元・大阪府知事で元・大阪市長の橋下徹氏が10月18日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に生出演。衆議院議員選挙の公示を翌日に控え、各党の主張についての疑問を語った。
衆議院選挙 あす公示
明日10月19日の衆議院選挙の公示を前に、きょう午後1時から党首討論会が日本記者クラブで開かれた。出席したのは、自由民主党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党、れいわ新選組、社会民主党、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で、以上、9つの党の代表。
辛坊)ということで、明日公示。きょうは公示の1日前。で、橋下さん。
橋下)私は明日からテレビが全部自粛になるので。
辛坊)あ、そう!?
橋下)そうなのです。やっぱり「維新の広告」みたいな感じでクレームが多いとか。
辛坊)なるほどね。
日本って、社会主義の国を目指すの?
橋下)私は今回の選挙で本当に嫌になってしまいましたもん。日本ってなに? 社会主義の国を目指すの? っていうか、習近平国家主席が打ち出している「共同富裕」。
増山さやかアナウンサー)ええ。
橋下)それの中身を見ると、いま自民党から共産党までが言っていることとほぼ一緒ですものね。だから中国の経済政策と同じようなことを目指すのかな?って。なお、中国の方が日本よりも一歩先に行っているのは、あの「寝そべり族」というものへの対応。中国でいま、若者がもう働かなくなっているのですって。でも、習近平はそれを「許さない!」と。「働け!」と。「寝そべり族は中国の経済を阻害する!」ということを言うけど、日本の場合にはそれすら言わないでしょう。苦しくなったらみんな支え合い。全部社会保障でこうやって……いや、いいのですよ、本当に働けない人をそうやって支えるのはいいけれども、積極的に働かない、働けるのに働かない人に対して何も言わずに「みんなで支えましょう、支えましょう」っていうのは、これ、日本はどこ行くのかな?と思ってね。
辛坊)おっしゃる通りなのですよね。だけれどもね、いつの頃からかな、そういう当たり前のことをね、誰も言わなくなってしまったのですよね。
橋下)だから、支え合いとかも必要なのだけど、もっと頑張らなきゃいけないし。だって、30年間賃金もGDPも株価も全然上がってないのは日本だけなのでね。これを、「みんなで支え合って、支え合って」ということで、株価が上がってGDPが上がって賃金が上がるのかな? で、政治家がみんな「賃金上げます! 国民の所得を上げます!」と言いますけど、政治家にそんな能力ないですよ。企業の経営ひとつすらやったことないのですから。孫正義さんとか三木谷さんとか、あのメンバーが「国民の所得を上げます! 新しい産業をつくります!」というのはわかるけれども、ずっと永田町で非生産的な国会の、あんな活動をやっている人たちが、いまだにリモート国会でできていないようなあんな国会をやっているような人たちが、産業を発展させて国民の所得を上げるなんて、それは違うと思うけどね。池田勇人内閣のときの所得倍増論っていうの、よく引き合いで出されますけど、だってあのときは、放っておいたって日本が高度成長をしていたときなのですから。
増山)ええ。
橋下)それを政治家が「みんなで支え合って、分配して、それで経済を発展させる」というのは、国民からすれば聞こえはいいけれども、「本当にできるの?」って私は思いますけどね。分配……いや、分配は重要ですよ。社会保障を整えるというのも重要なのだけれど、それだけで本当に(できるの)? 党首討論会で政治家が「 資本主義がいきすぎて、それを修正するのだ」って言うのですけど、いきすぎてないですよ、日本は。資本主義が全然進んでいないからこんな成長していない。
辛坊)事実として、認定として、間違っているのね。確かに、最近若い人がみんな「お金欲しい」って言うのは、わかりますよ、そりゃ。若いときにはお金が欲しいと思います。私も思いました。
民間企業が自由活発に活動できる社会にしないと成長なんてできるはずがない
橋下)だけど、それはやっぱり成長しなきゃいけないと思います。でも、成長というのは別にお金や金額だけなくて、いろいろないいサービスとかいろんな財を生み出すような国にならないといけないと思います。でも、いまの各政党は「特定の分野に補助金を出す! 国債を発行してとにかくお金を投じろ!」っていう。お金を投じるだけでね、そんないい財やサービスなんて生まれませんよ。
この間、長女がちょうど東京に来て美術館に一緒に行って、美術館を出たあとにタクシー拾おうと思っても全然タクシーを拾えないの。そこに来なくて。でも海外だとウーバーっていうのがかなり便利ですよ。ライドシェアというのは日本はタクシー業界の反発があるからできない。あれはタクシーを便利にするだけではなくて、配車アプリというのが金融やら商品やらいろいろなものが引っ付いてスーパーアプリになっているのでね、そのウーバーをやることによってウーバーイーツも生まれたりとかね。
それから東京都の渋谷区で、LINEがマイナンバーカードを使わない本人確認のやり方をやったら、総務省が「それはだめだ」と禁止したらしいのです。
増山)はい。
橋下)だからそのLINEの情報管理のやり方はいろいろルールをつくるにしても、別にマイナンバーカードでパスワードを入力するやり方なんていう世界はもうやめようと。生体認証でいこうとやっているなかで、民間企業が違うことをやろうとしたら「それはだめだ」って、こういうことを地道に正していって、民間企業がとにかく自由活発に活動できるような社会にしないと、成長なんてできるはずがないのにな。
辛坊)無理無理。日本は基本この何十年間で構築された、地方官庁を頂点とする利権みたいなもので網の目のように組み立てられていて、国民もそれが異常だとは思わないのですよ。
例えば、ヨーロッパ。いまでは全世界どこでもですが、電動キックスケーターみたいなやつが普通にそのへんで小ミニカーとして使われているわけですよ。確かにたまには事故を起こす人もいるでしょう、怪我をする人もいるでしょうが、だけど利便性を考えたときに環境に対する負荷も考えて、電動キックスケーター便利だよね、という話で全世界的に普通に走っているのに、日本では「あれは原付と同じ扱いだからナンバープレートとってくださいね。ヘルメット被ってくださいね。車道走ってくださいね。交通ルール守ってくださいね」というと、それに「賛成だ」っていう人が山ほど出るのですよ。新聞なんかも「危険だ! 電動キックスケーターは違法だからこんな事故が起きてる!」みたいなことをやるのだけど、トータルとして考えたときに、損得を考えたときに、どちらが損だ得だという話にはならないのですよ。
橋下)その電動キックスケーターをやれば、便利なだけじゃなくて、必ずなにか次のビジネスが生まれたりとかね、次の新しいものが生まれたりするから。
辛坊)全世界で当たり前になっていることが日本だけだめというのが、ますます増えていきますよ。
橋下)だって医療のオンライン化だって、中国なんかオンラインが原則になっていますよ。データを集めて医療がどんどん発展していっているから、本当に日本はいまの選挙で各政党が公約に出しているようなことで大丈夫なのかなと。
辛坊)コロナでベッドが足りない理由も明らかで、日本だけ特殊なシステムを組んでいるから、ベッドが病院中がらがらでもコロナに使えるベッドがちょっとしかないという。それは自宅待機になるだろうと。
橋下)補助金出して、病院に平均で6.6億円ぐらい、収支が黒字だったというね。
辛坊)それで新聞も叩くかと思ったら褒めたたえているから。おかしいだろう、この国は!
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)