ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(9月17日放送)に石破元幹事長が出演。自民党総裁選への出馬を見送った理由、今後の総裁選のあり方について語った。
自民党総裁選、日本の未来への提言
9月17日告示の自民党総裁選。9月15日に石破派は国会内で臨時総会を開催し、石破茂元幹事長は不出馬、さらに河野太郎規制改革担当大臣の支援を表明した。この結果、総裁選挙は岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏の4人の争いが軸となる見通しである。
新行)今回は石破茂元幹事長に、17日告示の自民党総裁選について伺います。まずは、出馬の見送りを決めた理由について教えていただけますでしょうか。
石破)「いままでの政治を変えよう」「自民党を変えよう」という戦いなので、この戦いには勝たなければいけない。勝つためには、「変えよう」という人たちが2つに分かれてしまったら勝負になりません。志を同じくする者が1つになって、一緒に戦いたい、そういう思いです。
経済と安全保障が1つになる時代
新行)リスナーの方から質問のメールもいただいております。「中国がTPPへの加入を申請したというニュースが入って来ました。これに関し、総裁選でも対応について争点になるのではないでしょうか。どのように捉えていらっしゃいますか?」ということです。
石破)いまは経済と安全保障が1つになった時代だということです。中国が入って来るということは、この地域で貿易はどうなって行くのだろうか、安全保障はどうなって行くのだろうかということを、全体的に見て行かなければなりません。争点になって欲しいと思います。
「誰が何をやろうとしているのか」ということがわかる総裁選になって欲しい
ジャーナリスト・鈴木哲夫)各候補が支援をお願いするために事務所を回っていますが、そんな時間があったら、なぜコロナ禍の医療現場の視察に行かないのか。いまやるべきことは他にあるのではないかと思うのです。石破さんはずっとそれを言っていましたよね。「いまやるべきは総裁選ではなく、国会を開いて対応することだ」と。まさに正論だと思います。今度の総裁選の直後に総選挙があるではないですか。
石破)そうですね。
鈴木)「派閥単位がどうした」というようなドロドロとした総裁選をやっていると、そのあとの総選挙で国民の厳しい審判が来ると思います。そういう意味では、真面目な政策論争をするような、真摯な総裁選を見せないといけない。そんな厳しい総裁選にしなければいけないと思っているのですが、その辺りはどうでしょうか?
石破)そうあって欲しいです。コロナに対してどういう法律をつくるのか、きちんと医療が受けられる体制にしなければいけない。人口当たり世界一のベッド数を持っているのに、なぜこんなことになるのか。あるいはそのために、どのくらいのお金がかかるのか。それができるのは国会だけですから、すぐに総選挙があるわけで、国民の審判を謙虚に待つ。「それまで国会でやるべきことをやろう」ということは、8月ごろからずっと言っていました。
鈴木)石破さんは言って来ましたからね。
石破)「お前は野党が言っていることと一緒のことを言うのか」と、それだけで片付けられてしまいます。誰が言おうと、国会がやるべきことをやる。主権者たる国民が審判する。そういう原点に戻って欲しかったのですけれどね。
鈴木)そうですね。
石破)総裁選挙は、「コロナをどうする、医療体制をどうする、安全保障をどうする、人口減少をどうする」という問題がきちんと話し合われて、国民が見ている前で「誰が何をやろうとしているのか」ということがわかる総裁選になって欲しいと思います。
鈴木)そういう総裁選を見せられるかどうかについて、自民党に厳しく求められていますよね。
石破)そう思います。野党があまり強くない上に分裂しているので、「自民党しかないではないか」という、小選挙区の特性ですけれどもね。それにあぐらをかいてしまった、という言い方はいけないかな。でも、国民の思いと自民党がだんだん離れて来てしまった。そこに私は大きな焦りがあります。
鈴木)各候補の議論で取り戻せるかどうかですよね。
石破)そうあって欲しいです。私は「日本をどうするのか」ということを、突き詰めて10年考えていますが、1~2年かけてそれを見せる。総裁選はそういう場であって欲しいなと思います。
「国民の1人ひとりを豊かにする経済」に集中するべき
新行)リスナーの方からいただいたメールをご紹介したいと思います。埼玉県にお住まいの方。「コロナ禍のいま、生活が厳しいサービス業、観光業、困窮されている方々の救済を早急にやり、安心して生活できる国づくりをして欲しいです。減税も視野に入れていただきたいです」と、経済政策についてのご意見がありました。
石破)経済というのは、成長すること自体が目的ではありません。1人ひとりをどうやって豊かにして行くか。消費が増えることで、結果として経済がよくなって行く、そういうことだと思っています。この10年くらい、日本の経済はあまり伸びていないのだけれど、何が起こったかと言うと、富める人がもっと富むようになってしまった。若い人たち、女性、非正規、そういう人たちの所得が全然伸びていないのです。ここがいちばんの問題だと私は思っています。そのために、減税も含めて……ご機嫌取りで減税すればいいというものではありません。どうやって1人ひとりを豊かにして行くかというところに集中したいです。
森友問題の説明責任については河野氏と共有できているのか
鈴木)取材をしていると、いままでの権力構造をそのまま維持して行くというグループと、石破さんや河野さんのように変えて行こうという、2大対決的な意味合いになって来ている。そのなかで綺麗ごとだけではなく、権力闘争的なものも、総裁選には絡んで来ると思います。この辺り、どのように石破さんは臨まれますか?
石破)確かに権力闘争なのです。ですが、権力闘争はあるのだけれど、「国民の願い、思いに応えよう」という意識をなくしてはいけない。都議選でも、横浜の市長選挙でも、ずいぶん街頭に立ちましたが、「自民党しかないのだけれど、きちんと説明してくれよ。自分たちの思いにきちんと応えてくれよ」という人が多くいらっしゃいました。その人たちの思いを、もっと大事にして行かなければいけないのではないでしょうか。
鈴木)森友問題でも石破さんは、「説明すべきだ」と主張している。この辺りも河野さんとは共有できているのですか?
石破)そうですね。ですから、そのやり方です。「再調査はどこがやるのか?」、「どんな権限でやるのか?」ということはいろいろあるでしょう。
鈴木)形がね。
石破)最初から「誰が悪者ありき」ではない。いまいちばん泣いているのは、自殺なさった職員の奥様ではないですか。そういう人に「そうなんだね。わかったよ」と言ってもらう。そこから逃げてはいけません。そういう悲しい人の思いに応えずして、なぜ政治ができるのだと私は思っているので、「私はそう思っていますよ」ということは河野さんにも伝えましたし、その思いは共有しています。
泣いている人と一緒に泣くのが政治
新行)河野さんの支援を表明されましたけれども、改めてになってしまうかも知れませんが、河野さんが掲げていらっしゃる政策のなかで、共感している部分を教えていただけますでしょうか?
石破)政治理念です。自民党というのは国民政党であり、国会議員のものではないということです。泣いている人と一緒に泣くのが政治です。保守というのは、相手の立場を尊重するのが保守なのです。そういう政治理念は共有しています。原発問題や皇位継承など、いろいろな課題があります。多くは共有しているのだけれど、方法論は違います。思想は人格ではないのだから。相手の言っていることを受け入れるという寛容さがいちばん大事です。
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