東京都医師会副会長で感染症担当、「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が8月31日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。都内における野戦病院の設置や酸素ステーションの役割について解説した。
いまのような感染が爆発している状態では医療が追い付かない
飯田浩司アナウンサー)新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れる医療体制についてですが、以前からベッド数を確保する、体制を拡大するというようなことが言われています。それについてはどういう状況でしょうか? まったくやっていなかったわけではないですよね。
角田)ベッド数は以前に比べると増えていますし、重症者用のベッドも増えています。しかし、いまのような感染爆発の状態ではとても医療が追い付くことはできません。どんなに私たちがベッド数や医療提供体制を用意しても、この状況が続く限りは、とても対応できないということになってしまいます。
6000床弱のベッドが用意されるも、稼働率100%は不可能
飯田)先日、田村厚生労働大臣も再確認をすると言っていましたが、予算は付けてベッドはつくってもらった。でも「それがどこまで稼働しているのか」というようなことがありましたが、東京都の場合はどうですか? 「用意したけれどもまだ空いている」というベッドは存在するのでしょうか?
角田)最終的には7000床のベッドを目指すのですが、一応6000床弱のベッドが用意されていると公表されています。ところがそれは空きベッドでして、すぐに入院できるベッドではないのです。他の病気で入院している人たちを転換させるという形ですから、すぐに使えるベッドという意味ではないのです。特に感染者の方が入院すると、消毒をしなければいけないので、ベッドの稼働率100%というのは不可能です。
コロナ専用のベッドが2000床必要
飯田)いまいる人たちを何とか調整するなり、別で受け入れてくれるところを探すなりしないと無理だということですか?
角田)そうですね。転換型が6000床ですから。私どもは以前からコロナ専用のベッドが2000床は必要でしょうと。「いつでも入院できるようなベッドが必要ではないですか」ということはお話ししていたのですけれども。
飯田)公立の病院でそういうものをつくるべきだというのは、去年(2020年)の夏くらいから提言されていましたよね。
角田)ずっとお願いしていました。
都内でも野戦病院をつくる動き~人員の確保が必要
飯田)今回それに関連するような形で、「野戦病院のようなものをつくる」という話が出ています。日本医師会からもそのようなアイデアが出て来ているようにも報道されているのですが、現実的な話としてはどうですか?
角田)私どもは、それをお願いしているところです。現在、ベッドに収容できない人たちがたくさん溢れていますから、その人たちを1ヵ所で集中して診るということは、効率的なのです。現状のように自宅にいらっしゃると、そこへこちらが行かなければいけない。健康管理についても1ヵ所に集約、集中した方が対処しやすい。野戦病院をつくろうという動きは都内にもあります。
飯田)それに対して、人員を新たに確保することはできるのでしょうか?
角田)そこが1つ大きなポイントです。施設を維持するためには、医療関係者だけではなく、その何倍もの人員が必要です。そのための人員確保をどうするか。器だけつくっても、すぐに人員が確保できるわけではありません。地域にある医師会や看護師さんなどに集まってもらって、地域ごとに対応しなければいけないと思います。
トリアージ・ポイントにもなる「酸素ステーション」
飯田)酸素ステーションをつくるという話があります。具体的に動き出していますが、これはどうですか?
角田)いまは、本当に酸素の吸入が必要な人たちがすぐに入院できない状態なので、とりあえずその人たちにそこで酸素を吸ってもらい、少しでも症状を改善する。帰れる方は自宅へ帰せるかも知れない。入院する方は、入院までの数日間、そこで待っていただくということが重要です。また、酸素ステーションをつくることによって、救急隊の人に、「その患者さんは本当に入院が必要か、酸素が必要か」という、言うならばトリアージもできる場所なのです。救急隊の人が搬送に迷うという場合もあるわけです。そういう人たちを含めて、そこで1つトリアージ・ポイントのような形にできると思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます