「歴史決議」をやっている場合ではない中国の危うい状況
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月9日放送)にジャーナリストの有本香が出演。中国共産党の「6中総会」について解説した。
6中総会で歴史決議を行う理由
中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第6回総会(6中総会)が11月8日、北京で開幕した。創設100年を迎えた中国共産党の歴史を総括する「歴史決議」案を審議し、最終日の11月11日に採択する見通しだ。
飯田)「歴史決議」は、過去2回しか例がないということです。
有本)毛沢東氏、鄧小平氏に次ぐ歴史決議をするということです。毛沢東氏、鄧小平氏の時代は党内争いがいろいろあって、それに決着をつけるという意味合いがありました。あるいは鄧小平氏は文化大革命を総括して、「毛沢東はやはり偉大な人だった」という評価を確定させたということなのです。しかし、今回はそういう意味合いとは少し違うのですよね。
「歴史決議」をやっている場合ではない中国の国内状況
有本)歴史決議をやって、毛沢東氏、鄧小平氏に次ぐリーダーシップを習近平主席が見せようとしているのでしょうけれども、「そんなことをやっている場合ではないでしょう」という感じもありませんか? 他国のなかのことだから、余計なお世話的な部分もありますけれど、世界経済にも影響が甚大ですから。国内では買い占め騒ぎが起きたりしているではないですか。
飯田)中国国内では。
有本)群集心理的なものだから、実態としては馬鹿馬鹿しい面もありますが、しかし石炭が不足して、エネルギー事情が相当まずいことになっている。そして電力の制限がかかっています。こういう状況が続けば、中国に生産拠点を持っている企業も、見直しを考えざるを得なくなります。それから恒大グループが、11月8日に利払いを……。
飯田)子会社が利払いをしていなかったという話がありました。
有本)そういうことがありますからね。デフォルト危機を綱渡りしているわけです。いつ「ドンッ」となっても不思議ではありません。「歴史決議をやっている場合ですかね」という状況です。
日本の今後の対中シフト ~親中的だと見られている茂木幹事長
有本)然らば日本はどうなのかと言うと、我が国の対応も正直、不安があります。また、直接の関係はなさそうに見えますけれども、対中シフトを日本はどう考え、どう行うべきなのか。
飯田)対中シフトを。
有本)岸田さんのもとで外務大臣、幹事長、また人権問題担当の総理補佐官など、外交のフロントに出て来る顔ぶれが変わって来ます。幹事長が変わったので、茂木幹事長が前の二階さんほど中国にベッタリだとは思わないけれども、中国に対しては、かなり親和的な人だと見られています。
岸田総理の特使として安倍元総理がマレーシアへ ~中国周辺の国々との連携を継続
有本)その一方で11月9日朝の発表になりましたが、岸田総理の特使として安倍さんがマレーシアに行くという話がある。安倍外交でやって来た中国周辺の国々との連携を強めるということを、安倍さんを中心に継続して行くという流れではないでしょうか。同時に、安倍さんが派閥の長になると。
飯田)清和会が安倍派になると。
有本)これもかねてから言われていました。私がネット番組でやった選挙特番のときに、森喜朗元総理をゲストにお招きしましたが、森さんはそのスキームを縷々語っておられました。党内でのいろいろな部分もあるでしょうけれども、安倍さんの路線をいろいろな形で担保して行くということは必要ですよね。一方、台湾と中国にいる邦人に関して、いざというときの退避の体制はしっかりつくって欲しいと思います。
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