今回の衆院選、「泡沫候補」が出ていないのはなぜ? 辛坊治郎が解説
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キャスターの辛坊治郎氏が10月21日(木)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。10月31日投開票の衆議院議員選挙が「何か面白くない」理由を解説した。
辛坊)衆議院選挙は、大切な日本の未来を決める選挙なので、みんな投票に行くべきなのですが、平たい感覚で言いますと「何か面白くないな」と。なぜ面白くないのだろうと思っていたら、理由は単純なのです。
飯田浩司アナウンサー)単純なのですか?
辛坊)はい。ほとんど「泡沫候補」が出ていないのです。昔は平気で言っていたのですよね。ひと昔、ふた昔前は、「この選挙区は、誰々さんと誰々さんの事実上の一騎打ちです。立候補者は誰と誰と誰で、この他、誰々と誰々がいますが、この人たちは泡沫です」と、わざわざ書いてあったのですよね。
飯田)情勢分析の記事などですね。
辛坊)ただ、その後、「泡沫」は失礼だろう、用語を変えましょうという話になって「この選挙区では誰々さんと誰々さんの事実上の一騎打ちで、これ以外に何々政党の誰々さんは現在“独自の戦い”です」となったのです。独自の戦いってなんだよ! という話なのですが、要するに落選確実というところを別の言葉で独自の戦いとした。泡沫候補と言えなくなってしまったので、別の表現を考えたというところがあります。
参議院選挙や知事選のたびに有名な泡沫候補の方がいます。泡沫の皆さんがテレビなどで出て、勿論、テレビや新聞は泡沫とは言いませんが、やはり泡沫だよなと思っているわけです。ただ、そうは思っていても、政見放送などで出て来ればとても面白いことなどを言うので、その人が出てくるときなどは必ず見たりするのです。
ところが、今回の衆議院選挙はその手の泡沫さんがほとんど出ていません。これは、立候補する側の泡沫さんにとっては理由があるのです。私がたとえば泡沫さんだとすると、供託金300万円払って知事選に立候補しますとか参議院選に立候補しますという最大の理由は何かというと、政見放送で好き勝手喋れるということなのです。普段でしたら、たとえ300万円を払ったとしてもテレビの前で何分間も好き勝手喋らせてはくれないではないですか。
増山さやかアナウンサー)そんなチャンスはないですよね。
辛坊)いくら政見放送の視聴率が低いとしても、300万円を払うだけでテレビで演説ができるというのは安いものではないかというような感覚で立候補する人が山ほどいるのです。ところが衆議院選挙は300万円を払って立候補したとしても、それだけで政見放送はできません。政見放送をするためには、その立候補をする母体が政党要件を満たしていないとダメなのです。つまり、無所属からなんとか政党を自分でつくって立候補しました、というだけでは、300万円の供託金は変わらないのですが、政見放送ができないのです。
日本ではいま公認で政党助成金の対象になっている政党が9つあって、その9つの政党から立候補すれば政見放送はできるのですが、そうではなく自分で政治団体などをつくり上げて300万円を払って立候補したときに、参議院選挙や知事選の場合にはテレビで政見放送ができるのですが、今回の衆議院選挙はそのような状況で立候補しても政見放送をテレビの前でやらせてくれないのです。そうすると300万円を払ってもつまらないではないですか。
辛坊)なので、この制度になってからは立候補者が少ないのです。そのような面白い政見放送などを期待していても、残念ながら今回はそのような人は出てきません。きちんとした人がきちんとしたことを喋ります。
飯田)きちんとした人が、ですね。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)