心配な日本の「危機感のなさ」 ~北朝鮮ミサイル発射
公開: 更新:
ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(9月14日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。北朝鮮のミサイル発射を受け、米インド太平洋軍が声明を発表したというニュースについて解説した。
北朝鮮のミサイル発射を受けて、アメリカ軍が声明を発表
北朝鮮の労働新聞によりますと、北朝鮮の国防科学院は9月11日と12日、新たに開発した長距離巡航ミサイルの発射試験を行い、ミサイルはおよそ1500キロ先の標的に命中したとしている。これを受けて、アメリカのインド太平洋軍は声明を発表。「今回の発射は北朝鮮が引き続き軍事開発に力を入れ、近隣諸国や国際社会に脅威を与えることを示している」と指摘した。
新行)およそ1500キロ先の標的に命中したということは、日本が射程圏内に入るということですよね。
奥山)上空の成層圏まで上げて、一気に落として来る弾道ミサイルがありますが、弾道ミサイルは、既に日本が射程圏内に入っているので、日本が射程に入ったのは初めてのことではありません。
巡航ミサイルは国連制裁違反にならない
奥山)巡航ミサイルというのは、飛行機のようなスピードで、ノロノロ低空を這って来ます。ミサイル関係に詳しい方々が指摘しているのは、巡航ミサイルに必要なジェットエンジンの部分と、誘導システムをどのようにつくっているのかということです。弾道ミサイルではないので、「国連制裁違反にならない」ということが、まず気になるところです。
新行)国連制裁違反にならない。
日本に警戒している雰囲気がない~「テポドン1号」のときと大違い
奥山)私が気になるのは、日本側のリアクションがあまりないことです。過去の歴史を振り返ってみると、1998年に北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン1号」を日本海に向けて発射しました。事前の通告なしに、日本の上空を通過したのです。
新行)そうでしたね。
奥山)そのときは小渕内閣でしたが、マスコミを含めて世論が敏感に反応し、「ワッ」と盛り上がりました。日本の国会では全会一致で、偵察目的の情報収集衛星を導入することを決定しました。当時、日本は相当警戒していたのです。しかし、今回はそれほど警戒している雰囲気がないので、「困ったものだな」と見ています。
新行)今回は。
奥山)ただ、いいのか悪いのかは別にして、いまは自民党総裁選でいろいろな議論をしています。その最中に北朝鮮がミサイルの発射実験をやったわけです。そのため、日本の敵基地攻撃能力についての議論が盛り上がり、これが総裁選における議論になってしまった。このタイミングで行ったことは、北朝鮮側にとっては失敗だったのではないかと私は見ています。
日本は国防意識を上げ、対処する方向に向かうべき
新行)ミサイル発射の公表が今年(2021年)の3月以来で、このときは短距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射しましたが、このタイミングというのは何かあるのですか?
奥山)基本的に、北朝鮮は何も考えていないと思います。彼らを歴史的に見ると、自分たちのスケジュールで「開発したから実験しました」というだけで、それに対するリアクションは考えていないのではないでしょうか。
新行)考えていない。
奥山)逆に日本は騒ぐべきだと思います。ここで国防意識を上げ、しっかり対処するという方向に向かないと、健全な国防体制はつくれないと思います。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。