ベストセラー書籍『ざんねんないきもの事典』シリーズの監修を手がける、動物学者の今泉忠明が8月15日(日)に放送された、女優・戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)にゲスト出演。動物の面白い生態を紹介するとともに、同作が小学生に支持される理由を語った。
『ざんねんないきもの事典』は2016年に発売以来、大きな話題となりシリーズ化。全国25万人の小学生が1票を投じた「第2回小学生がえらぶ!”こどもの本”総選挙」では1位を獲得。しかも、5位には『続ざんねんないきもの事典』、6位に『続々ざんねんないきもの辞典』、7位に『もっとざんねんないきもの辞典』と、圧倒的な人気を誇っている。
そんな人気シリーズの監修を、動物学者で日本動物科学研究所所長の今泉先生が手掛けている。子ども達から届いた感想を読んだところ、多くの子が「残念でもいいんだ」「少しくらいドジなところがあってもいいんだ」と読み解いていると明かした。
戸田:この『ざんねんないきもの事典』ですが、何がどう残念なのでしょう?
今泉:一般的に本というのは、素晴らしいとか超能力とか、そういうものを取り上げることが多いんです。でも、「ダメでもいいんじゃないか?」と。そういう視点から動物を見たんですね。
戸田:なるほど。
今泉:それが子供達に受けたんですよね。
戸田:そうなんでしょうね。生物にはすごい部分もあるけれど、ちょっと残念なところも併せ持っている、ということですね。
今泉:そうですね。「進化」というのは素晴らしくなっていくし、効率が良くなっていくんです。だけど、生き物というのは一方が良くなると、必ずマイナス面が出るんです。
戸田:はい。
今泉:いい面と悪い面、両方持って進化していくんです。それで、この本では悪い方にスポットライトを当てたんです。
戸田:本の中で「パンダは木登りが上手だけど、実は降りるのが苦手」と紹介して、ここが残念だと言っていますね。
今泉:パンダは子供の頃から木登りの練習をするんです。すぐ登る。これは、お母さんパンダが危険を察知すると子どもに「逃げろ!」と言うんです。そうすると、スッと登る。ただ、「もう敵はいないから降りてきて大丈夫だよ」と言っても、なかなか降りられないんですよね。
戸田:へぇ~!
今泉:登るのはいいんですけどねぇ……(笑)
戸田:確かに、パンダがズルズルズルー……って木から落ちてくるのを見たことがありますね。上手に降りられないんだなーって思っていましたけど、本当なんですね(笑)
今泉:そうなんです。
戸田:『ざんねんないきもの事典』が、なぜこんなに小学生に受けたのだと、先生は思われていますか?
今泉:アンケートの葉書きを読むと、「残念でもいいんだ」という風に解いているんですよね、この本で。そんなに頑張らなくても、いろんな生き方があるじゃないかと。だから、そういう多様性というか、仕事の多様性ですね。それでも十分いいんだよ、ということで安心したみたいですね。
戸田:小学生もやっぱりそう思ったんですね。大人もまさにそう思っているわけで、「完璧じゃなくてもいい」ということですよね。
今泉:そうですね。「少しくらいドジなところがあってもいいじゃないか!」と。
戸田:全てパーフェクトじゃない、というところが、親近感がわくというか、ほっとしますよね。
今泉:そうですね。
この他にも番組では、さまざまな動物の残念で面白い生態について今泉先生が解説しつつ、こうしてあらゆる生物のことを知れるのも、時には命がけの調査に励む研究者の存在があることも述べた。また、次週8月22日(日)の放送回にも今泉忠明先生をゲストに招き、これまでの自身の話、そして、夏休み自由研究のアドバイスなども伺う。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。