ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月20日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。10月19日に公示され、スタートした衆院選について解説した。
衆院選公示、12日間の選挙戦スタート ~1051人が立候補
第49回衆議院選挙は10月19日に公示され、12日間の選挙戦が始まった。立候補受け付けは19日午後5時に締め切られ、465議席に対して、小選挙区857人、比例代表単独で194人、合わせて1051人が立候補している。
各党の違いは「外交・安全保障」を見ればわかりやすい
飯田)いまの制度の導入後、最も少ないということが言われていますが、その分で一本化が進んだということでもありますか?
高橋)野党の方で一本化が進んでいますね。
飯田)野党、特にいまは立憲・共産。
高橋)立憲・共産がいいかどうかは議論になりますけれど、安全保障についてはみんな政策が違うのです。各党の政策を見るときに、一覧表で見るのですが、経済対策はどこも似ていますから、そこで差を探すより、外交・安全保障で違いを見る方が、差がはっきりわかりますね。
飯田)外交・安全保障で。
高橋)外交・安全保障というのは、あまり票には結びつかないのですけれど。
飯田)票にはならないと言われています。
高橋)各党の公約は経済や社会保障が中心なのですけれど、そこはあまり違いがありません。コロナ対策を見ても同じようなことを言っています。コロナ対策では、やることは決まっていますからね。
飯田)ワクチン接種率はフランスを超えたという話もありますし、全体の6割~7割に迫らんとしています。
選挙のときに送られる公報を読んでどこに入れるか決める
高橋)「公約の違いがわかりにくいから選挙に行かない」という人もいるではないですか。
飯田)そういう話を聞きます。
高橋)どの部分がいちばんわかりやすいかを探して、そこで違いを確認し、自分にいちばんフィットするところに入れればいいと思います。
飯田)最近は個別の政策について、「診断ツール」のようなものも出ています。
高橋)何に着目するかは、人それぞれだから何でもいいのですけれどね。何か1つ興味を持ったものに着目すればいいのです。いちばん簡単なのは、選挙のときに郵便で送られる選挙公報を読むことです。
飯田)公報ですね。
高橋)あれがいちばん簡単に読めます。自分の好きな項目だけ見て、最もフィットする人を選べばいいのです。
「敵基地攻撃能力」の部分で違いを探す
飯田)安全保障について、改憲の話と絡むところもありますけれど、自民党は「自衛隊を明記」とあるし、「日米同盟を基軸に」とされている。立憲民主党も「日米同盟を基礎に置いて」と言っていますが、一方で共産党はどちらかと言うと……。
高橋)共産党は「日米同盟を破棄」でしょう。立憲も「日米同盟」の前に修飾語を付けたりしていて、少し違うのですよね。それよりも、「敵基地攻撃能力」に関する部分の方が、違いがはっきりしているのではないですか。
飯田)敵基地攻撃能力の部分。
高橋)相手より先に攻撃しなければいけない、もしくは、報復しなければいけないというのが普通の理論です。しかし、今回の北朝鮮のように、いろいろな軌道で飛んで来るため迎撃が難しいと考えると、「先に攻撃した方がいい」という考えがあるのです。それについては、各党で考え方が違います。敵基地攻撃能力に積極的なのは、自民党か維新なのでしょうけれど、それ以外の党は消極的です。
飯田)そうですね。
高橋)そういうところで違いを見て、「どこがいいか、悪いか」という判断は国民がするのです。それで違いを見た方が簡単ですね。
各党の言う「バラ撒き」は健全なこと
飯田)きょう(20日)の紙面を読んでも、経済が中心という感じになっていて、各党「バラ撒き政策ではないか」ということを言われていますが。
高橋)コロナ禍のように経済が大変になったら、やり方はこれしかないでしょう。財務省の事務次官が「けしからん」と言っていましたが、「バラ撒き」はある意味、健全です。各党が必死になって経済を立て直そうと思ってやっているのだから、「どちらが正しいか」と言われたら、それは各党が言っている方が正しい。こういう状況になれば、ある程度やらないと経済が立ち直らないのは当たり前のことです。いいことだと私は思います。
金融政策をうまく使う方が労働者に優しい
飯田)いろいろなメニューが並んでいて、「給付を個別にやる」という部分で「全員に配る」というところもあれば、公明党は「18歳以下に10万円を」として、子ども等々の世帯に重きを置くような形になっています。また消費税について、共産党は「5%への引き下げ」、立憲は「時限的に5%へ引き下げ」。国民民主も「時限的に」と。維新の会も「2年を目安に期間限定で引き下げ」と言及しています。与党側は言及がなかったり、現状維持だったりという感じです。
高橋)でも財政出動すると言っているから、みんな同じですよね。大きな差はないわけです。経済を見るより、他の部分を見た方が違いがわかりやすいと思います。経済のなかで私が違いを探しても、程度の問題にしかなりません。「金融政策を使うか、使わないか」についてははっきりしているのですけれどね。使うところと使わないところがあるというくらいです。
飯田)与党側は基本的に金融政策も使って、財政出動もしてという感じです。
高橋)そうですよね。
飯田)これは国民民主党もそうですが。
高橋)現実的に考えると、そうなってしまうのです。言及しないところもありますが、金融政策を使わないと、雇用の話がうまくできなくなるのです。基本知識として、「金融政策をうまく使っている方が労働者に優しい」ということは、覚えておいた方がいいかも知れません。
日本は輸入に対する依存度が低い
飯田)金融政策の先行きのところで1つ伺っておきたいのが、よく副作用でインフレが、と言うではないですか。日本でデフレが続いて来たという側面があって、ある意味のボーナス期間が続いて来た。「海外要因でインフレ懸念が」と言われます。原油価格が上がって来たとか。個別の価格の部分だとは思いますが。
高橋)世界のなかでも日本は、輸入に対する依存度が低いので、あまり影響は大きくありません。他の国は影響が大きくなるのだけれど、日本とアメリカは極端に輸入依存度が低い国なので、あまり影響はないのです。報道がそちらを大きくするだけです。
輸出入を合わせると、さほど為替に影響はない
飯田)いま円安が進んでいることもあって、「ダブルパンチで物価が上がるのではないか」など、海外発のインフレでスタグフレーション化するのではないかと言われたりしますが。
高橋)輸入依存度が大きければ、その可能性もなくはないですけれど、日本の輸入依存度は大きくありません。
飯田)やはりかつての石油ショックなど、そのころの記憶が鮮明な人がまだいるということですか?
高橋)石油価格が上がった影響が交易条件を変化させるので、それはマイナスになりますが、石油価格以外であれば、為替の話ですと輸出の方がプラスが多いので、輸出入を合わせるとあまり為替に影響はありません。
徐々に上がる原油価格であれば影響は少ない
飯田)では、油価が問題かどうかというところですか?
高橋)原油価格の影響は少しあります。ありますが、急激に上がっているわけでもないし、逆に油価が上がると省エネが進むというところもあります。
飯田)きっかけになると。
高橋)案外、影響は少ない。急に上がったり、オイルショックのときのように3倍くらいになれば大変ですけれどね。徐々にということであれば、対応できます。
飯田)いま1バレルが80ドル前後で取引されていますが、このくらいはまだ許容範囲ですか?
高橋)そのくらいでしたら、たいしたことはないでしょう。
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