野田幹事長代行インタビュー 「“敗北宣言”はしていません」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月27日放送)に野田聖子幹事長代行が出演。自民党総裁選で自らが提起している政策について訊いた。
今回の総裁選に出るつもりはなかった
9月29日に投開票が行われる自民党総裁選、28日は立候補した4人の候補が国民からの質問に答える政策討論会の最終日を迎え、各候補は憲法改正や少子化対策などについて意見を交わした。この時間は野田聖子幹事長代行に話を訊く。
飯田)総裁選はいよいよ9月29日に投開票となっております。いまの手応えはいかがでしょうか?
野田)とてもいいです。私は無派閥でバックもなく、派閥の支援もなく、そして出馬を決めたのがいちばん遅く、とないない尽くしだったのですけれど。
飯田)今回の総裁選には出られると思っていましたか?
野田)今回は出ようと思っていなかったのです。
飯田)最初はそうだったのですか。
野田)私の大親友である浜田靖一さんが、菅総理の選対(選挙対策委員会)の中心になると聞いていたので、友情を重んじて、自分は9月2日までは想定していませんでした。
飯田)9月2日まで。では月が改まってから。
野田)9月3日に突然、菅さんが出ないとおっしゃったので、大変なショックで頭のなかが真っ白になりましたが、切り替えて、「それならば、これまでどんな苦しい状況でも出馬を模索していたのだから、今回もしっかり手を挙げよう」ということで、急ピッチでやりました。
人がいないと国は成り立たない~「人口減の状況を直したい」という信念だけでやって来た
飯田)これまで何度も出馬を模索されていたとき、あるいはその前から、政策面や「総理になったらこれをやる」というような考えは既にあったわけですよね?
野田)そうですね。初めて記した本が2005年ですから、それ以降、まったく考えは変わっていません。私は「保守政治家」を名乗っているのです。その理由は「国を守る」ということで、それが保守なのです。でも実際に国を守るのは人なのです。
飯田)そうですね。
野田)人がいないと国は成り立たないでしょう。いまは人口が減少しています。底抜けが激しいのです。いろいろな税金や予算を投入しても、もう穴が空いていて、ダバダバと漏れ、エンジンがかからないような状況に日本はなり始めているので、「そこをきちんと直したい」という信念だけでここまで来ました。
子どもの成長を政治が支えて行くべき
飯田)子どもやそれを育てるシングルマザーの方々などを含めて、手厚い手当をして行くのだということを常に訴えられていますよね。
野田)そういうことです。人があっての国家なのです。この国は人にほとんど投資をしていませんから。「自分で頑張れ」と言われ続けて来て、みんな燃え尽きてしまうのです。
飯田)燃え尽きてしまう。
野田)「子どもは国の宝だ」と言うのであれば、きちんと投資をして、子どもの成長を親だけではなく、親の傍らで我々が、政治が支えて行かなければならない。それぐらいしないと、この国は壊れてしまう。
多様性の共生
飯田)人が減っていくなかで、「外から人を入れて来ればいいではないか」というアプローチをする方もいます。
野田)私もそれは考えています。「多様性の共生」というのが必要で、「すべての人がハッピーでないといけない」というのが日本のあるべき道なのだけれど、一部の人だけが幸せになっている。それ以外の、男性以外の女性、大人以外の子ども、健常者以外の障害者、そして性的指向のLGBTQ、外国人……これまで全部排除されていますよね。それがなかに入れば、大きな力になると思うのです。
「こども庁」の設立~こどもを真ん中においた日本をつくりたい
飯田)子育てのところに戻って質問したいのですが、若い人のなかには、雇用もどうなるかわからず、経済的な不安から、「結婚などは夢のまた夢で、子どもを産むなどということは考えられません」という人がいると思います。「経済をどうするのか」ということに直結するような気もするのですが、いかがでしょうか?
野田)私は「こども庁」という立派な基地をつくり、そこに人、もの、そして資金を用意し、先行投資の形で10年~20年先、子どもを持つことに躊躇わないような、そしていまの子どもたちの苦しみを減じるような、いままでにない「子どもを真ん中に置いた日本」をつくりたい。そうすれば、子どもの周辺にいる大人も幸せになれるし、子どもを通じて新しい未来が見えると思います。
常に逆境に立ち向かう
飯田)私は2005年の選挙のときに野田さんを取材したことがあります。直接話をしたことはなかったのですが。
野田)2005年の選挙というと。
飯田)郵政選挙のときです。佐藤ゆかりさんが来てという。
野田)あの選挙のときですね。
飯田)柳ケ瀬の商店街を1人ひとりに握手しながら回る姿を拝見しました。そこから総裁選に何度もチャレンジしようとして、「常に逆境に立ち向かっているイメージ」があるのですが、そうさせる原動力は何なのですか?
野田)逆境には遭いたくないのですけれども、自分がブレなければ必ずそういうものにぶつかります。逃げなかったからぶつかったのだと思います。
少子高齢化で世界が注目するなか、新たな社会モデルをつくる
飯田)最後に、野田さんが描く日本の姿とはどういうものがありますか?
野田)多様であること。いちばん弱いと言われている人たちがいつも笑顔でいられること。そして可能性は無限大であるということ。いま日本は少子高齢化で破滅するだろうと言われていて、世界中が注目しています。そんななかで社会モデルをつくることにより、新たな勝機を勝ち取りたい、そういう国を目指しています。
「敗北宣言」はしていない
野田)最後に。
飯田)はい、どうぞ。
野田)「敗北宣言」はしていませんから。前へ前へ、進んでいますので。
飯田)いろいろな議論に石を投じ続けていますから。
野田)私は自民党のために国会議員になったのではありません。党を越えて、ここに来ている人たちのお客様相談窓口として生きているのです。ただ、自民党が野党になるとその仕事ができなくなるので、そういう感じで頑張っています。
飯田)野田さん、頑張ってください! ありがとうございました。
野田)ありがとうございます。
立憲民主党の政策に似ているところも
飯田)野田幹事長代行のインタビューの様子をお聴きいただきました。末延さん、いかがですか?
ジャーナリスト・末延吉正)「自民党のために国会議員になったのではない」とおっしゃっていましたけれど、結果として、保守の高市さんが女性で出て、自民党のなかでいちばんリベラル的な野田さんが出て、4人のうち女性2人が出ているわけですよ。
飯田)2人が女性です。
末延)しかも政策はLGBTや障害者、マイノリティの問題をずっと言っている。ある意味では、野党の立憲民主党そっくりなのです。その部分を総裁選で言っているということは、間もなく総選挙がありますが、ご自身がハンディキャップを持つお子さんを育てられているということもあり、そこが自民党にプラスになっています。その分、野党はガッカリですよ。
飯田)立憲民主党の幹部なども、いちばん近いとしたら「野田さんかな」とおっしゃっています。
新しい日本の形をどうするのか
末延)提起として大きいのは、人口減の問題を考え、子どもにスポットライトをあてるというのは正しい。問題は野田さんの言う移民の話です。外国人の方が技術研修のために来るでしょう。それをめぐる人権の扱いについて、日本はかなり遅れていると思います。そのことを含めると、移民の議論からはもう逃げられないのだけれど、この話が出ると、実はかなり保守系の人が反発するのです。この問題は社会の構図が変わるのです。
飯田)そうですね。
末延)その辺をじっくり話さなければならない。眞子さまの結婚問題も含めて、「新しい日本の形をどうするのか」ということを、腰を据えて話さなければならないところに来ていると思います。特に移民問題や人口減の話を提起されたことが、野田さんが総裁選に参加した意味かなと思い、聴いていました。
飯田)各方面の安全保障の話にもつながるし、社会全体のあり方など、いろいろなところに派生しますよね。
末延)去年(2020年)から言っていますが、コロナ禍では命を守れるかどうかが大事ですから、国の安全保障の話なのです。移民の話も、自分たちの人生設計をどうするかというときに、いちばん大事な土台の話なのです。でもこういう話を先送りにしたまま、人口が減り始めている。もう逃げられないところに来ているのです。
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