年の任期が来るのだろう?まだ若いのだから、再選したいだろう? それならば俺の言うことをきちんと聞けよ。アメリカは支持してやってもいいんだぞ。だけどそれには条件がある。中国に対しては是々非々ではなく、厳しくやってくれなくては困る」……と言っているのではないかと思います。
飯田)テドロスさんはグサッと来ますよね。
宮家)もともと彼は中国が担いだ候補ではなく、アフリカ諸国が担いだものです。なかなかアフリカから事務局長は出せませんから。政府の関係者ではもちろんないだろうけれども、テドロスさんにはアメリカにも支持者がいたのです。
中国の圧力に対してやり過ぎたテドロス氏~中国政府が調査を拒否するもう1つの理由
宮家)新型コロナが始まったときに、中国は相当、焦ったと思うのです。だから彼にものすごい圧力をかけたと思います。それは確かに効果があった。しかし、やり過ぎてしまった。
飯田)やり過ぎた。
宮家)武漢でのWHOによる調査についてですが、本当に何もないのであれば、全部見せればいいわけです。戸を開けばいいのです。それができないということは、1つは何かあるのかなと思うだろうし、何もないかも知れないけれども、外国の独立した何の権限もない国際機関の人々が、偉そうに中国に入って来てやりたい放題やるというのは中国としては絶対認められない。1つの穴を開けられてしまったら、他も全部やられてしまいますから。そうなると国内的に中国が持たなくなります。だから、絶対に拒否なのです。
飯田)国内的に持たなくなってしまう。
宮家)そこはブリンケンさんも賢いと思うので、テドロスさんには「まさか、今後も中国にべったり、そんなことはないでしょうね。再選したいなら、アメリカも条件次第では考えてもいいですよ」なんてことを言ったのではないかと。これは勝手な私の妄想ですよ。
飯田)ということは、この会談も品定めのような。
宮家)2次面接のようなものです。
飯田)役員面接までもう少し。
テドロス氏が従わなければ別の候補を考えるアメリカ
宮家)逆に言うと、これでまた変なことになれば、アメリカも次の候補を考えますよ、ということです。
飯田)別の弾を。
宮家)将来アメリカがそういう動きを示さなければ、テドロスさんにとっては、いい方向に動いていくのでしょうね。
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