業種によって二極化が進む~街角景気
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。内閣府が8月10日に発表した7月の景気ウォッチャー調査について解説した。
7月の街角景気改善も、2~3ヵ月先の景気見通しは3ヵ月ぶりに悪化
内閣府が8月10日に発表した7月の景気ウォッチャー調査で、街角の景気実感を示す指数が2ヵ月連続で改善した。また2~3ヵ月先の先行きを示す判断指数が、前月比4ポイント低下の48.4と3ヵ月ぶりの悪化を示し、新型コロナウイルスの感染拡大で景気が冷え込むとの懸念が改めて強まっている。
飯田)景気ウォッチャー調査は、景気に敏感なタクシーの運転手さんや販売店の販売員さんなどに聞くアンケート調査ですが、高橋さんは信頼されていますよね。
高橋)内閣府がやっている普通の景気動向調査より、当たるのでね。この感覚というのは重要です。
飯田)今回は足元の数字として、0.8ポイント上昇で改善ということです。微々たるものですが。
「景気が悪い」と答えた人が少し多い
高橋)ほとんど同じですけれどね。
飯田)数字として48.4でした。これは50でちょうど中立くらい。
高橋)あまりよくないという感じですね。
飯田)どちらかと言うと、若干だけれども「悪い」と答えた人のウェイトの方が高い。肌感覚はそうだろうと思いますね。
高橋)感覚的な話が多いのだけれども、緊急事態宣言が延ばされたり、帰省の自粛など、いろいろなものが出ているではないですか。そういうものが頭のなかにこびりつくので、大体こういう感じになりますよね。それが景気に影響することもあるのです。
業種によって新型コロナの影響が分かれる
飯田)コロナの影響については、製造業や飲食、サービス業でグラデーションがくっきり分かれていると言われています。
高橋)コロナの影響については、製造業の方は比較的影響が少ないけれども、サービス業はきついですよね。対面のサービス業が多いでしょうから、営業の時短要請などは直接響きますよね。
飯田)雇用についてもいろいろ出ていますが、1年以上失業が続くような方が増えているという話が、8月11日の紙面に出ています。その辺も二極分化が進んでいますか?
高橋)こういう時期に儲けられる業種や儲けられる人は、意外にいるのです。二極化というのはありますね。
重要なコロナ対策費とした補正予算を使っていない~医療体制の強化、地方創生交付金
飯田)この先はどう政策として手当てして行くかということです。
高橋)補正予算を使い残しているということには驚きましたけれどね。
飯田)2020年の補正予算。
高橋)2020年の補正予算を大分使っていないのですよね。
飯田)全体のコロナ対策費として出した分で、30兆円くらい残りがあるということです。
高橋)融資に関しては使わないということはよくあるのですが、驚いたのは、コロナの医療体制の強化費が1.5兆円あったのに、あまり使っていなかったことです。あと、時短要請に関する協力金は地方自治体が払うのですが、そのための地方創生交付金、自治体に払うお金もあまり使っていないですね。要するに、重要なコロナ対策のところを使っていないことが多かった。こういうものをきちんと使って行かないと景気は回復しません。
補正予算の積み残しは「概算払い」で行わなかったから
飯田)「地方自治体の事務的なところで手が回らなかったのだ」ということが出ていますが、どうなのですか?
高橋)それはあり得ないですよね。お金を支出するには「概算払い」と「精算払い」の2つのパターンがあります。きちんと明細書を出す精算払いが原則ですが、今回は緊急だから本当は概算払いなのです。それをしなかった。
飯田)会社の経理の清算でも、使った費用のすべての項目を書いて、それからお金をもらうというのが精算払い。概算払いというのは、出張前に仮払いで先にもらうもの。
高橋)まとめてもらうやつです。先払いでもいいのですけれどね。それをしないというのは驚きました。精算払いでやっていたら大変でしょう。事務が手間取ったという前提は、精算払いだからです。私から見ると精算払いがおかしいのです。緊急時なのだから、概算払いなのです。そうしていないから事務が大変なのです。概算払いはあとが大変だけれども、簡単ですよ。
飯田)地方行政を見るということだと、総務省だと思いますが、通達で何とかなったりしないものですか?
高橋)通達で出してもいいのですが、緊急時は概算が普通です。
飯田)自治体の判断として概算でやる。
高橋)概算でやらなかったら間に合わないではないですか。普通に考えたら。
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