ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月3日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。7月の消費者態度指数が2ヵ月連続で改善されたというニュースについて解説した。
消費者態度指数
内閣府が8月2日に発表した7月の消費動向調査によると、向こう半年間の消費者心理を示す消費者態度指数は前月比0・1ポイント上昇の37・5で、2ヵ月連続で改善。態度指数は新型コロナウイルス流行前の2020年2月調査(38・4)以降もっとも高い水準であった。
飯田)半年間の暮らし向きや収入の増え方、雇用環境、それから耐久消費財の買いどき判断について、動向調査を実施するものです。これはいいニュースと見ていいのですか?
クラフト)いいニュースなのですけれども、これは消費者の心理的なものです。1月からのデータの動きを見ると、全部ワクチンと関連しているのです。例えば消費者マインドが最初に反発したのは3月です。
ワクチン接種の普及が経済につながる
クラフト)2月に「ワクチンを供給する」と政府が発表して期待が上がり、この指数が「ポン」と跳ねた。その後、ワクチンが失敗してしまって、そこからまた下がるのです。
飯田)なかなか始まらないぞ、と。
クラフト)今回もまた6月に跳ねたのです。やはり6月末に職域接種が始まり、「これで広まる」ということで、消費者マインドもよくなった。つまり、とにかくワクチンを早く多く普及するということが、経済にとってもいいということを証明しているのです。
飯田)それは諸外国を見ても同じ傾向ですか?
クラフト)同じです。アメリカは度が過ぎているのですけれどね。ワクチン接種率が5割近くになると、みんなもう何でもないと見て、普通に過ごす。そしたらまた、デルタ株で大変だとなっています。
飯田)ニューヨークの市長は「マスクをしなさい」と言っていますよね。
クラフト)ですので、いいことなのだけれど、ワクチンが普及したからといって、「何でもしていい」というわけではありません。とにかくワクチンが大事だということですね。
アメリカで3割がワクチン接種を拒否
飯田)そう考えると、少し前までは、ワクチンを打つ人が足りないと言われていたものが、打つ方が回って来たら、今度は打つワクチンが足りないと。
クラフト)これは政府が試行錯誤して供給に努めて行くしかありません。いまアメリカで問題になっているのは、3割ぐらいの人がワクチンを打ちたくないということで、打たないのです。それによって集団免疫獲得が達成できない。日本でもそういう方がいらっしゃると思います。できるだけ安心して受けられるように、正しいデータを出すことが必要です。ワクチンを2回打てば、感染力は低くなるのです。そして、もっと重要なのは、重症化する可能性が極めて低くなるということです。正しいデータをみんなが知るということが大事です。これはメディアの責任が問われます。
抗体カクテルや治療薬の承認を進めるべき~感染を「ゼロ」にすることは不可能
飯田)いま、主にファイザー社製とモデルナ社製を日本では打っていますけれども、それに加えて、アストラゼネカ社製も一部で使って行くことになるのですか?
クラフト)供給難になっているので、アストラゼネカの場合は一定の年齢以上、40代の方が対象ですので、より若い方にはファイザーとモデルナを回して行くのでしょう。ワクチンに加えて大事なことは、抗体カクテルや治療薬の承認を早く進めて、重症化を防ぐということです。感染を完全になくすことは無理なので、「ウィズコロナ」ということを考えなくてはなりません。大事なことは重症化することと死者の増加を防ぐことです。政府もそこに重点的に力を入れて行けば、多少は安心感が増えるのではないかと思います。
飯田)その進捗がどうなのかを示してくれると。
メディアには正しい報道を
クラフト)そこは政府の発信力やコミュニケーション力が問われるところです。メディアも、特にワイドショーなどで、過激でネガティブなところだけに特化して報道しがちです。プラス面やバランスの取れた報道がされなければ、国民は何が正しいかわかりません。メディアには、いい面と悪い面の両方を報道して欲しいです。
飯田)メールもいただいています。匿名希望の墨田区の方です。「昨日、血圧の薬をいただきに主治医のところへ行ったのですが、お昼の少し前、先生がバタバタしていました。聞いてみると、これからワクチン接種に行くとのこと。お昼ご飯を取る時間もなく、午後1時から3時半までワクチン接種に行き、夕方また診療に戻って来るそうです。医療関係者の方々の本当に大変な状況を目にして、自分ができることをして行かなければならないと感じました」。現場でワクチン接種に尽力されているお医者さんがたくさんいらっしゃるということですね。
クラフト)大変ななかで一生懸命頑張っていただいて、医療従事者の方には感謝ですよね。
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