キャスターの辛坊治郎氏が11月10日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏と、今後の景気について分析・解説した。
内閣府が11月9日に発表した10月の景気ウォッチャー調査によると、街角の景気実感を示す現場判断指数は前の月と比べて13.4ポイント上回り、55.5となった。緊急事態宣言の解除などを受け、2014年以来の高水準だ。
辛坊)……となると、どうなのですかね。これから景気はどっちへ向かっていくのですか。
永濱)回復は、持続はすると思うのですが、ただ、期待するほどよくもならないかなと。
辛坊)株もね、よくわからない動きなのですが、どうなっていきます?
永濱)日本株はよくもなく悪くもなくという感じなのですが、一方で、実はアメリカは史上最高値を更新していて。何が違うかというと、私も外国人投資家の知り合いとたまに情報交換するのですが、あまり岸田政権が評価されていないのです。それこそ、9日も株が後場明けたくらいたくらいで急激にドーンと下がったのですが、あれは何がきっかけだったのかというと、もちろん海外が金融政策の出口の数がちょっと後退したので、円高になったという面もあるのですが、ちょうどそのタイミングで出た、自公で協議していた18歳以下の給付金。あれで、9日の午後に自民党が「所得制限」を要求しているというニュースが出た途端に日本株が売られたのです。
なぜかというと、もちろん「所得制限」があろうがなかろうか、それで直接的な影響はそんなにないのですが、マーケットが何を警戒しているかというと、岸田さんって今回の自民党の総裁選では「緊縮財政派」の色は出しませんでしたけど、もともと「緊縮派」と言われていた人で、そういう人が2兆円程度の給付金ですら「所得制限」と言っているということは、来年の参議院選挙が終わったら岸田政権はいよいよ増税だなという警戒が強まって売られたということです。
辛坊)ほほう。そこまでマーケットは考えるのですか。心理戦ですね、それは。
永濱)そうです。
永濱)10日に出た「マイナポイント(付与)」。あれも、もともと公明党は「みんなに一律3万円」とか言っていたじゃないですか。それが、新しく(カードを)つくった人に5000円、さらに健康保険証と紐付けたら7500円、銀行口座と紐づけたら7500円とか。
辛坊)日本でマイナンバーカードが普及していないから、普及させるための要因に使いましょうという話なのだけれど、「二兎を追うもの」に常になりがちで、景気対策のためにやりたいのか、マイナンバーカードを普及させたいのか、というところで両方を狙うから結局両方中途半端になるということが、よくないです、この国。
永濱)おっしゃる通りです。給付金もマインナンバーの施策も、まったくその通りだと思います。
辛坊)中途半端ですよね。何がやりたいのかよくわからないという。私はその政策がいいか悪いかに関しては、若干疑問はあるのですが、社会的にどう人が行動するかという観点に立つと、四の五の言わずにマイナンバーカードを持っている人に3万円と言われれば、みんな行くかもしれない。けれど、いまみたいに段階的に「何をしたら5000円、何をしたら7500円です」というと、「面倒くさい」ってなりますよね。結局二兎を追いながら両方達成できないということになりますよね。
永濱)なりますし、いかにも役人の方が考えそうな感じじゃないですか。役人の方けっこう細かいことを考えられるじゃないですか。そうなのです。だから経済対策、ちょっとどうかなという。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)