岸田新内閣は「派閥の力が強く、運営にも影響」 須田慎一郎が解説
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月4日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。第100代内閣総理大臣に就任後、直ちに発足される岸田新内閣について解説した。
岸田新内閣が発足
10月4日に召集される臨時国会。衆参両院の本会議では首班指名選挙が実施され、自民党の岸田文雄新総裁が第100代の内閣総理大臣に就任する運びだ。就任後は直ちに新内閣を発足することにしている。
総選挙を控えた組閣
飯田)新聞各紙の1面は、新内閣の顔ぶれということで顔写真付きで出していますが、注目すべきところはどこでしょうか?
須田)大前提として、今回の組閣は総選挙を目前に控えた組閣であるということです。内閣の顔ぶれによって、できるだけ高い内閣支持率を得て選挙戦に突入するというのが基本路線なのです。
支持を得るための3つのポイント
須田)高い支持率を得るためには、3つのポイントがあると言われています。1つは若手の登用。2つ目は女性の登用。3つ目は最近見られなくなって来ていますが、民間人の登用というケースもあります。
飯田)民間の登用。
須田)今回の総裁選の結果を受けて、かなり派閥の協力を得ています。閣僚の数には限界がありますから、それを超えることはできない。椅子の数はそれほど多くない。そのようなことから考えても、民間人の登用はないのだろうなということがわかります。
デジタル担当大臣に牧島かれん氏
須田)若手と女性の登用ということで、デジタル担当大臣の牧島かれんさんは44歳の女性であり、自民党の青年局長をされていた方です。その方をここへ持って来た。
飯田)若手で女性ということで。
須田)今回の総裁選で派閥の役割は終わったと言われていますが、組閣という点で言うと、小泉政権において「一本釣り」という言葉があったではないですか。第2次安倍政権のときもそうなのですが、総理大臣の力が強ければ、自分の欲しい人材を派閥の意向を無視して大臣に据えることができる。
飯田)総理大臣の力が強ければ。
須田)それに対して派閥の力が強いと、総理大臣は派閥の推薦を受けざるを得ない。そのため、どうしても派閥均衡型になってしまうし、自分の意中ではない人でも使わなければならないという状況になる。
派閥の力が強い岸田内閣
須田)今回はどちらなのかと言うと、一目瞭然で後者です。一本釣りなどではなく、派閥の推薦、あるいは麻生さん、安倍さん、甘利さんなど実力者の意向を汲んだ組閣になってしまった。岸田政権の性格は、その辺りを見るとよくわかると思います。今後そのような派閥や3Aと言われている人たちの影響力は、政権運用において相当強い状況になって行くのだと思います。
総務大臣に金子恭之氏 ~味わい深い人事
須田)もう1点、岸田さんの性格というか、このような人事をする人なのかと思ったのは、総務大臣に関してです。総務大臣といえば重要閣僚ですが、ここに金子恭之さんという、熊本4区の初入閣の人を持って来た。これは味わい深い人事です。基本的に金子さんという方は汗を掻くけれど、あまり目立たない方です。もともとは農水族で、1つ1つ地道に仕事を積み重ねて行く堅実派であり、仕事師なのです。このような人が報われて行くというところに岸田さんの性格が出ているなと思います。金子恭之さんには頑張って欲しいですね。
飯田)総務省もデジタルの部分や電波行政もあるし、いろいろな面で問題が山積している部分はありますよね。
須田)かなり堅実派ですよ。派手なことはやりませんが、着実に仕事をこなして行くのだろうと思います。
経済再生担当大臣に若手の山際大志郎氏 ~甘利幹事長がねじ込む
須田)もう1つは、経済再生担当大臣の山際大志郎さんも、ある種の若手登用になるのだと思いますが、この方は甘利幹事長がかなり強引にねじ込んで来たという側面があります。おそらく次の総選挙が終われば、細田派は安倍派に衣替えするでしょう。ですので、安倍派、麻生派、そして甘利派にも相当配慮しているのだろうと思います。
飯田)山際大志郎さんも麻生派で、麻生派は自分のところから出た河野さんではなく、岸田さんを推した。甘利さんとともに行動したのは山際さんだという話もあります。
須田)甘利さんの右腕のような人ですから。
飯田)経済再生というところでは、コロナ対策も兼務です。ポイントになるポジションということにもなりますか?
須田)コロナ担当というだけではなく、アフターコロナを考えても、経済のテコ入れをして行かなければならない。今後キーパーソンになって行く人なので、党の方と連携しなければならず、この方が就いたのだろうと思います。
経済産業大臣に萩生田光一氏
須田)それと、萩生田光一さんなのですが、最後の最後までボロボロになっても菅政権を支えたのが、萩生田さんと小泉進次郎さんなのです。義理堅い人だなと見直しました。それを安倍さんが「使え」と言った。
飯田)安倍さんが。
須田)そこで少し微妙な関係になったと思うのです。最終的に菅さんと安倍さん・麻生さんのラインは微妙な関係になった。ところが、萩生田さんは菅さんを最後の最後まで支えた。そのようなところから「使え」と。河野陣営を支えた人たちや菅さんを支えた人たちからも、「萩生田さんをきちんと処遇しないと、次の内閣は大変なことになるよ」という声が聞こえていたのです。対立した側からも認められていた人だったのです。
飯田)最後まで閣僚なのだから、筋を通さなければいけないだろうと。永田町では、そのようなところがかなり見られているらしいですね。
須田)立場こそ違いましたが、安倍さんもきちんと見ていたのだろうなと思います。
新設の経済安全保障担当大臣に小林鷹之氏
飯田)新設される経済安全保障担当の小林鷹之さんは二階派ですが、今回は二階さんに仁義を切った形で、高市さんを推薦したという人でもあります。
須田)そのような部分でも影響したと思いますし、もともと防衛畑の人なのです。経済安全保障について、経済的な側面からのアプローチもあると思いますし、安全保障面からのアプローチもあるでしょう。もともとここは自民党内において、甘利幹事長が熱心に取り組んで来たところなので、連携してやって行こうということなのだと思います。
飯田)なるほど。幹事長もそうですが、高市さんも経済安全保障の話は総裁選のときから言っていました。その辺も党が主導しながら、小林さんが窓口になってやるような形になるのでしょうか?
須田)そうですね。いまのところ、やるべき法の整備が進んでいないので、法整備を進める過程のなかでやって行かなければならない。党と政府は一体化してやって行く必要があるのだと思います。
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