誰が外務大臣になっても日本の外交は変わらない ~外務大臣に林芳正元文部科学大臣を起用へ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月8日放送)に日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が出演。第2次岸田内閣の外務大臣に林芳正元文部科学大臣が起用されるというニュースについて解説した。

誰が外務大臣になっても日本の外交は変わらない ~外務大臣に林芳正元文部科学大臣を起用へ

衆院山口3区へのくら替え出馬会見に臨む自民党岸田派(宏池会)の参院議員、林芳正元文部科学相=2021年7月15日午前、山口県宇部市 写真提供:産経新聞社

第2次岸田内閣、外務大臣に林芳正元文部科学大臣を起用へ

岸田総理大臣は11月10日に発足させる第2次内閣の外務大臣に、林芳正元文部科学大臣を起用する意向を固めた。林芳正氏は参議院議員時代に防衛大臣や農林水産大臣、文部科学大臣などを歴任。先の衆院選で山口3区から衆院に鞍替えし、当選を果たしている。

飯田)茂木外務大臣が幹事長にスライドしたので、その椅子にということのようですが、林さんが歴任した大臣には、「問題を抱えたところでトラブルシューティングに行く」というようなイメージがあります。

秋田)私も勉強会などで何度かご一緒する機会があったのですが、ハーバード大学を出て、ギターやピアノ、ヴァイオリンも弾かれるという多彩な人であり、何でもこなせるタイプです。その意味では茂木さんに近いですね。茂木さんもハーバード大学出身で、それぞれケネディスクールだったと思いますが、いわゆる経済政策のMBAと呼ばれるところで学ばれています。私も1年間ハーバードに行き、ケネディスクールの授業を受けたことがあるのですが、いろいろな問題を出されて、ケーススタディで答えるという教育をやっている、公務員の養成学校なのです。茂木さんも林さんもそこを出ていて、そつなく何でもこなせるタイプだと思います。

日本の外交はもはや総理大臣や外務大臣が決めるものではない ~日本は適応国家

飯田)今回、外務大臣の椅子にということですが、林さんは日中議連の会長ですし、中国に関するところで、誤ったメッセージが西側に送られてしまうことを危惧する向きもあります。その辺はどうでしょうか?

秋田)彼のお父さんである林義郎さんも、日中議連で日中関係のキーパーソンでした。DNAという意味では、同じ山口県ですが、安倍さんとは対極のリベラルな方だと思います。ただ、もはや日本の外交は総理大臣や外務大臣が決めるものではないと思うのです。

飯田)総理大臣や外務大臣が決めるものではない。

秋田)日本の外交を決めるのは、中国や北朝鮮、ロシアなど日本周辺の環境が、日本に「この政策をやらないと生きて行けないよ」ということを押し付けて来て、それに対して動物のように適応して行くのです。

飯田)適応して。

秋田)そう考えると、誰が総理大臣になろうが外務大臣になろうが、日本が取れる政策はやはりアメリカと組んで行くことになる。また、アメリカだけでは足りません。米中の軍事バランスは、アジアでは中国の方が有利になっている。そうすると、インドやオーストラリアなどと組んでクアッドを進めるなど、そのような形でやらざるを得ないと思いますし、そうなって行くと思います。

飯田)好むと好まざるとに拘らずという形で。

秋田)日本は適応国家、適応型の国だと思うのです。自分でやりたい政策を進めて行くことができるのは、超大国の贅沢で、それが許されるのはアメリカと、もしかすると中国しかないと思います。

「国家安全保障戦略」を8年ぶりに改正 ~みんなで組む路線に

飯田)そうすると、日米同盟を基軸にしながら、どのように中国と向き合うのか。しかも、アメリカが少し引き気味な部分をどのように日本が補うのか、というところにも入るのでしょうか?

秋田)本人は意識していないかも知れませんが、ある意味で岸田政権は歴史的な決定をする政権になります。

飯田)歴史的な決定を。

秋田)「国家安全保障戦略」という戦略を8年前につくったのですが、それを2022年夏までに岸田政権のもとで改正します。これは日本の安全保障、外交政策のCPUをつくり直すようなもので、ここに何を盛り込むのかで、外交安全保障は大きく方向性が固まります。おそらく「日米同盟とクアッド、さらにはヨーロッパなどの同盟国と協力を強める」ということが書かれると思います。ただ、根底にあるのは、「アメリカが圧倒的に強い時代は終わってしまった」ということです。「みんなで組む」という路線をより鮮明にすることになるのではないでしょうか。

飯田)その書きぶりによって、中国をどのように捉えているのかも滲んで来ますね。

ポイントは「弱者の戦略」 ~強い中国にさまざまなやり方を駆使して対応する

秋田)大きく滲んで来ると思います。ポイントは弱者の戦略になると思います。

飯田)弱者の戦略ですか?

秋田)残念ながら。中国のGDPは日本の4倍くらいで、人口は10倍、国防費も3倍以上なので、日本は白鵬のような横綱相撲はできません。体の小さい力士がどのように横綱に対抗するのかというような話なので、みんなと組んだり、サイバーや宇宙などに関する兵器も多用して行くということなのだと思います。

飯田)八艘飛びだろうが、蹴手繰りだろうが、何だってやって行くのだと。

秋田)そうですね。

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