岸田総理がCOP26に「出席しない」という選択肢はない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月25日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。岸田総理がCOP26へ出席する方向で調整しているというニュースについて解説した。
岸田総理がCOP26出席で最終調整
10月31日にイギリスのグラスゴーで開催される、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)。政府関係者によると、岸田総理大臣が出席する方向で調整していることがわかった。実現すれば、就任後初の外遊、対面外交の場となる。
飯田)31日というと、衆院選の投開票日になりますが、大勢を見極めてすぐ出発という形になるのでしょうか?
野村)大事なのは、「リアルで参加するか、リモートで参加するか」という選択肢です。ただ、今回はリアルで行くべきだと思います。COPは毎年行われていて、26回目になるのですが、首脳級会談をしたのは過去に2回しかなくて、今回が3回目なのです。
アメリカが復帰し、重要な局面となる今回のCOP26 ~「行かない」という選択肢はない
野村)普通は関係閣僚なので、日本からは環境大臣などが行くという会議です。それでも相当ハイレベルな会議なのですが、そこに首脳が120ヵ国から集まると言っているのです。しかもパリ協定から離脱していたアメリカが復帰するという、重要な局面でもあります。
飯田)バイデン大統領が出席します。
野村)さらに温暖化問題については、過去にいろいろな意見が対立していて、「本当にCO2を排出するのが温暖化の原因か」という議論もありました。しかし、この間のノーベル賞を見ていただいてもわかるように、みんなが「それで間違いない」という方向に固まって来ています。そのなかで「日本がどのような役割を果たすのか」ということを見せなければ、後ろ向きだと言われてしまい、国際社会のなかでの発言権を失う可能性もあります。そのくらい重要な会議になるので、行かないという選択肢はないのではないかと思います。
高い目標を出し、会議のなかでの発言権を持った日本が参加しないわけにはいかない
飯田)直前のG20に関してはオンラインでしたが、今回はリアルで行くということは、それだけ重いということですか?
野村)重いということです。いろいろな賛否があり、議論があると思うのですが、国がそれぞれ目標を示して、その目標を確認し合うという作業がいま佳境に入っています。日本は昨年(2020年)に菅前総理がかなり高い目標を示したわけです。
飯田)2013年度比で2030年には46%減。そして2050年にはカーボンニュートラルにすると。
野村)そうです。この水準は世界でも通用する水準です。少なくとも、「後ろ向き」とは言われない。これを宣言したことで、日本はこの会議のなかではある程度の発言権を持ったという状況なのです。当然のことながら、CO2を最も出しているのにきちんと対応していない、中国のような国を牽制するための会議です。そうすると、米中という軸のなかで、アメリカが主導権を握って国際社会が旗を振ろうと言っているときに、「日本は不参加」とはなかなか言いにくいですよね。
飯田)確かにそうですね。「日本は逃げ出したのか」など思われてしまいそうです。
野村)以前は、「日本は後ろ向きで水準も大したことがない」と言われていたところを、せっかく世界の人たちにリーダーとして認め直してもらうための高い球を投げたのに、この球を投げたままではもったいないのです。経済界の人たちも私たちも、かなりの犠牲を払って国際社会におけるプレゼンスを獲得しようとしたわけなので、これを活かしてもらわないとなりません。国際的には力を失いながら、ただ高い目標を実行させられるのではたまりませんよね。
避けられない原発に関しての議論
飯田)国際的な議論のなかでは、環境派の人たちからも、原子力を使ってCO2の排出を緩和して行こうという動きも出て来ていますよね。
野村)出て来ています。特に日本の場合は、再稼働をどうするのかという問題もありますし、新しい原発の方が安全なのではないかという議論もあり、避けられない論点なのです。この部分を含めて、今後、我が国が進むべき道は国民レベルで考えなければいけないと思います。
飯田)選挙というのは、そのようなことを考えるいい機会のはずですよね。
野村)まさにその通りです。これは経済すべて、または私たちの生活すべてに関わる大きな国際公約になるので、それをどのように乗り越えて行くのか。みんなで考えなければいけないのだと思います。
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