「争点の明確化」に失敗した立憲民主党 ~衆院選

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。10月31日に投開票が行われた衆議院選挙の結果について解説した。

「争点の明確化」に失敗した立憲民主党 ~衆院選

テレビ番組のインタビューに答える立憲民主党の枝野幸男代表=10月31日夜、東京都港区 写真提供:時事通信社

衆議院選挙 ~自民党が絶対安定多数の261議席を単独で獲得

第49回衆院選は10月31日に投開票が行われ、自民党は公示前より議席を減らしたものの、過半数(233議席)を超え、安定多数(244議席)も維持する結果となった。

飯田)衆院選の結果が出ました。

須田)開票が始まった当初、立憲民主党の方は、「野党共闘の効果が一定程度あった」と枝野代表も胸を張っていたのですけれど、この結果でそう言えるのか。大きく変化しましたよね。

飯田)そうですね。その辺りをどう捉えたのか。与野党の第一党であるトップが、それぞれ会見を行ったコメントの一部をお聴きいただきます。まずは岸田総裁です。

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岸田総裁)政権選択選挙において信任をいただいた、そのことが大変ありがたかったと思います。加えて自民党の単独過半数、これも国民の皆様にお認めいただいた。ぜひそうした結果を踏まえて、これからしっかり政権運営や国会運営を行いたいと思います。

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飯田)これは11月1日に日付が変わるころの話です。その後に比例が開いて、261議席を自民党が単独で獲り、絶対安定多数まで行ったというところです。一方、立憲民主党・枝野代表のコメントもお聴きいただきましょう。

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枝野代表)かなり多くのところで、自民党が強いと言われていたところでも接戦に持ち込めたと思っておりますし、実際、東京8区のように結果を出せたことが確定したところもあります。そういった意味では一定の成果があった。

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当選確実の候補者名に花を付ける岸田文雄首相(中央)=2021年10月31日夜、東京都千代田区 写真提供:時事通信

当選確実の候補者名に花を付ける岸田文雄首相(中央)=2021年10月31日夜、東京都千代田区 写真提供:時事通信

立憲民主党は14議席減 ~野党共闘は何だったのか

飯田)立憲民主党は、全体としては議席を減らし、96議席となりました。問題は「統一候補の意味はあったのだ」という発言のところですね。

須田)これは14議席を失った、そういう状況を踏まえてのコメントなのでしょうか?

飯田)会見でもそのような質問が出たと思いますけれども。

須田)甘過ぎるのではないでしょうか。3野党の協力を得られたわけですから、立憲民主党は議席を増やす局面だったにも関わらず、それを減らしたのだから、ここは真摯に向き合って欲しかったですね。

立憲民主党の大物議員の落選 比例復活もならなかった辻元清美氏

飯田)立憲民主党の大物の落選もありました。小選挙区では小沢一郎さん、中村喜四郎さんが落選しました。

須田)辻元さんもですね。

飯田)辻元清美さんは比例復活すらできなかった。

須田)これは大阪という選挙地盤での維新旋風と見るべきなのか、それとも何らかの違う事情があるのか。辻元さんが副代表であるというところも含めて分析して欲しいですね。

「争点の明確化」に失敗した立憲民主党 ~衆院選

2021年10月14日、会見する岸田総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/actions/202110/14kaiken.html)

「結果を出した」岸田総理

飯田)事前に共同通信は「与党は自公で過半数を伺う」と出していましたが、票が開いて行くにしたがって変わって行き、「このくらいで済んだ」という感じでしょうか。276議席から261議席へ。15議席減と考えると、「このぐらい減っても当然だよね」という感じですか?

須田)「これだけしか減らなくてよかった」というところではないでしょうか。落選した人もいるから表情に出すことはできないけれども、これだけの減少で済んだので、岸田さんとしては「結果を出した」という自負があるのではないかと思います。

「争点の明確化」に失敗した立憲民主党

飯田)菅政権末期の時代には、「50~70減らすのではないか」ということも言われていたなかで、この結果は。

須田)ただ今回の選挙、体裁上は「政権選択選挙」と名付けられたのだけれども、大前提として、誰も政権交代が起こるなどということは考えていなかったと思います。

飯田)本当に政権が交代するとは。

須田)そうすると、今回の選挙の争点は何だったのか。そこがぼやけていたのだろうなと思います。野党についても、ぼんやりとした雰囲気のなかで共産党と組んだ立憲民主党を選ぶのか、それともいままで同様に自公連立政権を求めるのか、という選択が示された。そのときに、やはり民意は「野党共闘を選べなかった」というところがあるのではないでしょうか。

飯田)野党共闘を。

須田)野党共闘が失敗したのもさることながら、「争点の明確化」に失敗したのではないかと思います。

議席数を伸ばした維新、国民民主

飯田)維新が現有議席からすると4倍くらいまで伸ばしました。国民民主党も議席を増やした。改革という部分を主張した党は伸びているように見えますね。

須田)個別の政策については是々非々で望んだ、あるいは自らも成立する見込みはないけれど、法案を提出した。全国区を目指して、目標にして準備を進めて来たというのもあります。象徴しているのは足立康史さんではないでしょうか。これまでも名前は売っていたのだけれど、選挙で勝つことができず、比例復活がやっとだった。それが今回ダントツで当選したというところを見ると、維新は足腰が強くなったという感じがしますよね。

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