10月31日(日)に放送された、女優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)に、漫画家・イラストレーターの奈良裕己さんがゲスト出演。印刷会社、広告制作会社の営業マンとして働いた経験のある奈良さんが、印刷業界で起きた笑える誤植事件、実は奥深い印刷の世界を紹介した。
奈良さんは、大学を卒業してすぐに印刷会社に入社し、広告制作会社、大手印刷会社など十数年働き、その後、漫画家・イラストレーターとして独立。中堅の印刷会社を舞台に起きる、印刷事故のてんやわんや、印刷業界あるあるを描いた著書『いとしの印刷ボーイズ』や、『印刷ボーイズに花束を』は話題となった。
戸田:今週は、話題のコミック『印刷ボーイズに花束を』の作者をゲストに迎えて、印刷の世界にフォーカスしています。少し前までは、小説も漫画も手書きが当たり前でしたが、作家さんの中には原稿が悪筆で読みづらい人もいて、編集者や印刷屋さんが必死で文字を推測して印刷していたこともある、と聞いたことがあります。
奈良:伝説の誤植というのがあって、ローマ字で「ID」という赤字が入ったんですが、それをオペレーターが間違え、カタカナで「エロ」と書いて直しちゃったという(笑)
戸田:あははは!(笑)
奈良:そんな誤植があったとか、なかったとか(笑)
戸田:それは伝説の間違いですね~!
奈良:まあ、人が書く字なのでね。
戸田:推測するのも難しいですよね。印刷用語もたくさんありますが、「ルビを振る」の「ルビ」の語源、ぜんぜん知らなかったです!
奈良:「ルビ」は宝石の「ルビー」からきていて。
戸田:もう、びっくり! 漢字にね、振り仮名を振ることを「ルビを振る」といいますが。
奈良:今は文字の大きさを「ポイント(pt)」とか「号」という単位を使っていますが、こういう単位がない時代、“欧文”では、文字の大きさを宝石の名前で表していたんですよ。(※欧文:ヨーロッパ諸国で使われる言語による文章や文字のこと。)
戸田:ほう。
奈良:宝石のダイヤモンドとかルビーとか。で、その「ルビー」という大きさが、日本語の活字の振り仮名で使っている大きさと同じ大きさだったんです。それで、振り仮名を日本では「ルビ」と言う風になったんです。
戸田:へぇ~、面白い!
奈良:語源を調べると結構面白いものがあったりするんですよね。
戸田:あと、選挙ポスターや投票用紙に使用されているのは特別な紙だそうですね。
奈良:「ユポ紙」という合成紙で、「硬くて水に強い」という性質で。
戸田:ユポ紙……ぜんぜん投票用紙のことを気にしたことがなかったです(笑)
奈良:投票用紙って、書いたら折って投票箱に入れますよね?
戸田:はい。
奈良:このユポ紙って硬くて頑丈なので、折っても自分ですぐに開くんですよ。だから、投票箱に入れた後、紙が勝手にパッと開くので、開票した時に全部開いた状態なので、即日開票が可能になったそうです。
戸田:うまいことできている! 素晴らしい!
「伝説」と言われる誤植、業界用語の語源、投票用紙がただの紙ではないなど、意外な話に戸田も興味津々だった。
印刷の需要が減っている昨今について、奈良さんが「教科書もデジタル化されていっている流れの中で、海外では紙の教科書の方が学力が高いというデータもあったりして、一度電子化されたものを紙に戻したというニュースもあるので、紙の印刷もまだまだ可能性はあるんじゃないか」と語り、デジタルと紙が共存してほしいとコメント。戸田も同調し、「印刷の世界でも減りつつある職人さん達の伝説を、これからも“印刷ボーイズ”で語り継いでいただけることを願っています!」とメッセージを送った。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。